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第56章【サラの死と真実】










サラは死んだ。
リンク、ダーク、夢子、そして参戦者が見守る中。
彼女の体は青い光に包まれるとそのまま消えてなくなってしまった。
夢子「あの子は…可哀想な子だった…。」
今まで酷い事をされたはずの夢子がサラの死を泣いていた。
ダーク「…あいつも普通に生まれてくればこんな最後を迎えずに済んだはずなのにな…。」
リンク「これも全部タブーのせいですよ…!」


騒ぎを聞きつけたマスターハンドが破壊されたフロアにやってきた。
マスターハンド「これは…なんてことだ…!」
夢子「マスターさん…!」
マスターハンド「…すまない、私が迂闊にあの娘を城へあげたせいだ…。」
夢子「マスターさんは悪くないですよ。助けてあげただけですもの。」
ほかの参戦者と一緒に一部始終を見ていたあの3人が話し始めた。
ピット「結局サラってなんだったの?味方だったの?敵だったの?」
マルス「折角可愛い子がきて嬉しかったけどまさかこんなことになるなんてね…。」
アイク「あとでゆっくり理由を聞こうか。リンク達、知ってるんだろ?」
リンク「それは……。」
ダーク「俺が話そう。…サラはタブーのスパイでこの城に入り込んだんだ。
    そこで夢子を絶望に追いやって覚醒を進行させようとしていた…。
    しかし、俺がその邪魔をした。だから怒って暴走したんだ。」
ピット「覚醒って…何…!?」
マルス「そういえば夢子、その手脚どうしたの!?真っ青だよ!?」
夢子「これは…。」
ダーク「タブーの覚醒が進行してる証だ。」
ピット「なんだって!?」
ダーク「この青いアザが全身にまわった時、アイツの覚醒は完全化する。」
マルス「完全化って…もうほとんど青いじゃないか…!」
アイク「覚醒を止める方法はないのか?」
ダーク「…。」
ピット「そういえば僕らも言わなきゃいけない事があるんだ…今までみんなに内緒にしてたけど…。
    マルス、アイク、言っていいよね?」
ピットの問に険しい表情をして頷くマルスとアイク。
ピットは息を飲んで小さい声で言った。






















ピット「夢子は…タブーの翼のコアで…
     タブーを完全消滅させるにはコアを破壊するしかないって…。」

  



















ピットの発言で参戦者全員が騒めく。
ピーチ「白ハエ、冗談ですわよね…?!」
ピット「…嘘なんかじゃない。」
マリオ「詳しく聞かせてくれないか?」
マリオの問いに黙って頷く3人。
ピット「僕達、亜空間で彷徨ってる時に一匹のプリムに出会ったんだ。」
マルス「そのプリムは普通のプリムとは違って知性や感情を持っていた。
    プリムはタブーに追放されたと言っていた。」
アイク「そのプリムがタブーの秘密を握っていたんだ。
    タブーの生命の源は本体ではなく翼にあるということを。
    そしてその翼のコアが夢子なんだ。」










ザワ・・・ザワ・・・!


ゼルダ「じゃあ…夢子ちゃんがコアってことは…」


ピット「…そういうこと。」







ピットの言葉に止めを打たれた参戦者達のざわめきはより一層増す。
皆悲しみの声をあげる。
中には泣き出すものもいた。
ポポ「嫌だよ!夢子お姉ちゃんが死ぬだなんて!」
ナナ「そうよそうよ!なんで夢子お姉ちゃんが破壊されなきゃいけないの!?」

ピット「僕たちだってそんなの嫌だよ!」
マルス「そうだよ!僕らが夢子を破壊するわけないじゃないか!」
アイク「ここにいる皆が俺たちと同じ気持ちのはずだ。夢子を守りたい…そうだろ?!」

リンクは夢子の手をそっと握り締めた。
夢子もその手をそっと握り返した。
そして夢子はその手を離し一歩前へ出る。

リンク「…?夢子さん…?」

夢子はフロア全体に響くくらいの大声で言った。




















夢子「皆さん、今まで一緒に暮らして楽しい生活を送ってくれてありがとうございまいた。
     私は…皆さんとこの城を守る為ならば命を惜しみません。」





リンク「夢子さん!?」




夢子「だから、最後まで…最後まで皆さんと一緒にいさせてください…。
      時が来たら私は消滅する覚悟は…出来ました…。」
ピーチ「やめて夢子ちゃん…そんな事言わ ないで…!」
ゼルダ「そうよ!」
サムス「私たちこれからもずっと一緒よ?!」

夢子「ピーチ姫、ゼルダ姫、サムスさん、今まで優しくしてくれて有難うございました。
     お姉さんができたみたいで…とても楽しかったです。
     さっきもこのネックレスのおかげでサラを倒すことができました。」
ピーチ「そのネックレス…!」
ゼルダ「大事に持っていてくれたのね…!」
サムス「夢子ちゃん、私たちは心友よ!ずっと永遠に。」
夢子「はいっ!」


マスターハンド「話は分かった。そして夢子の覚悟もわかった。
        その上で私は決断する。






















         夢子を…破壊する。」










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