70


【70】

夢子はルフレを探していた。
薄暗い城の中、部屋の数も多くて何度も空振りした。
夢子「ルフレ…ルフレ…お願い…見つかって?」
ふと夢子は瞳を閉じる。
そして全神経を集中させ五感を研ぎ澄ませる。


夢子「・・・。」



夢子は自身の脈が、鼓動が高鳴るのを感じた。
暗い通路の先で薄く光が見えた。


夢子「ルフレはこの先にいる…!」


再び夢子は走り出した。
ルフレがいる気配を感じた。
絶対にいる。彼女は信じた。
しばらく走っていると行き止まりにたどり着いた。
目の前には毒々しい造花の花で彩られた扉がある。
―…間違いない、ルミレの部屋だ。

夢子「こうも判りやすいだなんて…あの人バカね。」
ドアノブを触る。カギはかかっていない。それどころか少し開いている。
夢子は扉を開いた。


ギイイイイイ・・・


扉はゆっくり軋みながら開く。
そこには椅子に座りうな垂れるルフレがいた。


夢子「ルフレ!!!」




夢子は彼の姿をみて思わず駆け寄る。
夢子「ルフレ・・ルフレ・・ごめんなさい、助けるのが遅くなっちゃった・・。」
ルフレ「・・・。」
夢子「ルフレ?ああ…やっぱり瘴気にやられてしまったのね…
     今から私が助けるから…えっと…こういう時はどうすればいいんだろう…」
夢子は考えていてふとルミレとルフレのやり取りを思い出して少々頭にきた。
夢子「あの人…ルフレにキスされて凄く喜んでた…
      そんなの許せない…本来なら私がルフレの彼女であんなことは私とだけって―・・・」
そう言いかけた時だった。

突然うな垂れてたはずのルフレが立ち上がり夢子を抱きしめた。




夢子「え!?」
ルフレ「…夢子。」
夢子「る…ルフレ!?目が覚めたのね!?大丈夫?正気になった?」
ルフレ「うん…実はというと瘴気にやられたフリしてたんだ。ずっとね。」
夢子「え…でもルミレにキス…」
ルフレ「ゴメン、あの時はああでもしないとうまい事話が進みそうになかったから…
    でも夢子。僕はうれしいよ?」
夢子「何が…?」
ルフレ「君から初めて僕の彼女って言葉はっきり聞けた気がするから。」
夢子「あ・・あれは勢いで・・・つい必死で・・・。」
ルフレ「照れてる?そんな君もカワイイ!」
夢子「いつも通りね。でも、ルミレの奉仕よく耐えきったね?
     彼女・・・・悔しいけど私より美人でスタイルもいいし…。」
ルフレ「僕は君以外とは何にも反応しないよ。もーまんたい!」
夢子「あはは…。ってそれよりいつまで抱きしめてるつもり?いい加減離れなさい…!」
ルフレ「やっぱり僕は君が好きだよ。」
夢子「わかってるってば…私もだから。」
ルフレ「よし、イチャつくのはこのくらいにしてそろそろここから離れないとね。
     彼女、ルミレはヤバイ薬持ってくるって言ってたから…
     さすがにあんなの飲まされたら僕でもやばいかも。」
夢子「そうね、早く出ましょう。…この部屋不気味すぎて…長く居たくないわ。」





夢子はルフレの足首の茨の鎖を外しにかかる。
トゲの食い込んだルフレの足首から血が滴る。
夢子「痛そう…よくこんなの我慢してたね。」
ルフレ「僕だってスマブラのファイターとして、元の国では軍師として闘ってるんだ。
    …このくらい痛くもかゆくもないよ?」
夢子「ふふ、強いのね。身体も心も強い。…私もルフレみたいに強くなりたい。」
ルフレ「大丈夫、君は既に強いよ。今まで色んな逆境乗り越えてきた。十分強いよ。」
夢子「…外れた!これで自由よ。…ここから逃げましょう。」


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