29
曇り空が続く中、マモノを倒しながらエミールの洋館へと足を進めるニーア達。
夢子も段々戦闘のコツを掴んできた。
【29】
白の書「しかし…何故今頃洋館などに‥」
ニーア「ほんとに忘れ物だけなのかなぁ…エミールって意外と謎多いからな〜」
夢子「私、エミール君の事あまり詳しく知らないなぁ。
…以前は人の姿だったんですよね?」
ニーア「エミールは、被害者なんだ。実験の…」
夢子「実験?」
ニーア「実験兵器7号…そう呼ばれていた。」
夢子「!?」
ニーア「前にエミールが姉の絵描いてただろ?
あの絵の姉が共に兵器にされたんだ。
姉は戦うための兵器…そしてそれがある日暴走した。
エミールは姉を止めるために更に兵器にされて姉を石化させた。
…結局再び戦う運命になるって誰が想像したか…」
夢子「そんな…エミール君、いつも明るいからそんな過去があるなんて思いもしなかった…」
白の書「夢子、このパーティーにいる者は皆闇が深いと覚えておくといい。」
夢子「皆辛い過去持ってるんですね…。
不謹慎かもしれませんが‥私だけじゃないって励まされました。」
ニーア「まあ今は明るく楽しくやってるからな。昔の事は割り切ってるよ。」
白の書「闇があるからこそ、今現在を健気に生きていられるのだろう。
人一番苦労をしてる者だからこそ、だな。」
夢子「でも、自分の家に帰れるって良いですよね。
…私には帰る場所がないから。」
ニーア「俺の家は夢子の家でもあるよ?」
夢子「ニーアさん…」
白の書「そうだな、新しい故郷にするがいい。」
夢子「…二人とも優しいですね…なんだか涙が出て着ちゃう…」
ニーア「ああ!シロが夢子を泣かした!」
白の書「何を言うか!ニーアが夢子を泣かせたのであろう!」
夢子「二人とも、です!」
夢子は笑顔で笑った。
自分にも新しい居場所が見つかった、それだけで安心出来たから。」
夢子「エミール君の家まであとどのくらいでしょうか?」
ニーア「もう少しで見えてくるよ。結構デカイ家だからなぁ…ほら、あそこ!」
ニーアの指さす方に大きな屋敷が見えていた。
夢子「ここがエミール君の…」
ニーア「執事さんいるかな?」
入口が開いている。
玄関の窓が開けっぱなしだ。
ニーア「不用心だな…カイネの仕業か?
夢子、洋館の中にもマモノ湧くから気を付けて進もう。」
夢子「ええ、家の中にもいるんですか!?」
ニーア「この建物の地下が…あれだから…。」
夢子「あれ?」
白の書「行けば分かる事だ。」
夢子「不思議な事がいっぱいですね…。」
ニーア達は不用心に開いた入口から洋館の中へ入った。
なんだか荒れているように見えた。
ニーア「執事さん…いないな…?いつもこの家を管理してるはずなんだが。」
夢子「カイネさんとエミール君も見当たりませんね?」
白の書「もしや、あの地下に行ったのでは…?」
ニーア「あそこにはあまり行きたくないんだけどな…
マモノの量も半端ないし。」
夢子「地下があるんですか?」
ニーア「さっきも言ったけど、エミールが実験された場所がその地下なんだ。」
夢子「そんな場所に何の用事があるのですかね?」
ニーア「ただの忘れ物を取りに来た〜、程度では済まなさそうだな。
夢子、ここから先は戦闘が多くなるかもしれない。
それでも進むか?」
夢子「私なら大丈夫です。ニーアさんもシロさんもいる…
敵何ていませんよ!」
夢子は再び笑顔で答える。
ニーア(ああ…やっぱり夢子カワイイ。健気な所が最高だよな〜)
白の書「ニーア、顔が緩んでおるぞ。…大体何を考えてるか想像つくが…」
ニーア「ああ、俺はこんな時でも幸せを感じてしまう。」
夢子「???」
ニーア「…兎に角行くか。この洋館の中の中庭から地下に行けたはず…進もう。」
洋館の中を歩く2人と1冊。
その道中石像が何体もある。
夢子「エミール君って石像集めるのが趣味なんですかね?
あちらこちらに沢山ある‥‥。」
ニーア「…夢子、驚かないで聞いてくれ。
その石像は元は人間だった者だ。」
夢子「え…?」
ニーア「エミールがまだ人型だった頃、彼の目を見た者達のなれの果てとでも言った方がいいか…
エミールの意志関係なく、彼の瞳を見ると生き物は全て石となる。
…呪いと言ってもいい位だな。」
夢子「そんな…」
白の書「そのおかげで何百何千年とエミールは目隠しをして生きてきたのだ。
今はあのような姿だが、自分の目で見える美しい世界が気に入ってるらしいぞ。
どちらが幸せなのか、本人にしか分からないものだな。」
夢子「エミール君、前は人の姿だったって言いますが
・・・何故今の姿に?」
白の書「姉のハルアを吸収したせいだな。」
夢子「あのエミール君のお姉さんですか…。」
白の書「姉のハルアは実験兵器6号と改造されたが、暴走した。
その暴走を止めるためにエミールの目は見たものを石化するよう改造されたのだ。」
夢子「そっか‥‥それで全部の辻褄が合いますね。」
ニーア「アイツ、辛い事が多すぎたのと時間が経ち過ぎたせいで感覚麻痺してるんだよな。」
夢子「・・・・。」
ニーア「どうか、この話でエミールの事嫌いにならないでくれ。」
夢子「まさか!逆に私はエミール君の事好きですよ!
辛い過去にもめげず明るく振舞って、人間性尊敬です!」」
白の書「ならばエミールも幸せ者だな。」
ニーア「あはは、そうだな。」
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