34



【34章】

夢子は暗闇の中、青い腕に捕まり藻掻いていた。
どんなに藻掻いても腕は夢子を逃そうとはしない。
夢子「嫌だ…私は貴女達の罠にはハマらない…!」
シャドウ「いいえ、夢子、貴女は既に罠にハマっている。
     ほら、耳を澄ませて?生贄の声が聞こえるでしょう?
     今はアルフレと戦っている…その苦しみの声を聞けば
     貴女も気が変わるでしょう?」
夢子は耳を澄ませた。
確かに争っている音が聞こえる。
そしてー・・・
誰かが夢子の名前を呼んでいる。
悲しい声で何度も。
ルキナ「夢子さん…!夢子さん…!」
夢子「…ルキナの声がする…。」
夢子は深呼吸をした。
そして意志を固める。
夢子「私は貴女達クレイジー側につく気はない。
     私の未来は私がつかみ取るもの。
     そんな強いられて嫁なんかになるわけないでしょ?
     だって私が心から愛してるのはルフレだからー・・・。」
夢子は胸のネックレスを握った。
そして思い切り言った。

夢子「私もルフレも皆も…貴女達には負けない!!!


するとネックレスが急に光を放った。
青い腕が逃げるように引っ込んでいく。
シャドウもその光を見て苦しむ。
シャドウ「なに…!?そのネックレス…付与効果があるの…!?」
夢子「付与…?そうか、ルフレが私のネックレスに付与魔法付けてくれたんだった。
      解除の魔石を手に入れたあの時に。」
シャドウ「そんな代物を持ってるとは…チッ、完全に油断してた…
     でも生贄さえ出来れば…!」
ルキナ「夢子さん…!貴女ならここに戻ってこれるわ!
    目を覚まして…!お願い…」

シャドウ「さっきからうるさい女…先に始末していきましょうか…?」
夢子「もう一度…」
シャドウ「何?」
夢子「もう一度そのセリフ言ってみなさい?
      私の心友を傷つけるのは絶対に許さない‥‥
     貴女はここで散るのよ。私に倒されるの。
     私は‥強くなるって決めたから!



パアアアアアアアアアアアア・・・・




夢子の決意と共にネックレスの放つ光は数倍の眩しさになった。
シャドウ「グアアアアアア‥‥!聖なる光の付与…!?腕が…脚が…体が全て焼ける…!!」
夢子「貴女はここで死ぬの。私に憑いたお礼よ。」
シャドウ「こんなところで消えるなんて…ああ…クレイジー様……」
こうして夢子は闇の精霊を撃退することに成功した。
そして再び意識が戻る。





夢子「ハッ!」
夢子は目を覚ました。
ルキナはすぐに夢子の異変に気付いた。
そして夢子を抱きしめる。
ルキナ「夢子さん…!良かった…戻って来てくれた…!」
夢子「アハハ、ルキナさんただいま!…ちょっと苦しいよ〜?」
ルキナ「私、このまま貴女があちらへ行ってしまう気がして怖かったんです。
   だからずっと呼び続けて‥。」
夢子「ルキナさんの声、ちゃんと届いてたよ!…ありがとう。
     戻ってこれたのルキナさんのおかげもあるわ。」
ルキナ「ここへ来て本当に良かった…こうして貴女を救えた…
    私はもう大切な誰かを失うのは嫌だから…
    お父様は勿論、ファイター達の命も…決して…」
夢子「ルキナさん…。」
ルキナ「さて、後の問題はアルフレね…。」
夢子「そういえばルフレ達は?」
ルキナ「ここで戦うと貴女と私に被弾する可能性あるから
    荒野でアルフレと戦ってるわ。
    あいつ、なかなか強いの…厄介だわ。」
夢子「私たちも戦いに参加しよう。」
ルキナ「夢子さん、体は大丈夫なの?」
夢子「うん!ちゃんと動けるよ!契約の証のブレスレットも無くなって
      シャドウが消滅してなんだか体が軽くなった気がする!」
ルキナ「それなら問題ありませんね!…じゃあ行きましょう!
    すぐそこの荒野で軍師たちは戦ってます。」
夢子「あんなルフレの偽物‥私が痛めつけてやるわ!」
ルキナ「はい、その意気です!」







ルフレ達はルキナの言った通り森のすぐ外の荒野で
アルフレと戦っていた。
荒野と言いう事も有り障害物はほとんどない。
言うならば終点のステージの様に隠れる物もない状態。
幻双国側も幻失国側にしても戦いやすい地形だ。
ルフレは魔導書を速読術して魔法を繰り出す。
クロムとマルスは交互に剣技を繰り出していた。
そちらも素早く通常なら目にも映らない。
しかしー・・・

アルフレはその攻撃を次々と交わす。
その表情には余裕の笑みすら感じられる。
ルフレ「君は‥夢子の何を知ってるんだ?!」
アルフレ「へぇ‥君たちお互いに好意持ってるのに、相手の事も知らないんだ?」
ルフレ「知ってる事を全て教えるんだ!」
アルフレ「んー黙っとけって命令あるけど…まあいっか。
     僕の機嫌が良いから教えてあげるよ。
     僕は君と同一化した後邪竜を復活させる。
     そして夢子はクレイジー様の妃になるんだ。
ルフレ「…なんだって!?」
アルフレ「き・さ・き!君の愛しい夢子はクレイジー様のモノになるんだよ?」
クロム「何という人権を無視した…」
マルス「無理矢理そういう関係にしようとするなんて、許せない!」
アルフレ「こうしてる間にシャドウは君たちの大切な夢子を…」






夢子「シャドウと私が、なんですって?」


【いいね!!】

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