31
【31章】
夢子とルフレは長い階段を登っていた。
運が良かった事に道は複雑ではない。
二人は只管走る。
走って走って‥‥走り続けた。
でも二人とも人間の身。息は切れる。
ルフレが夢子を心配する。
ルフレ「夢子、大丈夫かい?」
夢子「ええ、貴方は?」
ルフレ「ちょっと息が切れたけど…僕はまだ平気さ!元居た世界ではもっと酷いことしてたし。」
夢子「そう…。この階段…あとどのくらいなのかな?」
ルフレ「分かった事は僕らは地下に幽閉されてた、って事だね。」
夢子「地上に出られるよね?」
ルフレ「うん、わずかだけどこの先から風が吹いてる…
このまま何もなく出られたらいいけど。」
夢子「あ…光が見える…!」
ルフレ「間違いない、外に続いてるよ!」
夢子「でも柵で出口が塞がれてる…。」
出口には蓋をするように鉄の柵で閉められていた。
ルフレ「夢子、少し離れてて?
トロン!!!」ルフレは思い切り技を放った。
夢子「ルフレ…魔法使わないって言ったじゃない?!」
ルフレ「もう僕らが脱獄したことに既に此処の連中には気づかれてるよ。
だから派手なの一発かましたんだ。」
夢子「そういうもんなのかなぁ…。」
ルフレ「さ、行こう!」
夢子とルフレは柵を突破して外へ出た。
すると広がる光景に目を疑った。
夢子「ここは…幻双国?!…似てるけど‥でも、荒んでる…。」
ルフレ「悪趣味だね…ここまで似てるなんて。」
そこには
荒れ果てた幻双国のような光景が広がっていた。ルフレ「クレイジーはマスターの双子の兄弟って言ってたけど…。
薄気味悪いね。まるで荒んだ幻双国みたいだ。」
夢子「後ろにあるのお城よね?…とても禍々しい雰囲気。」
ルフレ「さて…ここからどうするかだね。
追手が来ないのがちょっと気になるけど…。」
夢子「シルフ…聞こえる?」
夢子はブレスレットに声をかけた。
すると弱い光を放ちながら精霊が反応した。
シルフ「夢子…聞こえてるわ。」
夢子「私たち此処から脱出するにはどうしたらいい?
今は貴女にしか頼れないの…お願い…教えて?」
シルフ「ここから北に進むと森があるの。
そこに行けば私の力が回復する…そして光の国へのゲートが開ける。
だから‥まずは森へ向かって…そして泉へ…」
夢子「うん、わかった。」
シルフ「でも気を付けて…貴女を巻き込もうとしてる闇は相当深い…
決して自我を忘れないように…」
夢子「うん…私頑張るよ!」
シルフ「ルフレさん、夢子を守ってあげて―…。」
ルフレ「君の事誰だか分からないけど…妖精かな?
任せて。僕は夢子のボディーガードだから。簡単にはやられないよ。」
シルフの声は途絶えた。
まずは言われた通り森へ行くしかないようだ。
夢子「行こう、ルフレ。」
ルフレ「うん。辛い道のりになるかもしれないけど‥頑張ろう。」
・
・
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一方幻双国ではファイターが騒いでいた。
いつもの賑やかな騒ぎではない。
空気は重たく…彼らにのしかかる。
リンク「マスター!今すぐ闇の国・幻失国へ行きましょう!
この間にも夢子さんが辛い目にあってるなんて…
想像すると恐ろしい。」
マスター「焦るなリンク。私も考えてあるんだ。
夢子とルフレの二人の救出をね。」
クロム「あいつが…『裏切りのルフレ』が居たんだ。
何を考えているかわからないが…あいつの存在は危険すぎる。」
ルキナ「お父様の言う通りです。
彼はこの世界でも邪竜を復活させようとしているのは間違いないです。
そんな事になったらこの国は滅びの道へ…
私はそれを阻止したい。いえ、そうするために私はここに居る‥。」
マスター「まずは数名で神殿跡地へ向かおう。あの場所にあちら側へのゲートがあるはずだ。」
クロム「ルフレの事が心配だ。あいつは辛くても人に辛いって言わないからな…。俺は行く。」
ルキナ「では私も行きます。軍師もですが、夢子さんを助けたい…。」
マルス「クロムとルキナが行くなら僕も。邪竜については詳しいメンバーが行く方が良いよね?」
ルキナ「英雄王…!助かります、ありがとう。」
リンク「…俺たちが行くとなんか足手まといになりそうですね…」
ピット「まあFE勢は邪竜の対応に関してはベテランだもんねー。」
シュルク「ここは3人にまずは任せる事にしますか。」
マスター「では即急に向かってくれ。
と…その前にお前たち3人に加護のオーラを渡そう。
決してあちらの国で迷わぬように。帰り道を導くだろう。」
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