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第45章【再会】






夢子は一人、ボロバケツをもって森の中を歩いていた。
木々はほとんど枯れているが、少しだけ葉をつけた木もある。
夢子「タブーはこの世界をなんで荒らしたんだろう…。」
夢子は後ろを振り返ってダークの事を思う。
夢子「あいつちゃんと安静にしてるかしら…。」
そしてしばし考える。
夢子「…まさか私の事庇ってくれるなんて…もしかしたら案外イイやつなのかもしれない…。」
そしてまた歩き始める。
少し歩いた先の岩の影に黄色い花が咲いていた。
夢子「あ…!タンポポ…!」
急いで近寄ると夢子は屈みその花を見つめた。
夢子「タブーの城にいた時もあったなぁ…。この世界でも立派に咲いてるなんて…やっぱり凄いなぁ。」
夢子は立ち上がると意気込んで決心した。」
夢子「私もこのタンポポに負けないように頑張らなきゃ!」
すると突然、霧が掛かり始めた。
夢子「嫌だ…また霧…」
その霧は濃く、視界を奪う。
夢子「何も見えない…このままじゃ食料探せない…。」

ガサッガサッ・・


夢子「何!?」
突然夢子の背後から音がした。
夢子「…プリム…!?」
手に汗を滲ませると夢子は攻撃の姿勢に入った。

ガサッ・・ガサッ・・

夢子「…来る…!」
夢子は目を凝らし魔力を腕に貯めた。
しかし、その正体を見てすぐに腕をおろした。







夢子「リンクさん・・・・!!!!」


緑の衣に青の瞳・・・
紛れもなく夢子がずっと探していた人…。
なんとそこにはあのリンクが立っていた。
リンクもこちらへと気づく。

リンク「夢子さん・・・!?」

夢子は持っていたバケツを放り投げ、リンクへと駆け寄り抱きついた。

ガバッ!

夢子「リンクさん…!リンクさん…!本当に…本物…?!」
リンク「本物ですよ、夢子さん!」
リンクも夢子を受け止める。
夢子「…会いたかった…っ!」
リンク「俺も…ずっと会いたかったです…!」
お互い強く抱きしめ合い、互の目を見つめ合う。
夢子「私、リンクさんが生きてるって信じてました…!」
夢子「夢子さんを残して死ねませんよ。」
いつもの優しい笑みをリンクは夢子に見せる。
夢子「リンクさん…」
リンク「夢子さん…」
見つめる距離がどんどん近づく。
そして唇と唇を重ねようとしたその時。




ピット「ああああああああああああああああああああああああああああ!?」

バラバラバラガシャガシャ!


夢子「!?」
リンク「!?」

キスをする寸前の二人を間が運悪く見つけてしまったピットがいた。
あまりの衝撃で集めた巻をすべて足元へ落とす。
ピット「夢子!ずっと探してたんだよ!っていうかリンク!!!今何をしようと…」
口をパクパクさせながら泡を吹くピットにリンクは少しキレ気味で言う。
リンク「貴方は…ホンットタイミング悪すぎです。」
夢子は顔を真っ赤にしていた。
夢子「ぴ…ピットさん!久しぶりですね!」
ピット「うん!久しぶり!元気そうで良かった!マルスとアイクも待ってるよ!会いに行ってあげてよ!」
夢子「はい…!」




夢子はリンク達がキャンプをしようとしている湖の畔へ来た。
釣りをしていたアイクとサボって寝ているマルスにピットが声をかける。


ピット「おーーーーーーーーーい!!!夢子見つけたよーーー!!!」
ピットの言葉を聞き、アイクは持っていた竿を落とし、マルスはびっくりして飛び起きる。

マルス「夢子!?わーー!ホントだ!夢子がいるよ!!」
アイク「夢子、久しいな!…怪我はないか?」
夢子「はい!皆さんにも会いたかったです!!!」
マルス「ところで何処で会ったんだい?」
ピット「あ、そうそう!リンクが森で夢子にキ…ぐはっ!?」
ピットが先ほどの出来事を報告しようとするとリンクはピットに腹パンをする。
ドスッ!
リンク「はいはいちょっと黙ってくださいねー。」
ピット「痛いよリンク…」
マルス「『キ…』ってなにさ〜!気になるんですけど。」
アイク「続き言え…。」
リンクはピットに黒い笑みで威圧をかける。
リンク「さっきの事は誰にも言わないでくださいね。言ったら…わかりますよね?」
ピット「わ…わかったよ…イテテテ…。アイク、魚釣れた?」
アイク「ああ、割と魚いるようだぞ。かなりの量採れた。」
マルス「やったー!やっとちゃんとしたご飯食べれるよ!チョコレートだけじゃお腹空いて死にそうだったもん…。」
リンク「夢子さんも一緒に…」

そう言いかけたリンクだったが、夢子の表情が曇る。
夢子「私は…帰らないと…」
リンク「どうしたんですか?…帰る、て何処に…」
ピット「そうだよ!このまま僕らと一緒にいこうよ?」
夢子「・・・。」
夢子は寂しい顔をして言葉を濁らせる。
マルス「どうしたの?何か理由でもあるの?」
アイク「遠慮しないで話してくれ。」





夢子は勇気を振り絞って言った。
声にならないような声で。







夢子「あの人が…『ダーク』が待ってるの…。」



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