62


ルミレ「アハハハハハハハハハハ!!!!」




【62】





ルミレは狂ったように突然笑いだす。
地上から再び木の根が這い出る。
ルフレと夢子の脚を素早く捕らえて動きを封じる。
ふたりは動けない。
ルミレは黒い笑みを浮かべている。


ルミレ「私の心は空っぽ。そして穴が開いている。
    どんなに温かで優しい水を注がれても穴から流れていくの。」


ルフレ「く‥脚が動かない…!」
夢子「ルフレ‥ごめん、私も捕まっちゃった‥」
ルミレ「藻掻けば藻掻く程絡まるわ。
    この子たちも良い仕事するでしょ?
    所詮命何て偽りでも力は出せるのよ。」


ルミレはルフレに近づく。
ルフレ「クッ‥殺すなら僕だけを殺せ…!夢子には手を出すな…!」
ルミレ「コロス?そんな恐ろしい事しませんわ。
    貴方も夢子さんも生け捕りするのが命令なの。
    それに…私は貴方がほしい。貴方のすべてが…欲しい。」

ルフレの目の前に立つルミレ。
ルフレの頬に手を当てる。

ルミレ「ああ、美しい。その瞳に何れ、すぐに私だけが写る。」


ルミレはルフレの口に接吻をした。




ルフレ「!?!?」



夢子「!!!」





ルフレは顔を動かして抵抗しようとする。
しかし木の根は今や全身を捕らえている。


ルフレ「…クッ!やめろ‥!僕は夢子以外となんて…!」
ルミレ「フフフ!甘いわ…甘美…!これがキスの味なのね…!」
夢子「やめて…ルフレにこれ以上酷い事しないで!!!」
ルミレ「うーんそうね、これ以上貴方の言う酷い事、しないでおくことも出来るわ。
    …ただ、条件があるけど。」
夢子「何…?」




ルミレ「貴方達二人とも、今すぐ降伏してすぐにクレイジー様の配下になるの。」




ルフレ・夢子「「!?」」


ルミレはルフレから離れる。
そして根で椅子を造りそこに腰を掛ける。

ルミレ「簡単なお話でしょう?ルフレ様と夢子さん、貴方方2人がこちら側へ来るの。
    そしたらもうこれ以上光の民には酷い事はしないわ。…多分ね。」
夢子「…本当に?」
ルフレ「夢子、止せ、彼女の話をまともに聞くんじゃない!
    絶対何か企んでるに違いないよ!?」
ルミレ「ルフレ様、そんなに私が嫌い?」
ルフレ「僕が好きなのは夢子ただ一人だ。…君がどんなに僕を魅了しようとしても僕は…」
ルミレ「そう、じゃあこういうのはどうかしら。」



ルミレは再び指を鳴らす。

パチン…!!

夢子の足元を掴んでいた木の根が伸びだす。
そして夢子の喉元に木が伸び、首を絞める。


夢子「くはっ・・・!!く…苦しい…!」
ルフレ「夢子…!!」
ルミレ「さあ、ルフレさん。選んでください。降伏か、彼女の命の灯が消えるか。」
ルフレ「君は僕らを生け捕りにするんじゃないのか!?話が違う…!」
ルミレ「ごめんなさい、私は意志のある人形。
    気も変わる事もあるわ。
    例え夢子さんがここから居なくなってもルフレ様がいる。
    私はそれだけでもう十分満たされる。
    さあ、空の心の穴を塞いで?」
夢子「ル…ルフレ…ぁ……」














ルフレ「分かった!分かったから…もう夢子に手を出さないでくれ…!!
…もう…大切な人が苦しむ姿なんて…見たくない…!!」



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