20


【20章】

ワイバーン「クソ‥ちょこまかと動きよる…蝿のような存在だ…!かしましい!」
ワイバーンとルフレは戦っている。
状況はワイバーンが押され気味だ。
ルフレ「夢子、僕たち以前より断然に強くなってるね!」
夢子「うん、私も戦えてる!」
ルフレ「ガーゴイル、このまま君に任せたよ?」
夢子「頑張る!」
ワイバーン「このまま…終わらせないぞ…!
      お前のその血、利用させてもらう…!」
ワイバーンは瘴気を放った。
相手をしているルフレが飲み込まれる。
ルフレ「クッ…!」
夢子はウインドを放った。
ルフレにまとわりついてた瘴気が消える。
ガーゴイルは殲滅していた。
夢子がルフレに駆け寄る。
夢子「ルフレ!大丈夫?!」
ルフレ「…ああ、大丈夫だ。心配してくれてありがとう。」
ワイバーン「私の瘴気を払うとは…いい度胸だ。
      流石クレイジー様が目を付ける事だけある。」
夢子「私たちに倒される前に言いなさい?
      クレイジーはなんで私を狙うの?!」
ワイバーン「その男が邪竜の血を持つように、お前にも特別な血が通っているのだ。」
夢子「…!?私はただの日本人のJKよ?一般人なのに…?」
ワイバーン「ククク…何も気づいていないようだな…まあいい。何れわかるだろう。
      お前は世界の運命を握る存在だという事を。
      善き運命になるか悪しき運命になるか…
      貴様らは後者の運命を辿る事になるだろう。」
夢子「意味がわからない‥‥!」
ワイバーン「では、今回はこのくらいにしておこう。
      尻尾の再生をしたいしな。」
夢子「逃げる気!?…待ちなさい!!」

ワイバーンは再び魔法陣を開くとその中へ消えてしまった。
夢子は追いかけようとしたがそこは既に無。
いや、今はそれどころではない。
ルフレが瘴気を浴びて以降苦しんでいる。
それと夢子は気づいた。
ルフレの脚に傷があることを。

夢子「ルフレ…!大丈夫!?ワイバーンは去ったわよ。」
ルフレ「そっか…良かった…。」
夢子「その傷どうしたのよ?」
ルフレ「うん…ワイバーンと戦ってる時に少し爪でやられちゃった。
    大丈夫さ、このくらいすぐ治るから。」
夢子「無理しないでよ…頼りにしてるんだから…。」
ルフレ「フフ、君にこんなに思われるなんて、僕は幸せ者さ。」
夢子「兎に角‥ここを離れましょう。また魔法陣から何か来たら危ない…。」






夢子は脚を痛めたルフレを抱え洞窟内を歩いていた。
夢子「おかしいなぁ…モンスターと遭遇しない…。」
ルフレ「僕らが‥‥邪竜と戦ったでしょ?…モンスターにも階級があるから…
    下級のモンスターは、怯えて逃げたのかも‥‥うっ…。」
夢子「ルフレ絶対大丈夫じゃないでしょ!?顔真っ赤よ!?」
ルフレ「うん…ちょっとフラフラする。」
夢子達は休めそうな窪みを見つけた。そこにルフレを寝かせる。
夢子はルフレのオデコに自分の手を当てた。





・・・熱がある。







夢子「ちょっと…!沸騰したヤカンみたいに熱いわよ!?
      …ずっと神経使ってたからよ…私のせいだ…。」
ルフレ「そんなことないよ。…元はと言うと全部僕が悪いし。
    ‥‥僕に責任がある…。きっとバチ当たったんだ。ほんと馬鹿だよ僕は。」
夢子「こんな時に反省しないで…兎に角今は熱を下げなきゃ…!
      それと傷の手当を‥‥止血出来る物…ハッ!そうだ!」
夢子は自分の脚を見た。
恥ずかしいからと言って包帯でグルグル巻きにしてた自分の脚。
夢子「これが役に立つときが来た!…巻いててよかった‥。
      ルフレ、今止血するね。」
夢子はルフレの怪我に自分の包帯を巻く。
夢子「ほんとなら新品のがいいけど…今は贅沢言ってられないから…
      これで我慢してね?」
ルフレ「寧ろそっちの方が僕は嬉しいよ…。」
夢子「貴方って弱ってる時も口説くのね?‥少し安心したわ。
      あ…水の音がする…水脈あるのかも。
      ルフレ、水汲んでくるね。喉渇いてるでしょ?」
ルフレ「君を一人であまりうろつかせたくないけど…ゴメン、お願いするよ。」
夢子「大丈夫!さっきの戦いで自信持てたから!」
ルフレ「‥気を付けて‥。」








夢子は水の音を頼りに暗闇を進んだ。
すると少しひらけた場所についた。
夢子「植物が生息している…!水あるかも!」
見渡してみると小さな川が流れている。
夢子は持ち歩いていた小さな瓶に水を汲んだ。
そして辺りを見て思う。
夢子「なんかこの植物‥街の屋台で見た薬草に似てる…。
      もしかして薬草かな?!よし、これ摘んでルフレに持っていこう。」
水と薬草らしき植物を携え夢子はルフレの元へと戻ってきた。
ルフレは顔を赤くして息を切らしている。
夢子「ルフレ、お水と薬草取ってきたよ!‥ダメだ、意識が朦朧としてる。」
夢子は考えた。
そして行動する。
摘んできた薬草をちぎって持ってきた水の瓶にいれる。
夢子「日本のお茶の水出しみたいな感覚で…よし、抽出できた。
      これをルフレに‥‥」
ルフレは意識が飛んでいる。
苦しそうな息遣い。
夢子は恥を捨てた。そしてその薬草水を口に含むとルフレに口付けした。
そしてルフレに水を飲ませることに成功した。
ルフレの呼吸が少しづつ落ち着いてきた。
夢子「…これできっと良くなるわよね?…良くならないと怒るんだから。」
少し安心した夢子。途端今までの疲れが睡魔となって襲ってくる。
夢子はルフレと一緒に静かに眠りに落ちた。



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