71

再び巡って日曜の昼過ぎ。
夢子は買いものをしてた。
近所のスーパーでリンゴを買って、その帰り。
今日は大の苦手のスイーツ作りに挑戦しようと思っていた。



【71=主人公補正って何処まできくの?】







ー1時間前ー
夢子「前にルフレが作ってくれたアップルパイ、凄く美味しかったんだよね…私も作りたい!」
ルフレ「じゃあ僕が作り方教えてあげようか?一緒に作ろう?」
夢子「ほんと!?じゃあ教えてもらうかな!!」
ルフレ「僕は君の喜ぶ顔が見たいから!」
夢子「またまたそんな…」
ルフレ「君もいい加減飯マズ系は卒業したほうがいいだろうし。」
夢子「?」

夢子はちょっぴり無自覚な部分もあるのだがそれがなかなかヤバイ。
しかしルフレ自身も元はかなりのメシマズ男。
ここは上手く夢子をフォローする。

ルフレ「大丈夫!前にも言ったけど僕も最初はゲロマズでその点ではクロムのお墨付きだったし!」
夢子「…まあルフレが教えてくれるなら怖いものなしだね!」

笑顔で笑いかける夢子が可愛すぎる。

ルフレ(あーかわいい。抱きしめたいけど昼間だし我慢我慢…)

ルフレ「あ…リンゴ、冷蔵庫に1個も無いや…」
夢子「じゃあ私買ってくるよ!!」
ルフレ「君ひとりで平気かい?」
夢子「子供じゃないんだから…スーパーすぐそこだし!」
ルフレ「じゃあ気を付けて。道具の準備しておくよ。」
夢子「うん!じゃあいってきまーす★」




こんな会話があったりして、今夢子はリンゴを買っている。
普通なら2,3個で良いと思うが
夢子はなんと10個もリンゴを買い漁っていた。
メシマズ女はまず量が分からないのが基本。



夢子「…意外と重たい…。」

そりゃ10個のリンゴですから。
夢子はスーパーから出た。

重い袋を持つ夢子。
今日はバッグを持ってくるのを忘れた為薄いレジ袋にリンゴを入れている。
量が量なのでとても心配なのだが、
その心配がこの後見事に的中することになる。


夢子「ふう…重たい…。明日筋肉痛になるかも。」
坂道を歩く夢子。
休憩しながら少しづつ上がってた。

夢子「流石にリンゴ買い過ぎたかな?強力粉とかシナモンとかはあるってルフレが言ってたから助かったかな。
      私薄力粉と強力粉の違い分からないし香辛料何て胡椒しか知らないし。…ふう。ちょっと休憩…」

額に伝う汗を拭う夢子。
と、その時だった。


ビリッ!!!



不吉な音と共にリンゴの入っていたレジ袋が勢いよく破れたのだ。

夢子「ああああああああああ!?!?」


夢子は悲鳴をあげる。
そんな場合じゃない、転がるリンゴを早く拾わなければ。

夢子は走って拾いに行く。

1個、2個、3個までは難なく拾えた。
しかし残りのリンゴが勢いよく転がっていく。
下には国道がある。交通量の多い場所に転がればグチャグチャに轢かれて…

夢子「私のリンゴーーーー!!」

涙目で手を伸ばし、叫ぶ夢子。
リンゴは無情にも重力に負け転がる。

夢子はもう諦めた。

夢子「はあ、3つあれば…良いよね…?
      仕方ない…どうせ道路に転がって無事じゃなさそうだし…拾うのは諦めよう…」


大きくため息をついて坂を上がろうとした時、


トントン‥‥


夢子は誰かに肩を叩かれた。
げっそりとした顔で振り向く夢子。

そこには二人の男性が立っていた。
気配もなく現れた二人にも驚く夢子だったが
その二人は先ほど転がしたリンゴ全てを拾い腕に抱いていた。


夢子「…あああ!!私のリンゴ!!」
???「危なかったね。次から気を付けて。」

夢子「あ…ありがとうございます…!?」
???「…君、夢子ちゃんでしょ?」

夢子「…!!何で私の名前を!?」
???「妹から話は聞いてたから。」

夢子「…この展開は…まさか‥‥」
???「僕たち丁度、君の家に向かってる途中だったんだよね。」


夢子はこの男性二人をよく見る。



…やっぱり。



この二人、多分…いや、絶対参戦者だ。




服装は現代風の服を着ているが…間違いない。
ファイター特有の強者の隠しきれないオーラを感じる。
夢子はスマブラの画面を思い出す。
そしてこのふたりが誰だか当ててみようと考えてみる。


???「兎に角君の家に向かおう。こんな状態だと通行人に見られちゃうし。」
夢子「あ…そうですね。」

確かにリンゴを大量に抱えた人間が3人立ち話してたら怪しい。
考えるのを止めとりあえず、家に向かうことにした。


夢子はふたりをタワマンの50階に連れて行った。
家に帰ってきた夢子。
玄関を開けてふたりを家の中に招き入れる。
わたあめが尻尾を振って喜んでお迎えしてくれた。
わたあめが尻尾を振るのはその人が悪人じゃない証だ。
この子は善人と悪人を見分ける力があるからだ。

