44


霧は晴れた。
視界が徐々に戻ってくる。



オーガとマーマンは粗方片付いていた。
そんな中夢子の様子がおかしい。


夢子は―ただ一人泣いていた。









【44章】






ルフレ「夢子!?」
ルフレが急いで夢子に近づく。
夢子は涙が止まらない。
クロム「さっきの幻影の霧にやられたな…。」
ルフレ「夢子!しっかりして!僕の顔みて?!」
夢子「ル・・フレ・・・」
ルキナ「軍師、夢子さんを連れて安全な場所へ‥!」
ロイ「ここは僕たちが片づけます。」
カムイ「あと数匹ですから、構わず行ってください!」
クロム「…そういう事だ。夢子を連れて行ってくれ。」
ルフレ「ああ、悪い…後は頼んだ。」

ルフレは夢子を抱きかかえ走りだした。




沼地から少し離れた岩山の下、ルフレと夢子はいた。
夢子は震えている。
ルフレ「夢子…僕の声聞こえるでしょ?返事して?」
夢子「私は…何も知らない…。」
ルフレ「ああ…完全にさっきの濃霧にやられてるね…
    いいかい?君が見たのは幻影だよ!
    …一体何を見たんだい?教えてくれる?」
夢子「私を生んでくれたお母さんが…。」
ルフレ「クッ、一番精神的に来るやつか…クレイジーめ…そこまでして…」
夢子「私は何も知らない…ルフレ達の事もダークにぃ達の事も…
     それなのに守られてばかりで…卑しい存在…」
ルフレ「全て知るって難しい事だよ?
    僕だって君の事知らない事いっぱいあるし。僕だけじゃなく彼らもね。」
夢子「ルフレ…も‥?」
ルフレ「知らない事は罪ではないよ。
    知らなければ時間を費やしてゆっくり知っていけばいい。
    僕と君と、皆と。君はひとりじゃないから。ね?」
夢子「ルフレ…!」




夢子の顔色が少しずつ通常に戻った。瞳にも光が戻る。
そして泣いてルフレに抱き着く。
夢子「私を救い出してくれてありがとう‥‥!」
ルフレ「ちょ、夢子、強く抱き着きすぎ…!
    ああ…僕やばいかも。」
夢子「やばいって…そっか、クロム達がまだ戦って…」
ルフレ「そうじゃないんだよね…君が余りにも強く僕を抱きしめるから
    その‥‥言いずらいんだけど…君の胸が超当たって…」
夢子「!!!ご…ごめんなさい…!!///」
夢子が離れようとするとルフレが今度は抱きしめてきた。
ルフレ「君ってたまにドジなとこあるよね。まあそこも含めて好きなんだけど。」
夢子「ちょ…!ごめんってば!離してよ〜!」
ルフレ「こういうの久々だから僕正直興奮してる。ヤバイ!」
夢子「貴方って些細なキッカケにすぐ喰いつくよね…ナイーブなのかなんなのか…もー離してー!」
ルフレ「僕のお姫様は君だけ!ほんっと可愛い!ハグだけじゃ物足りない‥!」
夢子「ちょ…この人マジヤバイ!表情がヤバイ!ここ野外よ!?誰かー!」






すると興奮するルフレの頭を軽く叩くクロムの姿があった。

クロム「お前なぁ…戦場から離れろって言ったのそういう意味じゃないんだが。」
ルフレ「む…クロム…折角良いとこだったのに邪魔しないでよ?」
ロイ「軍師と呼ばれてるだけあってこういう戦略たてるのも得意なんですね。」
ルキナ「これは見直すどころか…」
カムイ「逆に呆れちゃいますね。ほんと…呆れて声出ません。」
ルフレ「えー!?皆して僕を悪者扱いかい!?だってこの状況だよ!?」
ルキナ「女性はデリケートなんですよ?もう少し時と場を考えたほうが良いかと。」
夢子「ルキナさんよくわかってるー!」
ルフレ「まあ、僕だってこんな場所でおっぱじめようとは思ってないよ?」
クロム「…ほんとか?」
ルフレ「うーん…実は少しマジだった。」
ロイ「うわぁ……。」
カムイ「軍師…それは流石にドン引きしますわ…。」
夢子「なんかこの人時たま性欲凄いんだけど。」
クロム「今まで馬鹿みたいに真面目に働いてたから色んな欲が溜まってるんだろな。
    お前も俺みたいにさっさと結婚したほうがいい。」
ルフレ「僕もそうしたいの山々なんだけど、夢子がまだダメって言うんだ。」
クロム「そうなのか?」
ルフレ「僕はいつでも婚礼の儀したいんだけど。」
夢子「ちょっと!勝手に話進めないでよ!」
ルキナ「そうですね…夢子さんなら着物もドレスもなんでも似合いますよ。」
夢子「ルキナさんまで…!
     私は結婚は20歳超えてからって決めてるの!
     もしかしたらまだ良い出会いあるかもだし。」
ルフレ「僕以上の良い男なんていないと思うけど?」
ロイ「自信過剰…」
カムイ「ほんとそれですね。」
夢子「まあ確かに日本にFE勢みたいな整った顔の人類なんていないでしょうけど
      顔だけじゃ‥中身も大切だと思うから。」
ルフレ「それじゃあ尚更僕以外相応しい人類いないね?」
夢子「はあ、今はそういう事にしておくわ。」
ルフレ「フフ♪完全に折れたね〜僕の勝ち!」
クロム「お前の思いが強いのは分かるが、あまり夢子を困らせるのは良くないぞ。」
ルフレ「んー?これでも控えめだよ?」




【いいね!!】

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