59
【59】
幻双国ではいつもと変わらない朝がやってきた。
ファイターたちはいつも通り朝食を食べていた。
今日はルフレの作った朝ごはん。
しかし、問題があった。
ピット「ちょ!ルフレ!このベーコン超しょっぱいんだけど!!」
マルス「このスクランブルエッグなんか超甘いよ!?」
アイク「モグモグ、俺はこれはこれで有りだとおもうが。」
シュルク「アイク…それは貴方の味覚が問題あるかと…。」
リンク「ルフレ、貴方どうかしましたか?なんか変ですよ?いつもの威勢がない…。」
ルフレは上の空でそんな話も聞こえてない様子だった。
夢子「ルフレ…?」
ルフレ「ん?なんだい夢子?」
シュルク「夢子さんの言葉には反応するんですね…」夢子「貴方昨日からなんか変よ?何があったか話すって言ってたのに
今の今まで話してくれないし。」
ルフレ「ああ、ごめん…。」
夢子「私に話せない話でもあるの?」
ルフレ「…君に迷惑かけたくないんだ。僕のせいで色んな厄介ごとに巻き込みたくない…。」
夢子「私は、信用されてないの?」
ルフレ「そんなことは…!!」
夢子「私だって今まで貴方に迷惑沢山かけてきた…それでも貴方は嫌な顔ひとつしなかった。
私にも厄介な話していいのよ?迷惑、かけてほしい。」
ルフレ「そのせいで、君の命が危うくなるのが…僕は怖いんだ。」
夢子「貴方にとって私はその程度の存在なの?その優しさが時に辛い時もあるのよ?」
ルフレ「違うんだ…僕は君の事を…」
夢子「もういい、ご馳走様。…ちょっと外に出かけるね。」
夢子は食事を中断して席から離れた。
ピット「そんなにルフレのご飯不味かったのかなぁ?まーほんとの事だけど。」
マルス「いや、そういう問題じゃないと思う。」
アイク「モグモグ…」
シュルク「アイク…こんな時に良く食事続けてられますね…僕は味は兎も角喉通りませんよ。」
リンク「ルフレ、この状況どうするつもりですか?」
ルフレ「どうって…。」
リンク「俺なら夢子さんをすぐに追いかけます。彼女を愛してるから。
…貴方はどうなんですか?俺に負けないほどの愛を彼女に向けているのでしょう?
今すべき事は、わかってますよね?」
ルフレ「…うん、僕は追いかけるよ。彼女の手をもう一度掴んで見せる…!」
ピット「ふふ、リンク、なんか大人になったね?
普段なら【今のうちに夢子ゲットのチャンス!】って言うだろうに。」
リンク「…うるさいですよ。そんなことしませんよ。俺だって成長してますから。」
ピット「ほんとにー?」
リンク「…貴方にビタロックかけて顔面ハリセンでおうふくビンタしていいですか?」
ピット「ヒイ、ごめんってば!勘弁してよ〜」
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夢子は一人城から少し離れた森にいた。
走りに走って息が切れている。
無我夢中で走って辿り着いた場所がこの森だった。
夢子「ここは…確か‥」
そう、この森はシルフ…いや、本当の正体が闇の精霊だったシャドウと出会った曰く付きの森。
マスターが言っていた。
この森には善き者も悪しき者も存在する森だと。
領土は光の国、幻双国の領土だが…最近はそれも怪しいらしい。
夢子「…私何かあるたびにここに来てる気がする。…なんでかな。」
ふと足元を見た夢子。
小さな赤い花が咲いていた。
夢子「わぁ、綺麗!初めて見る花だ…!」
すると瞬きをした瞬間、花が消えた。
夢子「え…?さっきの花は?」
辺りを見ると森の奥の道へ花が再び咲いていた。
夢子「幻覚‥ではないよね?」
夢子は赤い花を追いかけた。
花は咲いて、消えて、咲いて、消えて…それを何度も繰り返した。
夢子は夢中になって花を追いかけた。
自分が知らずのうちに闇の国へ導かれていることも知らず・・・。
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