28

白の書「ニーア、顔色が相当悪いが…大丈夫か?」
ニーア「ああ、昔を思い出したよ…まさかこんな形でまた実現するとは…」
夢子は笑顔で言う。
夢子「ニーアさん、またご飯作ってあげますね!」
その笑みに罪はない。

ニーア「…ああ、楽しみにしてるよ…(涙目)」

ニーアは激マズ料理に耐えていた。





【28】








愉快な食事(?)が終わった後、束の間の休憩。
夢子は思い出したかのように言う。


夢子「そういえばカイネさんとエミール君、今頃何してるでしょうか?」
ニーア「暇してるだろな。そろそろこの街から出るか。」
夢子「私、此処好きでした!青い海が何所までも広がって…
     私の世界は小さいスラム街だけだと思ってたから…。」
ニーア「辛かっただろ?…これからは俺が色んな場所連れて行ってやるから。」
夢子「ニーアさん、もう一度聞いちゃいますけど何で私にこんなに優しいんですか?」
ニーア「最初は妹に似てたからっていうのもあったけど今はそれだけじゃないよ。
    君の本質に惚れたんだ。君のその透き通った目と心、優しさ…すべてが愛おしい。」
夢子「ニーアさんと一緒に居れば…私の生きてる本当の意味、見出せるかな?」
ニーア「それに、俺は運命って信じてる。あると思うんだ。そういうの。」
夢子「運命…」
白の書「運命やら奇跡やら、人間の思いとは興味深い物だな。」
ニーア「そういうのがあるから人生面白いんだよ!」
白の書「そのようなものか…?」
夢子「確かにそうですね!私もそういうの…信じてみたい。」
ニーア「それに、運命ならもう実現してるしな!」
夢子「…この旅はいつまで続くのでしょうか?」
白の書「魔王を倒すまで、だろう。
    ニーアはこの世界からマモノを全滅させる事とヨナを奪還する事だけ考えてるからな。」
夢子「そっか…。」
夢子は何故か悲しい顔をする。
ニーア「大丈夫、完全な平和が来たら…俺とヨナとシロと夢子の4人で
    静かな場所で静かに暮らそう?」
夢子「叶うかな?」
ニーア「俺が実現させてみせるよ!」
夢子「…あはは。」
白の書(…夢子は何故悲しい顔をするのだ?)






荷物をまとめて街から出た2人と1冊。
そこにいるはずだったカイネとエミールの姿がない。


ニーア「あれ…?あの二人何所行ったんだ?」
白の書「また地上絵でも描いてるかと思ったのだがな。」
夢子「…あ、でも何か書かれてますよ!絵じゃないけど…文字かな?」


夢子が指を刺す地面に大きく文字が書かれている。



夢子「よ…う…か…ん、い…く…」

ニーア「…まさかエミールの洋館か?」
白の書「洋館と言えばそこしかなかろう。」
夢子「洋館?」
ニーア「エミールの家っていったほうが分かりやすいか。」
夢子「何か忘れものでもしたのでしょうかね?」
白の書「暇つぶしし過ぎたのだろう。」
ニーア「でもカイネとエミールふたりで行くのって珍しいよな?」
白の書「急に実家に戻りたくなる年ごろなのだろう。」
ニーア「…エミールって俺らより遥かに年上だろ?年ごろっていう範囲ではなさそうな…」
夢子「えぇ…!?エミール君っていくつなんですか?」
ニーア「俺も詳しくは知らんが1000歳は余裕で越えてるのは確かだ。」
夢子「せ…せん!?」
白の書「おまけにあやつはほぼ不死身だしな。」
夢子「エミール君って何者なんだろう…。」
ニーア「詳しい事は本人に聞けばいいさ。割と過去の事割り切ってる奴だから夢子にも話すだろう。」

そんな話をしているうちに空が曇ってきた。
太陽の光が分厚く黒い雲で隠れてくる。


ニーア「…すんなり洋館まで行けそうにもないな。」
夢子「天気悪くなってきましたね。」
白の書「ニーア、夢子、戦う準備だ。」
ニーア「夢子、後ろから付いてくるんだぞ?
    離れないように、な。」




ニーアと白の書と夢子は洋館へ向かう道中
数匹マモノを退治しながら進んだ。
ニーアは蚊を叩くような感じでマモノを倒していく。
夢子も頑張って魔法を使った。

ニーア「夢子、大丈夫か?マモノ倒すの久々じゃないか?」
夢子「少しだけコツ掴んだ気がします!」
ニーア「ロボット山で戦った経験値がいかされてるのかもな…
    しかし、あの弟のやつ…今思い出すだけでも腹立つな‥‥(ブツブツ)」
ニーアが黒い笑みを浮かべる。
その怒りをマモノにぶつける。
マモノは大量に血を流して倒れていく。



夢子「ニーアさん…怒ってる?」
白の書「ストレス発散してるのは確かだな。」
ニーア「さあ、雑魚共かかって来い。一匹残らず駆逐してやる。」
白の書「何処かで聞いた事のあるセリフだな…。」
夢子「曇りの日のニーアさんは少々怖い気がしますね。」
白の書「マモノが大嫌いだからな…本能的に血が騒ぐのであろう。」
夢子「マモノは…マモノにも意志があったりするかもですよ。」
白の書「‥?どういう事だ?」
夢子「…何れ全てが分かる日が来るのでしょう。」




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