61


ルフレ「夢子、僕は君を愛して本当に良かった‥‥!」




【61】









振り向くと夢子の後ろにはルフレが立っていた。
息を切らし木に手を置いて立っていた。




夢子「ルフレ‥!どうしてここが‥!?」
ルフレ「君の今朝の香水の香り覚えてたから…
    でもこうして君の事見つけられて良かった…。
    ルミレ、君に僕らの絆を壊せるかい?」
ルミレ「ああ、ルフレ様…やっぱり会いに来てくれたのですね…
    これは運命‥いや、必然…!」
夢子「ルフレ、朝はごめんね…全部この人のせいだったのね?」
ルフレ「まあ、ね…。君に危害加えられるの考えると怖くて。
    でも君に分かって貰えたらなら僕はそれでいいよ。」
夢子「私は大丈夫よ…それより今この敵をどうするか…。」
ルミレ「私と戦いますか?…それは止めた方が良いですわ。」
夢子「2対1よ?私は兎も角…ルフレは強い。貴女に勝てる?」
ルミレ「私には造花を操る力があるの。
    貴女がさっき惚れたように、私の咲かす花には偽物の命が宿る。
    本物に負けない美しさを…偽りでも負けない命を咲かせましょう!」





パチン!


ルミレが指を鳴らすと周囲の植物が動き始める。






ゴゴゴゴゴ…!!!!





夢子「ルミレ…貴女まさか…!」

ルミレ「実はね、貴女達がこの世界に来る前から策は練ってたの。予知の力がこちらにはある。
    そしてこの森の最深部、つまりここにある計画。それはね…
    この森は全て私の力で造られた植物で全てが成り立つ。
    木々や草、花も木の実も…この森の植物は私の力で生きているの。
    ああ、生きてるとは言ってはダメね。この子たちにも精力はないものね。
    長い道のりだったわ…。ずっとこの森はアナタ達を待ってたのに
    なかなか来てくれないんだもの。
    …そんなに夢子さんの世界が楽しかったのかしら?」
夢子「そんな…!」
ルフレ「夢子、これ…かなりヤバイ状況だよ?
    僕らが想定してたより事態は深刻らしい。
    そして彼女…ルミレは相当強い。
ルミレ「さあ、丁度主役の二人が集まったのだから後はお話で解決しません?
    私も手荒な真似はしたくないのです。美しく終わらせましょう?」

パチン…!


ルミレが再び指を鳴らした途端、地面から作られた植物の根が這い出てきた。
真っ先にルフレと夢子の足元へと狙いを定めて…

ふたりはかわす。
そして攻撃態勢に入る。
ルフレ「夢子は僕が守る…!トロン!!」
ルフレはルミレにトロンを放つ。
ルミレは木の根を自身の目の前に生やすと攻撃を塞いだ。




ルミレ「ああ…素敵…。」






夢子「ルミレ、相手はルフレだけじゃないのよ?ファイア!!」

ルミレの死角に入り込んだ夢子は魔法を放つ。
ルミレは笑って再び木の根で防ぐ。

ルミレ「ああ、楽しい…楽しいわ。貴女は兎も角ルフレ様と一戦交えるなんて…
    夢みたい…いいえ、夢じゃない、現実。そうよ、これは現実…!!!」
夢子「貴女…ルフレにほんとに惚れてるの?」
ルミレ「え?」
夢子「貴女の瞳には光が無い…一体何を見ているの?」
ルミレ「勿論ルフレ様だけを見てるのよ?わからない?」
夢子「いいえ、貴女は見えていない。…ただ自分を認めて包み込んでくれる優しい光を求めてるだけ。」
ルミレ「?」
夢子「本当に彼…ルフレの事が好きなの?」
ルミレ「私は本気よ?貴女にはわからないわ。真の愛を知るのわ私だと…!」
ルフレ「夢子の言う通りだ。君は愛情というものに飢えてるだけだ。」
ルミレ「ルフレ様…?」
ルフレ「君はクレイジーによって造られたドール(人形)だと言ったね?
    …ずっと孤独だったんだろ?」
ルミレ「私を憐れむの…?」
ルフレ「孤独が辛いのは分かる。僕もずっと孤立してたから。
    でも、だからと言って人に愛を要求してはいけない。
    特に一方的にはね。一緒にいて少しずつ育むものだよ?
    ルミレ、君は一方的だ。その愛は重たいよ。そして受け入れられない。」
ルミレ「ルフレ様‥‥なんで…貴方まで私を蔑むの…?」
ルフレ「言葉の意味、理解できないかい?」
夢子「クレイジーも貴女も何を考えてるのか全く意味がわからないわ。」
ルミレ「あのお方は夢子さんが欲しい。そして私はルフレ様が欲しい。ただそれだけの事よ?」
ルフレ「僕は君のモノにはならない。そして夢子も渡さない。
    …今日は切り上げて僕らの意志をクレイジーに伝えてくれないか?
    夢子を傷つけるものがあるとしたら僕はこの命にかけて阻止する。」
ルミレ「・・・。」










ルミレの攻撃の手が止まった。
束の間の静けさが辺りを包む。





ルフレ「…僕らの話、分かってくれたかい?」
ルミレ「…わかる…わからない‥‥私は…私の思い…答え…」
夢子「…!?ルフレ、彼女の様子なんか変よ?」」
ルフレ「…一体どうなってるんだ?僕らの声、届いたのか…?」
夢子「いいえ‥その逆よルフレ。彼女には…心のない彼女には…」



【いいね!!】

[ 208/508 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]