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夢子「ルフレ…!」




【50章】



小屋の扉が勢いよく開くとそこにはルフレ達がいた。
ルフレは夢子の姿を見て怒りに震える。
その場の空気が凍り付く。

ルフレ「…夢子に何をした…!?」
アルフレ「君が普段したことと同じことだよ?」

ルフレ「―・・・殺してやる!!!」

ルフレはアルフレに突進する。
アルフレはいつもの黒い笑みを浮かべている。

ルフレ「貴様だけは許さない…血塗れにしてやる!!」

ルフレとアルフレの戦ってる間にルキナとカムイは夢子を救出する。
ルキナは自分のマントを夢子にかけた。
夢子「皆…来てくれてありがとう。」
ルキナ「うう、こんなに全身傷だらけになってしまって…。」
カムイ「夢子さん、よく耐えましたね。とても頑張りました。
後は…軍師に任せましょう。」

ルフレとアルフレ以外は小屋を出た。
中では二人が戦っている。
クロム「ルフレのやつ…完全に怒りに支配されてるな…。」
ロイ「ええ、今はどんな言葉も伝わらないでしょうね。」
夢子「アルフレは…私に酷い事したけど…ほんとは可哀想な人なのかもしれない…。」
ルキナ「正気ですか?!こんな姿になってるのに…?!」
夢子「彼は本当の愛を知らないだけなの。
      きっと生まれた場所が他の場所ならばこんな思いはしなかったのでしょうね。」
クロム「危ない、皆!小屋が崩れる!一旦離れろ!」





ガシャアアアアアアアアアアン!!!!



小屋は崩れた。
その瓦礫の下からルフレがフラりと立ち上がる。
アルフレも立ち上がった。
ルフレの目には殺気しか漂ってない。
完全にアルフレを殺しにかかっている。
二人ともボロボロなのに戦い続ける。

アルフレ「君にはそこまでして守れるモノがあるんだね。
     ・・・僕には一生見いだせなかったよ。」
ルフレ「君はここで僕に倒される運命だ。
    彼女にしてきた罪、今此処で死をもって償え。」
アルフレ「フフ。」



ルフレとアルフレは剣を交えた。
そして刺し違える。
勝ったほうはー…ルフレだった。
ルフレはサンダーソードをアルフレの身体から抜いた。
剣は血で赤く染まりその液が伝って地面に落ちる。

アルフレ「グハッ・・・!」
アルフレはその場に崩れる。
ルフレに勝利の笑みはない。
ルフレ「さあ僕の勝ちだ。君はもう立てない。…君は死ぬんだよ?精々最後に苦しむんだ。
    そして地獄に落ちてもっと苦しめ。」
アルフレ「フフ…僕が負けるなんて…思っても居なかった…
     此処でなら…この世界なら自分の存在意義を見つけられると思ったのに…」
ルフレ「遺言はそれだけかい?…これから首を落とす…」
夢子「待ってルフレ!」
夢子がルフレと倒れたアルフレに駆け寄る。
そしてアルフレの手を握る夢子。
夢子「…生まれた意味を悔やまなくていい。」
アルフレ「…こんなに人に暖かくしてもらったの…初めてだ…。
     もっと違う別の形で…君に会えたのなら…僕は…きっと…。」


アルフレは笑って泣いていた。天に血塗れの手の伸ばして。
人生で初めて流した涙だった。

アルフレ「でも、まだだ。まだ、僕は…負けていない。最後じゃないよ?絶対に…」
フラフラしながらアルフレは立ち上がる。本来なら立てる力はないはずだが。
ルフレ「…まだ戦う気かい?」
アルフレ「…2連敗か。今回も僕の負けだけど、次は絶対に勝つ。
     夢子、待っててね?僕の真の愛を君に分からせてあげるから。
     そして…僕自身も…」
アルフレは胸元から魔石を取り出す。
クロム「…また自爆か!?」
アルフレ「いいや‥訂正するよ?僕は意味を今知った…だから…今はまだ命が惜しい。
     だから…テレポートの魔石で…一時退却させてもらうよ。
     夢子、またね…今日は楽しかった。
     今までで一番ゾクゾクしたよ。
     君と僕との秘密の会話‥ルフレに教えないでね?フフ…。」
アルフレは夢子の顔を血で濡れた手で撫でる。







そしてその場からアルフレの姿は消えた。



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