37

第37章【裏切り】






「ゴ苦労ダッタ、ダーク。」


あの忌々しい声が母屋に響き渡った。
剣を振りかざしたダークの腕が止まる。
マルス達を掴んでいた影の動きも止まった。
ピット「お前は…タブー!!!」
アイク「やっとボスのお出ましか。」
マルス「もうお前の好き勝手にはさせない…!」
タブーを睨みつける勇者達の手が恐怖と憎悪で少し震える。
あのタブーをこんな間近で見るのはあの戦い以来だ。
タブーは全く動揺する様子はない。
寧ろ楽しんでいるようにも見えた。
タブー「オヤオヤ、虫ケラガ4匹モイルナ。」
リンク「夢子さんを返せ!」
タブー「ソレハ聞ケナイ話ダナ。」
リンク「夢子さんは俺たちの仲間だ!お前たちを許さない!」
タブー「許サナイ?ナラバドウスル?」
リンク「戦うのみだ!」
リンクはタブーの元へと走ると剣を振りかざした。
しかしタブーは目の前から消えている。
タブー「遅イ攻撃ダナ。」
リンクの耳元でタブーの声が響く。
するとその途端リンクの背後にタブーが回り込みリンクを弾き飛ばした。

バンッ!!

リンクはものすごい勢いで壁に叩きつけられる。
リンク「グハッ!」
夢子「リンクさん!!」
ピット「リンク!このヤロー!よくもリンクを!」
マルス「お前だけは許さない!」
アイク「ウオオオオ!」
タブー「フン、本当ニウルサイ虫ダ。コレデモ喰ラウガイイ!」
タブーは目からレーザーを出すとピットとマルスとアイクへ向けて発射した。
「「「うわああああっ!」」」
3人はレーザーがモロに直撃し、その場にうずくまる。
夢子「皆さん!嫌…嫌よこんなの…!」
夢子は頭を抱えると足元を崩す。
すると夢子の手足に広がっていたアザが広がり始めた。
リンク「…!!!…貴様…!夢子さんに…何をしたっ…!?」
タブー「何モシテイナイサ。悲シミ、悲鳴、恐怖ガ覚醒ヲ進行サセテイルダケダ。」
ピット「夢子!僕たちは大丈夫だから…くっ!」
夢子を宥めるピットに向かってダークは足を蹴り上げる。
そして髪の毛を掴み、頭を持ち上げるとダークは笑いながら言い放つ。
ダーク「本当に大丈夫なのか?果たしてこの状況がいつまで保つかな?クククッ・・・」
夢子「ピットさん…!」
タブー「オ前達ニモ孤独ヲアジ合ワセテヤロウ。。」
タブーは腕に力を貯めはじめた。
タブー「コレハ私カラノプレゼントダ。」
最大級の力を込めた魔球が母屋全体を光らせる。
タブー「孤独ナ旅ヲシテコイ!」
タブーの光はダークまでも包み込んだ。
ダーク「タブー様…?俺は違いますよ…?」
タブーは邪悪な笑を浮かべ告げる。
タブー「オ前ニモオ仕置キガ必要ダ。」
ダーク「なっ!?」
タブー「精々震エ上ガルガイイ!」


次の瞬間青黒い光が母屋全体を包み込むと夢子、リンク、ピット、マルス、アイク、そしてダークの姿が消えた。
















夢子「うっ…」
夢子が閉じていた目を開くとそこには今までとは違った景色が広がっていた。
辺りは森のうようだ。
しかし、木々は枯れ果て濃い霧が立ち込めている。
「…そ……だ……」
夢子「誰!?」
夢子が声のする方へ振り向くとそこにはダークが立ちすくんでいた。
その表情は絶望に満ち、
明らかに今までのダークの様子とは違う。
ダーク「嘘だ…。嘘だ…。」
夢子「…ダーク?」
ダーク「俺は…?タブー様は…一体何を…?」
夢子は先ほどの出来事を思い出す。
そして夢子は静かにダークに告げた。










夢子「ダーク…貴方、タブーに裏切られたのよ。」


ダーク「…嘘だ!!!」
ダークは震え、目には涙を浮かべている。
夢子「…!?貴方…泣いてるの…?!」
ダークの初めて見た表情に驚く夢子。
ダーク「俺は…また裏切られたのか…?!」
夢子「だから言ったじゃない。貴方は騙されてたのよ。あいつに。」
ダーク「なんで…俺の事信頼してるって…言ってたのに…」
夢子「それも貴方を利用するための口実だわ。」
ダーク「そんな…俺は…やっと信じてくれる人に出会えたと思ったのに…!」
夢子「そんなにタブーの事信頼してたの…?」
ダーク「…ククク…」
夢子「?」
突然笑い出すダーク。
ダーク「ほらな?信用なんて簡単に打ち砕かれるもんなんだよ!」
夢子「…ダーク…。」
ダーク「俺は…人を信じちゃいけない存在なんだよ…!」
夢子「…!そんな事ない…!人を信じちゃいけない存在なんてこの世に一人もいない…!」
ダーク「…だったら…俺はこれからどうして生きていけばいい…!?」
夢子「それは…」
ダーク「お前と俺とでは生きる世界が違うんだよ。お前は眩しい光のお友達と馴れ合いしてるのがお似合いだ。」
夢子「こんな状況なのにまだ強がるの?」
ダーク「…じゃあどうしろって言うんだよ。」
夢子「…まずは…休める場所を探しましょう。」










ピット「イテテテッ・・・」
マルス「皆大丈夫かい?」
アイク「ああ…なんとかな…」
リンク「此処は…?夢子さんもいない…。」
4人は辺りを見回す。
ピット「此処はどこなんだろね。森っぽいけど。」
マルス「うーん遠くは霧で見えないね。
アイク「俺達タブーの魔球に飲み込まれたが、ダークも巻き添え食らってたぞ。」
ピット「ええ!?じゃあタブーとダークは仲間割れ!?」
アイク「…かもな。詳しいことは本人に聞かないとわからないが。」
リンク「聞く必要はありません。」
ピット「…リンク相当怒ってるね…。」
リンク「当たり前ですよ!折角夢子さんと再会出来たのにあのハゲなんてこと…!」
マルス「うわ・・・口悪っ」
アイク「兎に角、休憩出来る所を探そう。傷の応急処置もしたい。」
ピット「そうだね!それから夢子を探そう!きっとこの何処かにいるよ!」







【いいね!!】

[ 37/508 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]