【3章】

夢子が幻双国で目を覚ましてから3日が経った。
体の傷はこの世界の治癒魔法で治ったが
心の傷はなかなか癒えなかった。
黒は夢子に刃を向けた。
ルフレを庇ったとはいえ彼のあの殺意は本物だった。
夢子は戸惑っていた。
もし次兄似合ったらどんな顔をすればいいのか。
不安だった。
でも夢子は決めた。
この世界で強くなると。
守られるんじゃない、私が皆を守ると。
そのくらい強くなるんだと心に決めた。


夢子「私、皆みたいに戦えるようになりたいの。」
夢子はルフレに相談をしていた。
なんだかんだでやはり軍師。こういう時頼りになる。
ルフレ「君には日本でも言ったけど上級魔導師の素質あるから
     鍛え方次第で相当化けると思うよ!」
夢子「ほんと!?」
ルフレ「うん、この世界にはHPとかMPとか存在するけど
    君はMPを集中的に鍛えたほうが良いね。魔導書使うし。」
夢子「ほむほむ。」
ルフレ「でも実際戦ってみないとね。身体が覚えないと…慣れってやつかな。
    この世界、ぶっちゃけ僕の居たイーリスともちょっと勝手が違うんだよね。
    街の外に出ればモンスターも普通にいるみたい。」
夢子「も…モンスター!?ほんと異世界って感じね…
     で、それって強いの?」
ルフレ「町の周りのは下級モンスターだからそんなにビクビクしなく大丈夫だよ。」
夢子「そっか…じゃあまずはそいつ等で鍛えたほうが良さそうね?」
ルフレ「今から行ってみる?街の外壁に。」
夢子「付き合ってくれるの!?わーい!」
ルフレ「え、僕らもう付き合ってるでしょ?」
夢子「その付き合うじゃない!」
ルフレ「フフ、怒った顔もカワイイ☆」
夢子「からかわないの!私真剣なんだから。」
ルフレ「わかってるって!さ、外のデートに行こう!他の男子にナイショでね?」




夢子とルフレは街を歩く。
その光景は映画やゲームで見るファンタジーの国そのものだ。
夢子「ほんと、凄い…人種も色々いる…」
ルフレ「普通の人間にドワーフ・エルフ・獣人とか…探せばもっといるかも。」
屋台で果物の飴が売られてるのを見つけた。
夢子「あ!これ日本の苺飴に似てる!」
ルフレ「買ってあげようか?」
夢子「ほんと!?やったー♪」
夢子はルフレに果物の飴を買ってもらった。
早速食べる夢子。
夢子「パリパリして甘くてみずみずしいー!
     この果物初めて食べた!何て名前かな?」
ルフレ「僕にも一口ちょーだい!」
パクッ
ルフレは夢子の果物の飴を横から食べた。
ルフレ「夢子の食べかけ超美味しい!」
夢子「ちょっと!何勝手に食べてるのよー!」
ルフレ「ほんとは君自身を食べたいんだけどね。」
夢子「んー?なんか言った?」
ルフレ「うーん♪独り言!」




二人は街の外へ出た。
草原が広がり奥には森が見える。
夢子「凄い…こんなに世界は広いのね‥!
      なんだか空気も澄んでて…綺麗!」
ルフレ「じゃあ手始めにあれ、倒してみよう。」
ルフレは指を指した先には蒼い丸い物体がいた。
夢子「おお、あれはもしや‥!」
ルフレ「スライムだね。RPGお馴染みの雑魚キャラさ。」
夢子「魔導書っと…ええっとサンダーの魔導書でいいのかな。
      なんかスライムって水属性なイメージ。プヨプヨしてるし。」
ルフレ「先手取って見てみて?」
夢子「ちょっと緊張するかも。」
ルフレ「大丈夫、この辺のモンスターは自分から攻撃してこないから
     安心して標準定めて狙うんだ。落ち着いて…?」
夢子「ふー…よし、いくよー!エイ!」

バリバリ…!
スライム「ブクブクブク!」

夢子の放ったサンダーがスライムに直撃した。
するとスライムは泡となって死んでしまった。
夢子「私、倒せたのね?」
ルフレ「オーバーキルにも見えたね。日本で少し戦ったから経験値あるのかも。
    さあ、戦利品の回収忘れずにね。」
夢子「ん?どうして拾うの?」
ルフレ「この世界ではモンスターのドロップさせたアイテムや勝利品が高くで売れるんだ。
    このスライムからはゼリーが採れるからこうして瓶に詰めるんだ。
    さあ、もう少し戦ってみる?」
夢子「うん!どんどん行くよー!なんだか戦うのが楽しい!」



夢子は沢山雑魚モンスターを相手にした。
日本に居た時より体が軽く動く感じがする。
魔法を放つのもモンスターを狩るのも新鮮で楽しい。
こんなに動くのが楽しいのは久々な気がした。

夢子「ああー疲れたー。もう夕方なのね?」
ルフレ「ご苦労様、はい、水。」
夢子「ルフレ、ありがとう。今日はこんなに付き合ってくれて。」
ルフレ「気にしないで。僕が好きで君と一緒にいるんだから。
    そうだ、明日はもっと奥のあの森に行ってみる?
    あそこからは少しだけモンスターが手ごわくなるけど
    きっと今の君なら余裕だと思うんだ。」
夢子「いけるかなぁ…少し怖いけど興味あるかも。」
ルフレ「森には色んなアイテムも自生してるからついでに集めて持って帰るのもいいかもね。」
夢子「ルフレはこの国には初めて来たのよね?
      なんかすごく慣れてる感が…。」
ルフレ「僕らファイターは学習能力は高いからね。
    すぐ環境にも馴染めるっぽいんだ。
    それにこの世界は単純で学習しやすい。
    まあ元々戦うのが仕事だからね。」
夢子「ふーん、貴方達ほんと凄いのね。知ってたつもりで知ってなかったかも。」
ルフレ「僕らはレベルそれなりにあるけど君ならすぐ追いつけるよ。
    寧ろ育て方次第では僕らなんてすぐ超える可能性ある。」
夢子「そこまでは自信ないなぁ…でも足手まといにはなりたくない。」
ルフレ「その意気だよ。君なら大丈夫。」


【いいね!!】

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