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ルフレ「彼女…ルミレは危険な存在だ…。」





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ルフレは燃え尽きた後の村に戻ってきた。
すぐに夢子とピットが駆け寄る。

夢子「ルフレ…?どうしたの?顔真っ青だよ?」
ルフレ「…ああ、悪夢を見ていたみたいだ。」
ピット「んー?バッチリ起きてるじゃないかー?それともこっそり寝てたりしたの?」
ルフレ「夢子、君の事は僕が守り抜くから。」
夢子「ど…どうしたのよほんとに。気分でも悪いの?」
ルフレ「…うん、後で話すね。」
ピット「ルフレが元気ないと僕も調子狂うなぁ…いつもの張り合いないとか、ある意味怖い!」
ルフレ「それより村の被害はどうなった…?」
夢子「…残念ながら数名は助からなかった…火傷や煙の影響が酷くて。」
ルフレ「そうか…。」
ピット「でも村長は僕らが駆け付けてくれて良かったって言ってたよ!
    …この国は僕らが守らないとね♪村長も僕らの事【勇者】って言ってたよ!」
夢子「私は力不足だったからそんな名誉貰えないわ…。」
ルフレ「君は良く動いてくれたよ!君が持ってた傷薬でどれだけの人間が救われたやら。」
夢子「それを言うならマスターとクロムにもお礼言わないとね!」
ルフレ「クロム…むむ、またあの事件思いだした…。」
ピット「そーそ、その調子がいつものルフレだよ!」
ルフレ「ピット君は僕をどういう目で見てるんだい?」
ピット「うーん、超ヤキモチやきで…超嫉妬深い?それにリンクと超争ってて…あとは…」
ルフレ「ちょ!紳士的だと言うべき場面でしょ!?全然褒めてないじゃん!」
ピット「アハハ!」
夢子「この村、再建できるかな?」
ルフレ「大丈夫だよ。この世界には魔法があるから。
    それに僕らも手伝いにこよ?…そう僕が言わなくても君はそうするだろ?」
夢子「見抜いてるのね?」
ルフレ「僕の彼女だから。」
ピット「あー!夢子は僕の彼女になる予定なんだぞー!」
ルフレ「悪いけど、負ける気がしない。」
ピット「絶対勝ってやるー!ね、夢子!」
夢子「???」












此処は幻失国。
光の届かない漆黒の国。
その場所にある城に先ほど村を焼いた犯人がいた。
クレイジー「ルミレ、帰ったのか。」
ルミレ「はい、クレイジー様。言われた手筈で幻双国近隣の村を火を放ちました。」
クレイジー「流石私の子。命令通りに良く動いてくれた。」
ルミレ「…あの者はどうなりましたか?」
クレイジー「ああ、アルフレの事か。あの者にはがっかりだ。
      役に立たない上に大怪我まで負って…あとで仕置きをしなければならない。」
ルミレ「あまり虐めないであげてください。彼は…外見はあの人によく似てる。
    性格は歪んで全く似つかないけど、目の保護にはなる…。」
クレイジー「ほう、気に入った子を見つけたのだな?」
ルミレ「はい…私こんな気持ちになるの初めてなんです。」
クレイジー「何れ何もかも我が支柱に収まる。その時お前の思いとやらは報われるだろう。
      もうすぐ、夢子も手にはいる。遠くない未来にな。
      お前も欲しいモノを手に入れるんだ。例え、どんな汚い手を使ってでも。 
      それがこの世界で生きる者の特権だ。」
ルミレ「私の…欲しいモノ…。」


ルミレは王座の部屋から出た。
そして独り呟く。





ルミレ「心とは…愛とはこういうものなのですか?
    私にもやっとわかる日が来る…本物の愛が。」
すると目の前から黒が歩いてきた。
ルミレ「黒さんこんにちは。いえ…光は永遠に届かないから永遠にこんばんわ、かしら?」
黒「あっち側の村を焼いたんだってな。」
ルミレ「ええ、貴方にも見せたい光景でしたわ。紅の炎が燃えて、人も建物も焼き崩れて。
    悲鳴と絶望の声…ああ、それはもう美しい光景でしたわ。」
黒「悪趣味だな‥。」
ルミレ「私知ってますよ。貴方が夜な夜なモンスターを狩ってる事。
    血塗れになって帰ってくるのを、私は知ってます。‥そんな貴方が人の事言えますか?。」
黒「・・・。」
ルミレ「貴女はあの夢子って子の事好きなのですか?」
黒「お前には関係ない…。」
ルミレ「いいえ、関係あるわ。ねえ、私と手を組みません?
    私はあのお方、ルフレ様が気に入ったの。
    彼と彼女を引き離すの。良い話だと思いません?」
黒「…これは自分で解決しないといけない問題だ。」
ルミレ「…まあいいですわ。私は勝手にその様に動くから。
    ルフレ様を夢子さんから引き離す。
    そしてルフレ様は私の元に、夢子さんは黒さん、貴方のものに。
    フフフ、素晴らしい計画になりますわ!皆が幸せになれる。」
黒「勝手にしろ…俺はクレイジー様に用があるからもう行く。お前と話してる時間はない。」
その場から立ち去る黒にルミレは笑顔で見送る。
笑っているが、笑ってはいない。
そう、彼女はドール【人形】だから。
感情が死んでる彼女の瞳にはルフレのあの勇姿が焼き付いて離れない。

ルミレ「ああ、ルフレ様、貴方はなんて神々しいのでしょう。夢子さんに貴方は勿体ない…。」



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