73


ルフレと夢子は森の中を走っていた。
お互いしっかりと手を握りしめてー・・・






【73】


ルフレ「僕、城に帰ったら君とやりたい事沢山あるんだ。」
夢子「無事に帰ったら色々しよう?」
ルフレ「ああ、茨の鎖の痛みなんて感じなくなったよ。
    夢子が僕の彼女で本当に良かったって思う。」
夢子「フフ!そうね!」
ルフレ「さあ、もう少しだ。もう少しで魔法陣のある場所に‥‥あれ?」


ルフレと夢子の脚が止まった。

夢子「なに…これ…」

夢子の見下ろす方向には巨大な亀裂があった。
向こう側とこちら側を遮断するかのような亀裂。
切り立った崖のようになり底は暗くて見えない。

ルフレ「…僕らが逃げ出すの想定して意図的に…」

ルミレ「そうですわ…ルフレ様。」

振り返るとボロボロの状態のルミレが立っていた。
片腕は取れて、美しかった顔にもヒビが入っている。

夢子「ルミレ…。」

ルミレ「まさか貴方方がこんなにも抵抗するとは思いませんでしたわ。
    …そしてこの私を壊した…その罪は重い。分かります?」
ルフレ「ルミレ、もう止めるんだ。それ以上暴れたら君自体が完全に壊れるよ?」
夢子「そうよ、もう貴女は戦えない…だから…」



ルミレ「煩い!煩い煩い煩い!!!」



夢子「!?」

ルミレに今までの気品と余裕はなかった。
その目は怒りに支配されている。

ルミレ「貴女さえいなければ…貴女さえ…!」

ルミレは茨を手から出してきた。
その攻撃は夢子をめがけて一直線に。
夢子はたじろぐ。後ろは崖。逃げ場がない。
夢子(…殺される…!)
すると、

ルフレが夢子を抱きしめた。
そして後ろにあった亀裂に二人は身を投げ出した。

ルミレ「なんですって…!?自ら死を選んだ…!?」

ルミレは絶望する。




落ちていく二人。
どんどん視界が黒くなっていく。
凄いスピードで落下してるはずだが、ふたりにはゆっくり落ちているように思えた。
夢子「私達…落ちてる…私、怖い。このまま死ぬのかな?」
ルフレ「大丈夫。僕がずっと側に居るから。君を離さない。例え命が尽きても。」
夢子「やりたい事、いっぱいあったのにね。…叶わないのかな?」
ルフレ「なんだろう、僕は死ぬ気がしないよ。君と一緒だから。」
夢子「こんな時にもそんなこと言うのね。貴方らしいわ。」


二人は目を瞑った。互いを強く抱きしめて。
今までの楽しかった思い出が走馬灯のように頭を駆け巡る。

夢子「ありがとう・・・。」



夢子は目を瞑った。






その時だった。







聞き慣れた声が響く。



ピット「お…重い…」


夢子「ピット君!?」


そこには羽を一生懸命動かがらルフレと夢子を掴むピットがいた。


【いいね!!】

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