夢子は涙をうかべながら笑顔で答えた。
夢子「はい…喜んで!」



第7章【白く華麗に】



崖から落ち、リンクに助けられスマブラ城へ連れてこられた夢子はあれから数日間、医務室のベットの上で休んでいた。
窓際のベットには涼しげな風が頬に当たる。
こんなに安心してゆっくり体を休めたのは久しぶりだった。
いつ命を落とすかわからない、そんな状況から救われた夢子のストレスは一気に解放された。
スマブラ城に住んでいる参戦者達も夢子を手厚く歓迎し、優しく接してくれた。
そのおかげで数日のうちでほとんどの参戦者の名前を覚えることができた。
そんな夢子の元へ一人の参戦者がお見舞いをしにきた。
ピーチ「夢子ちゃん、調子はどう?ここにはもう慣れたかしら?」
夢子「ぁ…ピーチ姫こんにちわ。怪我の方はだいぶ良くなりました!皆さんのおかげでここの生活にもなじめて来ましたよ。」
ピーチ「そう、それはよかったわ!ところで…今着ているそのお洋服だけども、所々破けているし、汚れがひどいわね。」
夢子「これですか…崖から落ちた時に破れて逃げ回ってるうちに汚れちゃったみたいです…。」
ピーチ「折角の可愛さが台無しだわ!そうだ!怪我の具合も良くなったみたいだし、私と新しいお洋服を着てお散歩しにいきません?」
夢子「私これ以外の洋服もってないんです…。」
ピーチ「大丈夫よ!私がドレスプレゼントしてあげるわ!」
夢子「そんな…ピーチ姫に悪いです…。」
ピーチ「大丈夫よ、ドレスなんていっぱいもってるから。夢子ちゃんのためなら何着でもあげるわ!」
夢子「ありがとうございます…!」
ピーチ「今から持ってくるからちょっと待っててね!」



しばらくしてピーチからドレスを貰った。
白くてシンプルなそのドレスには丁寧にレースがほどこされている。
夢子「こんな素敵なドレス本当に良いんですか?!」
ピーチ「いいわよ!サイズが小さいから細い夢子さんには丁度ぴったりだと思うわ!さ、着替えて!」
ガサガサ・・シュッ
夢子「…こんな素敵なドレス初めて着ました…どうでしょうか…。」
ピーチ「まあ、綺麗!!やっぱり私の思った通りだわ!お化粧しなくてもこんなに綺麗だなんて…羨ましいわ〜。」
夢子「ピーチ姫より全然綺麗じゃないですよ…私なんか…。」
ピーチ「自分に自信を持って!実際周りの反応がどうか自分の目で確かめてみましょ?」
夢子「なんだか恥ずかしいです…。」
夢子とピーチは医務室からでた。
すると丁度廊下にフォックスとファルコが立っていた。
通りすがりに小さい声で夢子は挨拶をした。
夢子「こ…こんにちわ…。」
フォックス・ファルコ「「・・・・!!」」
しばらく歩いてからうつむいて夢子はつぶやく。
夢子「何にも言わなかった…やっぱり私には似合ってないんですよ…。」
ピーチ「フフフ、その逆よ。あまりの美しさに声が出なかったんじゃないかしら。」
夢子「まさか…。なんだかよけい自信無くなってきました…。」
そんな事を話している夢子達の後ろでフォックスとファルコがしゃべっていた。
フォックス「今の…夢子だよな?」
ファルコ「ああ、確か新人のな。」
フォックス「…美人だなー…。」
ファルコ「あ、テメェなに見とれてんだ!」
フォックス「そんなファルコだって見とれてるじゃないか!」
ファルコ「ッチ…!覚えてろよ…。」
歩きながらピーチは思いついたように夢子に話しかける。
ピーチ「あ、そうだわ。トレーニングステージに見学しに行きましょう!」
夢子「トレーニングステージ?」
ピーチ「皆が技を磨く練習の場よ。今ならマリオ達が練習してるはず…!」
夢子「わぁー見に行きたいです!!」
ピーチ「じゃあワープポイントまで急ぎましょ!」



ブワアアアアアン・・・・
ピーチ「さぁ、着いたわよ!」
ワープしたその先にはスマブラ城とは全然違う景色が広がっていた。
そこは空の上のようなステージが宙に浮かんでいる。
夢子「凄い…ここがトレーニングステージ?」
ピーチ「トレーニングステージは何種類かあって、此処はその内の一つの『戦場』よ。
    あ、いたいた!マリオ達だわ!」
ピーチが手を振る先にはマリオとリンクとカービィとピカチュウがいた。
こちらに気付いたマリオは戦いながらも手を振る。
そんな中ふっと夢子はリンクと目が合った。
ピーチを真似て夢子も手を振ってみる。
リンクは茫然と立ち尽くし、その隙にピカチュウに頭突きをされた。
ピカチュウ「また顔が赤いピカ!」
リンク「違っ…これはその…。」
ピカチュウ「隙有り!!」
リンク「うわああああー!」
リンクはピカチュウに雷を落とされ吹っ飛んでしまった。
夢子「あ…リンクさん飛ばされちゃった…。」
ピーチ「いろんな意味で効果抜群ね♪」
夢子「?」
ピーチ「ウフフ、こっちの話よ。」
試合の結果はマリオ1位、ピカチュウ2位、リンク3位、カービィ4位となった。
ピーチ「お疲れ様!」
夢子「お…お疲れ様です…!」
マリオ「ありがとう!」
カービィ「ペポポ!」
ピカチュウ「夢子お姉ちゃんその格好どうしたピカ?」
夢子「あ、ピーチさんにドレス貰ったんです。…どうですか?」
ピカチュウ「凄い似合ってるピカ!でもそのせいでリンク兄ちゃんがよそ見ばかりしてたピカ。」
リンク「こ、こら…ピカチュウ!」
ピカチュウ「本当の事言っただけピカ〜!」
カービィ「ポペペポポ!」
ピカチュウ「カービィも同じこと言ってるピカー。」
マリオ「青春はいいなぁ〜。」
ピーチ「フフ、そうね。」
ピーチと夢子は一旦、スマブラ城に戻ることにした。
時計を見上げピーチはつぶやく。
ピーチ「そろそろお昼ね…食堂にいきましょ!」
夢子「はいっ!」











・あとがき・
夢子さんがイメチェンしました。
因みに夢子さんがきているのは
ピーチのホワイトカラーのドレスではなく、
別物のドレスとなっております。



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