最終話


夢子は目を開けた。
底には青い草原が広がる。
太陽の光が眩しい。
そよ風が心地よい。




夢子「帰ってきたんだ…私達…。」






【75】




そこは幻双国だった。
以前と何ら変わりのない光景。
平和な、世界。
もう、あの歪んだ世界に行くことはないー・・・


ルフレ「少しの間あっちの世界に行ってただけなのに、何十年ぶりな感じがするよ。」
リンク「ルフレは思考回路がおじいちゃんになったんじゃないですか?」
ルフレ「フフ、君の減らず口も懐かしいよ。」
リンク「言っときますが、夢子さんの事俺はまだ諦めてませんからね。」
リンク「君ならそういうと思ってたよ。取れるもんなら取ってみせてよ。
    僕は負けないから。今までもこれからもずっとね。」
ピット「僕も負けないもん!」
マルス「僕だって!夢子をお姫様にするんだ!」
アイク「元気いいな‥お前等。」
シュルク「これが取り柄のファイターですからね。」


沙羅「うっ…。眩しい。」
黒「やっぱりこの国は俺たちにとっては眩しすぎるな。」
沙羅「大丈夫、私には黒さんがいる…夢子だって‥」
ルキナ「少しずつ慣れればいいわ。誰だって暗がりに居て陽を見ると眩しい。」
沙羅「ルキナさん‥でしたっけ。私達を助けてくれてありがとう。」
カムイ「黒さんはお腹の傷の具合どうですか?」
黒「ああ…向こうにいる間で大分塞がった。」
沙羅「…ごめんなさい‥」
黒「もう謝るな。前を向け。俺は気にしてないから。」
沙羅「うん…。」
クロム「傷薬なら城に沢山あるから、それを使えばいい。」
ルフレ「クロムが傷薬の話するとどうもあの事件が頭を過るんだけど。」
クロム「…あれはもう忘れてくれ!///」
マルス「えー?何々?何かあったの!?長気になるんですけど!」
ルフレ「黒歴史だね。僕はあの事一生根に持つから。ね、クロム…(闇にっこり)」
クロム「もう勘弁してくれ…。(震え声)」
ロイ「…一体何があったんです?」



笑い合うファイター達。
明るい笑顔が絶えない。
夢子は幸せだった。



ドスン!!!


すると、後ろの方で何か変な音がした。



夢子達は何事かと振り返る。

そこには


アルフレがいた。



夢子は悲鳴をあげそうになる。
ルフレが剣を構えて夢子を自身の後ろに隠す。

ルフレ「…君は、何処までもしつこい男だね。まさかここまで追って来るなんて。」
アルフレ「痛たた…この転送荒いよね。いつもバランス失って脚傷める…。
     ああ、光の国の皆さん、こんにちわ。此処はいつも眩しいね?フフフ。」
夢子「何しに来たの…!?」
アルフレ「僕あっちの世界飽きたからさ。
     君たちが魔法陣で消える時こっそり後ろからついてきたんだ。」
ルフレ「お前は一体何を考えてるんだ‥‥!?また何か企んで…!?」
アルフレ「んークレイジー様…いや、クレイジーに使えるのも飽きちゃった。
     どうせ近いうち任務大失敗した僕の事殺そうとするだろうし。
     だからこっちに来てみたんだけど…ああ、ごめん、眩しすぎるからフード被るね。」
ルフレ「ここにきてどうするつもりなんだい?まさか仲間に入れてくださいとでも?」
アルフレ「…まさか。君たちと慣れ合うつもりはないよ。
     僕が欲しいのはギムレー様復活と…夢子だけだし。」
ルフレ「言う事は変わらないんだね、君。」
アルフレ「そういうわけだから、僕はその辺でひっそり暮らすよ。
     夢子、君の事はずっと狙うから。覚悟しててね。
昔よりは痛いコト、しないから。フフフ…。」


そういうとアルフレは走り去ってしまった。


ルフレ「ああ…最悪だ…あんなのが着いてきてるなんて…予想外だったね。
    でも安心して?君は僕が守るから。あんなストーカーには指一本触れさせないからね。」
リンク「俺だって夢子さんの事守りますよ。」

夢子「うん…アルフレも向こうの世界程の力はもう出せないと思うし
     そんなに大きな事仕出かさないと思う。私には皆が居る。怖くない。」
ルフレ「うん、君の事は僕らが守る。此処にいる皆、夢子の事大好きだから。」
夢子「えへへ…。」
ルフレ「ねえ、夢子。こっち向いて?」
夢子「何?」





ルフレは夢子にそっとキスをした。



途端後ろで男共のブーイングの嵐。
ルキナとカムイと沙羅は笑っている。



夢子「ちょ!ルフレ!こんな大勢の前で…!!!///」
ルフレ「笑った君が可愛かったし、此処にいる全員に夢子は僕のモノだからって示したくて。」
夢子「だからって…!」
リンク「ルフレ…俺はやっぱり貴方が嫌いです。(にっこり)」
ルフレ「うん、安心して。僕も君が嫌いだよ。(にっこり)」


喧嘩しそうなルフレに夢子はそっと耳打ちする。



夢子「ルフレ、だいすき!」


その言葉を聞いた途端、ルフレは夢子を抱きしめてまわった。
草原に咲く花の花弁が風に舞う。
夢子のローブも風でなびいた。




今この瞬間を生きる彼らにもう迷いはない。
【幻】想の様な美しい世界。
二人が手を取り合って【双】となる。



そう、ここは【幻双の世界】。
幸せになる為に生み出された異世界ー・・・


夢子「笑って、笑顔で、私たちの城に戻ろう。」
ルフレ「ああ、君の隣に僕が居る。ずっと、ずっと。」

二人は強く手を握り合う。
その意志は揺るぐことはないだろう。







【幻双世界・完】





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