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夢子は城下町にルフレからおつかいを頼まれ歩いていた。






【39章】

夢子「この雰囲気、なんか日本の原宿とか思いだすな〜。
      前に沙羅とよく行ったなぁ…フフ、懐かしいかも。」

道なりに露店が沢山開かれいて夢子が初めて見る物も沢山ある。
どれも目移りしそうだが、まずはチーズケーキの材料を買おうとした夢子。
夢子「えっと…後はチーズだけかな。チーズってどこに売ってるのかなぁ?
      ここの乳製品ってどこにあるかわかんないや…。
      あ、あの人に聞いてみよう!」
夢子は路上で暇そうにしてる男性に声をかけた。
夢子「すいません、乳製品売ってる露店ってどこにあるかわかりませんか?」

男A「あ…?ああ、乳製品か‥少しだけややこしい所にあるな。案内してやるよ。」
夢子「ほんとですか!?ありがとうございます!」
男に連れらえ裏路地へ入った。
日当たりのいい露店と違って薄暗くて活気はない。
夢子(だ…大丈夫かな?なんかあんまりお店あるように見えないけど‥)

すると一見の店に男が夢子を誘う。
男A「この店の中に乳製品ならあるぜ。」
夢子「は‥はぁ…案内ありがとうございます…」
男A「お代金は…なら…体でな!」


ドカッ・・・・!!!

夢子は店の中に突き飛ばされた。
そして気づいた。
ここなチーズを売っている店ではない。

族のアジトだという事を。

アジトの中には柄の悪く如何にも下品そうな男たちが博打をしていた。
族A「おう、皆〜今日は上玉持ってきたぜ。」
族B「おお!?すっげーカワイイ女じゃねーか!」
族A「なんだって乳製品探してるんだとよ!」
族C「なら…俺たちの下半身から出るミルクやるよ!


夢子「ひ…嫌だ…!!」


夢子はこういう目にあう度に自分が嫌いになる。
どうしてそういう嫌らしい目で私を見るの?
私はおもちゃじゃない。道具じゃない。生きている人間。
人格を否定され無理強いされる。
でも最近ファイター達に守られて危険な目は回避していた。
ほんとならいない人たちに頼ってばっかで。
そして今、昔みたいに一人で絡まれてる。
怖い…こんな場所から、この人たちから遠くへ逃げたい。
扉へ向かって駆け上がろうとする夢子を族が邪魔する。
族A「おっと、簡単には返さないぜ?ここでゆっくり遊んで行けよグヘヘ。」
夢子(もう…今回ばかりは誰も助けは来ないよね…
     私はこの気持ち悪い男達に遊ばれるんだ…)
手が震えて魔導書を握る事が出来ない。

夢子が諦めた時だった。


バンッ!!!

塞がれていたはずの扉が開く。
そして外の光が差し込む。

族A「鍵を閉めたはずなのに?!…誰だ!?」



そこには





夢子の大切な家族、
そしてクレイジー側に居るはずの「黒」が立っていた。









黒「・・・。」
族A「な…!?お前どっから湧きやがった!?」
族B「ここの警備は完ぺきなはずだが…!?」
族C「た、大変だ!見張りは全員倒れてる!」
族A「てめぇの仕業か!」
黒「だったらどうする?その刃こぼれした剣で俺と戦うか?」
族A「グヘヘ…良いのか?ここにはなぁ…50人のゴロツキがいるんだ。
   見張りは数名、ほかに数十名待機してるやつらがいる。
   お前は一人で勝てるとでも?」
黒「・・・。」
族B「相当死にたいらしいな。じゃあ死なせてやるよ!
   そしてその後この女で遊んでやる!グヘヘ…」
黒「俺の妹に指一本でも触れてみろ…?
  …簡単には死ねないと思え。」


族は一斉に黒に襲い掛かった。
全員貧相だが武器を所持している。
夢子は恐怖で脚がすくんで動けない。
黒は表情を変えずに次々族を切り捨てていく。

あっという間に50人の族が倒された。
部屋は血のニオイで充満していた。

黒は夢子を見て告げる。

黒「もう二度とこういう目に合うな。もっと用心しろ。お前は昔からいつも注意が足りん。」
夢子「ダークにぃ…なんでここに?」
黒「…さぁな。偶然だ。」
夢子「ねえ…こっち側に帰ってきて?
      私と沙羅とダークにぃ…3人でまた遊ぼ?お願い…」
黒「俺は自分の本当の気持ちに気付いてしまった。…もう後戻りできない。」


黒はそう言い残すと去って行ってしまった。
一人アジトに残された夢子は複雑な心境のままだった。





夢子「そこまでしないといけない理由があるの…?」


【いいね!!】

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