30


【30章】

クロムとルキナが裏切り者のルフレと戦ってるうちに
背後では黒と沙羅の二人がルフレと夢子を抱えていた。
ルフレと夢子は意識が無い。

クロム「ルフレ!夢子!」
ルキナ「しまった…やはり軍師の指示無しの戦いは私たちには不利だわ…!」
裏切り者のルフレ「もう少し遊ぼうか?ああ、でも今は時間が惜しい。
         残念だけどお遊びはここで終わりだよ。
         僕は一日も早くギムレー様を復活させたいのでね。」
クロム「待て!」
ルキナ「逃げる気?!」
裏切り者のルフレ「まあ、君たちの前には何れまた現れるから。
         楽しみにしててね?フフフ。」



裏切り者のルフレとは魔法陣を召喚すると
黒と沙羅はルフレと夢子を連れてその中へと消えてしまった。

クロム「くそ…!逃げられたか…!」
ルキナ「お父様、これは一大事です。すぐにマスターに知らせましょう。」










シルフ(夢子…夢子…)
夢子の脳裏に語り掛けてくる精霊の声がする。
夢子(これは…シルフの声?)
シルフ(貴女は今闇の国へと連行されてしまった…
    私の力もここでは無に等しい…。
    気を付けて…でも絶対助かるから…希望を捨てないで…)





夢子「ハッ!」
夢子は目を覚ました。
見渡すと暗い牢獄の中‥‥のような場所に居た。
手首には鎖が繋がれている。
夢子「外れない…。確か私はルフレとそっくりな人と戦ってて…」
裏切り者のルフレ「目が覚めた?」
牢の外からもうひとりのルフレが夢子に声をかける。
夢子「ここはどこ!?貴方は何故ルフレを姿をー・・・」
その人物は見た目が完全にルフレの姿をしている
違うのは髪が黒く瞳が紅い事だけだろう。
彼は言った。
裏切り者のルフレ「暇だから説明してあげるよ。
         此処は闇の国『幻失国』。そして僕はクレイジー様の配下。
         僕はここで邪竜ギムレー様を復活させるために
         そこのルフレの居た世界の未来からやってきた。
         元の世界では悉く邪魔されちゃったからね。
         そして…もうすぐ夢が叶う。
         ただ、もう一人の僕が弱っちゃってるから今は同一化出来ないんだ。
         困ったもんだよね?」
夢子「…ルフレはどこ!?」
裏切り者のルフレ「ああ、もう一人の僕ならそこにいるよ。
         君の目の前の牢に、ほらね?」

目を凝らして見ると夢子の牢の前の牢にルフレが倒れていた。
夢子「ルフレ!!!」
裏切り者のルフレ「彼は僕と関わると頭痛が起こるみたいだね。
         きっとイヤな記憶が戻るのを嫌がってるのかな?フフフ。脆いね。」
夢子「なんてことを…!」
裏切り者のルフレ「僕の事呼びにくいでしょ?そうだなー。アルフレって呼んでね。
         悪のルフレ、略してアルフレ。呼びやすいでしょ?フフフ。」
夢子「ねえ、私がここに残るから…彼を解放して…!」
アルフレ「うーんそれは出来ないね。ルフレは必要な材料なんだ。
     ここまで来るのに大変だったんだよ?だから解放は出来ない。」
夢子「ルフレから血の話聞かされたことあるけど…まさかこんな事になるなんて…。」
アルフレ「そういえばクレイジー様から聞いたけど、
     君…邪神の血流れてる魔女なんでしょ?」
夢子「…知ってるのね。何もかも。」
アルフレ「ま、簡単にだけどね。君には親近感湧くよ。
     だからもう一人の僕、ルフレも君の事気に入ってるんだね。」
夢子「貴方には関係ない…。」
アルフレ「そう言わないでよ。君、よく見ると凄くカワイイし。
    クレイジー様には悪いけど…いっその事僕のモノにならない?」
夢子「何を馬鹿な事言ってるの…?」
アルフレ「だって僕はルフレだよ。君が好きなのもルフレ。そうでしょ?同じものじゃないか。」
夢子「貴方とルフレは全然違う…!私の好きなルフレはこんな酷い事しない…!」
アルフレ「そう?僕ってば酷い事してたんだ?…じゃあ特別にその鎖外してあげるよ。今だけサービス♪」

夢子は牢の扉の鍵を外すと夢子の鎖の鍵も外した。
夢子「何で外すの?…逃げるわよ?」
アルフレ「君は弱ったルフレを置いて逃げれないでしょ。」
夢子「くっ…!」
アルフレ「それに僕は君が気にいっちゃった。クレイジー様も黒も君の事狙ってるけど‥そんなの関係ない。」
夢子「!?」
アルフレ「フフ、またあとで来るね。すぐ楽しいショーが始まるよ。」





アルフレは牢に再び鍵をかけると部屋から出て行ってしまった。
夢子は恐怖で震えていた。
この国はおかしい。
夢子は向こう側の牢のルフレに声をかける。
夢子「ルフレ…ルフレ…!!!」
ルフレ「うっ・・・・。」
夢子「お願い、答えて…!?」
ルフレ「夢子…?ここはどこ?」
夢子「良かった‥気が付いてくれた…。
     落ち着いて聞いてね、今私たちは闇の国『幻失国』にいるらしいの。
     さっき…もう一人貴方…アルフレが言ってた。」
ルフレ「そっか…君は大丈夫?怪我してない?」
夢子「私より自分の事心配して!?」
ルフレ「うん…少し気を失ってから頭痛収まってきた。大丈夫だよ。」
夢子「私は貴方と話するだけで安心よ。」
ルフレ「どうにかして此処から逃げないとね。
    …よし、封印の付与魔法とか鍵に無いみたい。」
夢子「でもいつアルフレが戻ってくるか…
     派手に脱獄するの厄介かも。」
ルフレ「大丈夫、魔法でぶっ飛ばすとかしないから。
    僕こういう時の為に日本でピッキングの方法知ったんだ。
    ブーツの中に針がね隠してるし。」
夢子「ほんと…!?凄い、ルフレもやる時はやるのね!見直した!」
ルフレ「お礼はほっぺにチューでお願い!」
夢子「ここを無事出られたら…ね。」
ルフレ「うん、僕頑張るよ?」



カチャカチャカチャ・・・

ルフレは牢の鍵をピッキングし始めた。
するとすぐに鍵が開く。
ルフレ「うーんこの世界って物の作り単純なんだよね。
    日本を見習ってAIとか搭載したらいいのにね。」
夢子「貴方余裕だわね…こんな状況なのに。メンタルの強さ褒めてあげるわ。」
ルフレ「夢子に褒められたら最高だよ!僕褒められて伸びるタイプだから。
    さ、鍵開いたよ!出て来て!」
夢子とルフレは再び再開した。
夢子は思わずルフレを抱きしめる。

夢子「貴方が目覚めるまでの間…怖くて怖くて。
      これからどうなるのか…恐怖しかなかったの。
      でもこうして助けてくれた…。」
ルフレ「夢子、安心するのまだ早いよ。
    ここから出よう。二人とも無事に幻双国に…僕らの国に帰るんだ。」
夢子「うん・・・!」




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