54



【54章】


夢子はマスターハンドのいる玉座の間にいた。
マスターは傷だらけの夢子を見て驚く。
そして頭を下げる。

マスター「夢子…!?すまない、ここまで酷な体験をさせてしまって‥傷は痛くないか?」
夢子「ルキナさんから貰った傷薬で大分楽になりましたよ。マスターさん、頭あげてください!」
マスター「後ほど傷跡の残らない傷薬を手配しておこう。
     それでだが、夢子、クレイジーには会ったか?」
夢子「いえ…今回も遭遇する事はなかったです。
     でも、アルフレに致命打を与えることができました!」
マスター「そうか…。」
夢子「あの、マスターさん。」
マスター「何かね?」
夢子「アルフレもマスターさんと同じこと言ってました…
      クレイジーは私を妃にしようとしてると。
     私、どうしてもその意味がわからないんです。何故私なのでしょう?」
マスター「以前離した通り、君には邪神の血が流れてる。
     それはこの国、いや…この世界の運命を握りかねない代物なのだよ。」
夢子「この世界?」
マスター「君を妃にして、洗脳させて邪神を復活させたいのだよ。」
夢子「復活って…聞きたくないけど…具体的にどういう意味なのです?」
マスター「…簡単に言うと、クレイジーは君との間に子を儲けようとしている。
     邪神の血を引く魔女の君との間の子な第二の邪神になるだろう。
     …酷な話だったね、君には本当に辛い事ばかり言って…申し訳ない。」
夢子「‥いいえ、真実が聞けて私は良かったです。…でも…正直胸糞悪いです。」
マスター「正論だな。でも君にはルフレや他のファイター達も味方にいる。
     だから簡単にはクレイジーの野望通りにはさせない事を誓おう。」
夢子「ハイ・・・・。」
マスター「…弟は…以前はあのような考えなど持たぬ程真面目だったのだよ。
     いつからこじれたのか…私にも把握できてない。
     でも私たち光の国の住民は君を守ると約束しよう。」
夢子「私も戦いますよ?守られてるだけのか弱い女のコはもう嫌だ…
      この手でクレイジーの暴走を止めれるようになるくらい強くなります!」
マスター「君のその強い気持ち、彼らが何故君に惹かれるかわかる気がするよ。
     …夢子、これからも皆と一緒に頑張ってくれ。」
夢子「はい!」
マスター「では今しばらく受けた傷をゆっくり治療するといい。
     …心の傷のほうも、な。」
夢子「…わかりました!」





マスターのいる玉座の間から出るとすぐにルフレが駆け寄ってきた。
ルフレ「夢子、話終わった?」
夢子「うん!」
ルフレ「君さえよければどんな話したのか内容知りたいんだけど…ダメかな?」
夢子「ううん、ルフレには話す。クレイジーの企み…。」

夢子はルフレにマスターから聞いた話を全て話した。
するとルフレが笑う。
笑ってるが…目は笑っていない。寧ろ怒りの感情が見える。

ルフレ「あいつ(クレイジー)は絶対僕が息の根止めてやる…
ルフレ 僕は今怒りで煮えたぎってるよ…夢子との子を儲ける?フ、ほんと笑っちゃうよ。
    夢子は僕の奥さんなんだから絶対そんな事させない。儲けるの僕だし。
    っていうかそういう考えをもつ脳みそ自体を直で握り潰したい…(イラッ☆彡)」
夢子「って、まだ貴方の奥さんじゃないし!」
ルフレ「だって20歳まで待てないよー?そうだ、いっその事この国で式あげない?盛大に!」
夢子「まだダメ!」
ルフレ「ふーん…まあ君の意志尊重するけど。でも早めるって言う手も考えてね?」
夢子「はぁ…。」
ルフレ「カップルだから出来る事も沢山あるしね♪」
夢子「すべてが終わった時…その時は考えるわ。」
ルフレ「じゃあ尚更これから頑張らないとね!
    クレイジーの魔の手から君を守り抜くと誓うよ。」
夢子「…ありがとう。とても心強いわ!」
ルフレ「さて、久々に厨房に立とうかな。夢子、何が食べたい?」
夢子「うーん、ルフレの手作りならやっぱチーズケーキかな?」
ルフレ「わかった、それじゃあ君の為に腕を振るうよ!」
夢子「わーい!」
ルフレ「君のその笑顔で僕はご飯おかわり出来るよ!」
夢子「でも、私貴方がアルフレに勝って、助けに来てくれてほんと嬉しかった。
      もう誰にも助けられずあのまま痛い事ばかりされるんじゃないかって
      恐怖に震えてしまって。何もできない自分が憎くて。」
ルフレ「君がまた攫われたとしても、僕は何処にでも君を助けに行く。
    …僕だけではなく、ほかのファイターも皆そう思ってるよ?」
夢子「私もルフレがピンチの時は助けに行くね?」
ルフレ「嬉しいけど、僕は守る側で有り続けたいな。君を守る白馬の騎士。馬はいないけど。」
夢子「ふふ、頼もしいわ!ふう、久々に温泉にでも入ろうかなぁ…
      ずっとお風呂入れなかったから泥だらけでだし。」
ルフレ「混浴する?」
夢子「ばっ‥‥!何言ってるの!///」
ルフレ「何も恥ずかしがることないと思うけど?」
夢子「…でも…今の私は傷だらけで醜い…。」
ルフレ「大丈夫、傷は消えるよ。良い傷薬がこの国にはある。
    それより、君の心の傷のほうが僕は心配だ。」
夢子「ぇ…?」
ルフレ「その見えてる範囲の傷ですらどれだけ酷い事をされたのか、大体予想は付くよ。
    ‥アルフレの事仕留められなかった事、本当に僕は後悔してもしきれない。」
夢子「あの人には…癒される事のない深い闇が心の中に蔓延ってるわ。」
ルフレ「今は致命的な傷を負ったから多分当分は行動出来ないと思うけど、
    治ればきっと再び彼は君を襲い掛かるだろうね。
    それは僕が全力で阻止するけど。…彼は危険すぎる存在だ。」
夢子「そうね…また再戦するの、ちょっと怖い…。」
ルフレ「大丈夫!君は僕が守る。絶対に。」
夢子「ありがと、ルフレ。貴方には励まされっぱなしだね。
      じゃあ、私は温泉に浸かってくるね。」
ルフレ「混浴は?」
夢子「‥‥チーズケーキ。」
ルフレ「ああ、そっか、作る予定だったんだ。ちょっと残念だけど、作ってくるね。
    夢子はゆっくり温泉で疲れを癒してね。」
夢子「うん!ルフレもとびきりのやつお願いね?」



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