わたあめの後からルフレがやってきた。

ルフレ「夢子、遅かったね?そんなにリンゴ買うの大変だったの?…って。

   
    そ、そこにいる‥‥きききき‥‥君たちふたりは‥‥!!」


ルフレの反応を見ても分かる。
やっぱりな、と。

で、肝心な正体は‥‥


ルフレ「カムイ勇者じゃないか!!!」




やっぱり、そうだった。
謎に裸足なのが《カムイ》でボブヘヤーの落ち着いた青年が《勇者》だ。

夢子「やっぱりファイター!?」
ルフレ「何で君たちがここに…って言ってもまあ最近の出来事から大体察するけど。」
カムイ(?)「あはは、そんな驚く?って言うか久々だね、軍師。元気だった?って聞かなくても元気そうだね?」
夢子「え?でもカムイさんって…私の良く知ってるカムイさんは女性で…うーんでもゲーム内ではふたり…」
カムウ「ああ、一応今は僕の妹って事になってるよ。まーその辺のややこしい説明は今度ねー。メタくなるし。
    そうだ、名前もややこしいだろうから…僕の事は今後《カムウ》って呼んで?」
ルフレ「まあ、それはどうでもいいけどさ‥君たち…何でこんなところに居るの?」
カムウ「何故って?君たち同様マスターに呼びだされて召喚されたんだよ。」
ルフレ「やっぱりそういう感じか…まあそれしかないよね。」
夢子「この間のブラピと言いこの短期間で参戦者がこうも集まってくるとなると…いよいよって感じだね。」
カムウ「ユーシャ(勇者)、黙ってないで君も何か言いな?挨拶くらいしたら?」
ユーシャ「…。」
カムウ「ごめんねー。コイツ人見知りで。初対面だとすぐ黙っちゃうんだよね。でも悪い奴じゃないから。」
ルフレ「それはいつもの事だからどうでもいいけど。」
夢子(いつもの事なんだ…)

ピット「ねールフレ、誰と話してるのー!?って‥‥‥うあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ーーー!!!」

ここでピットの叫びを起点に家の中に待機していた剣士男子達にカムウとユーシャの存在がバレてしまう。


一気に騒がしくなる家の中。

カムウ「…煩いなぁ。動物園じゃあるまいし。久々に会ったんだから歓迎くらいしてくれたっていいよね、ユーシャ。」
ユーシャ「…。」


ピット「ええええ!?何でこの二人までここに居るの!?」
リンク「きっとブラピと同じ経路でしょう。俺も段々驚かなくなりました。」
マルス「ナニナニ、これ以上増えるとかアリなの!?僕は逆にパニックになりそうだよ!?っていうか剣士多過ぎでしょ!?軽くバグだよ!?」
アイク「…お、リンゴ美味そう。…1つ食っていいか?」
シュルク「今日一日何か嫌な予感がすると思ったら…これの事ですか。」


ルフレ「参戦するのは別に良いんだよ。でもね、一言言っておくね。


    
    夢子はの物だから!!!くれぐれも手出さないでよね!?」



カムウ「え?何て?」
ルフレ「だーかーらー!!夢子は僕の彼女だから、絶〜対、手出さないでよ?」
カムウ「そうなの?ふーん残念。」
ルフレ「ほっ、君は物分かりイイみたいでよかっt…」

するとカムウは夢子に微笑みかける。爽やかスマイルで。

カムウ「じゃあ、奪い取るまで、だね。だって君の物何て証拠無いでしょ?それに君には勿体ないよ。」


ルフレ「ですよねえええ!?こちとらこうなる展開は察してるんだよおおお!?(激怒)」

カムウ「そんな怒らないでよ。血圧上がるよ?さて、今日は一旦帰る事にするよ。
    って言っても君たちの家の下の階に僕らの家あるんだけどねー。
    今日から住むことになったんだ。どっちみち挨拶しに来ようと思っててさ。」
ルフレ「君…それよりさっきの問題発言…(イライラ)」
カムウ「(シカト)また後日作戦会議でもしようか。じゃあね、夢子ちゃん。もうリンゴ落としたりしないでね?またすぐに会いに来るね。
    そうだなぁ…今度はお近づきの証にデートでもしよ?」
ルフレ「はぁ!?何抜かしてるのこの竜男!?」
夢子「あはは‥‥」
ユーシャ「…。」


カムウとユーシャは帰って行った。


ルフレの顔が怒りで真っ赤になっている。
まるで玄関に置かれたリンゴの様に真っ赤だ。



夢子「ふぅ、何だか大変な事になって来たね。」
ルフレ「あり得ない…最悪だよ…天地がひっくり返るでしょこんなの。」
夢子「まあ、二人ともいい人そうで良かったけど。」
ルフレ「どこが!?!?アイツら夢子の事狙ってるよ!?」
夢子「…??そうなの?」
ルフレ「君、危機感無さすぎ…。人たらしって此処まで来ると異次元だよ…」
夢子「でも、仲間が多いのは良い事だよ!頼もしいじゃない!!」
ルフレ「それはそうだけど、僕は恋のライバルが増えるのはもっと嫌なんだ…。」


何だかんだで参戦者がブラピの他にカムウとユーシャのふたりも加わった事になった。
夢子は呑気にしているがルフレは神経質になっていた。
そう、恋のライバルが増えてしまったから。



ルフレ(カムウは120%夢子の事狙ってたし、それより侮れないのがあのユーシャ…
    さっきはずっと黙ってたけど、夢子をチラチラみて顔赤くしてたのは僕は見逃さないんだから…!!
    絶対夢子を守り切らなければ…!!!って言うか今も昔もライバルが全員美形なのが非常にやりにくいんだよ…
    ああ…クロム、こういう時って僕はどうしたらいいんだ…軍師なのに最近策が全く浮かばなくなってきたよ…)

一難去ってまた一難。
ルフレも夢子を守るのに必死だ。




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