22


花束を取り出すと2つと墓石の前に立つ。

夢子はニーアのその後ろ姿を白の書と共に眺める。










【22】



ニーアは静かに口を開いた。




ニーア「ここにはあるじいさんとばあさんが眠ってるんだ。」
夢子「ニーアさんのお爺さんとお婆さん?」


ニーア「いや、他人だよ。俺とは血は繋がってない。
    じいさんは…釣りが好きで、俺に何度もバカみたいに釣りを頼んできてな。
    最後の大物釣って帰ってきたら…そのことを報告する前に亡くなってたんだ。
    ‥‥ばあさんは灯台で恋人をずっと待ち続けて…
    実は恋人だと思っていた文通の相手はここの郵便局の人間で。
    将来を誓った恋人はとっくの昔に死んでいたって事実で…
    俺は最後の最後に本当の事話したが…今でもそれが正解だったかわからないよ。
    真実は残酷だなって…思う事があるよ。」




夢子「・・・。」
ニーア「人には誰にでも訪れるものが、こんなにも寂しいものだと思わなかったよ。」
夢子「でも…それでも…ふたりとも最後にニーアさんと関われて嬉しかったと思いますよ。」
ニーア「そうだと…いいな…。」
夢子「…ニーアさんって優しいんですね!ただの変な人じゃなくて安心しました。」
ニーア「俺が本当に優しくするのはヨナと夢子だけだぞ!?それに変な人ではないからな!」
白の書「まあ、このお人好しな感じが先ほどの街の者の群れの結果だがな。」
ニーア「シロ〜、それって褒めてるのか?」
白の書「さあな。」






ニーアと白の書と夢子はその後、街を見て周った。
釣りのお爺さんのいつもいた漁港や
灯台のお婆さんの暮していた灯台に行ってみたり…
色々な場所を周った。
そこでは外で暴れて人を殺すマモノの影など一切知らない世界の様な
ゆったりとした時間が流れている。




夢子「こうしてみると街の外と同じ現実とは思えませんね。」

海の見える高台で景色を眺めるニーア達。

ニーア「この世界からマモノが消えたら、きっと皆恐怖に怯えなくて済むんだろうな。
    俺がそれを実現させる…ヨナの為にも皆の為にも。」
夢子「…怖くないですか?未知の敵と対峙するの。」
ニーア「最初は怖かったけど…何れ誰かが実現させなきゃいけないんだ。
    それが俺の役目だと思っている。」
夢子「そうですか…。」
ニーア「夢子って時々不思議な所あるよな。
    何か、先の事を知っているような目をしている…。」
夢子「…気のせいですよ!さあ、そろそろ宿屋に戻りましょう!
     今日は色々見れて楽しかったですね!」
ニーア「あ、ああ…。」
夢子「また一緒にアイスクリーム食べましょう!」
ニーア「あいす…///」
夢子「…?また顔赤いですよ?大丈夫ですか?」
ニーア「いや、こっちの問題だから…気にするな‥。」
白の書「(笑)」
ニーア「ああ!シロ、今鼻で笑ったな!」
白の書「書物に鼻なぞない。」







宿屋に着いた。
もう外は暗い。
ニーアと白の書は1階、夢子は2階に部屋を取った。
ニーアはベットに倒れ込むと天井を見上げた後に唸る。




ニーア「ああ〜今日も夢子可愛かったぁぁあ〜!」
白の書「何を言い出すかと思えばまたその話か。」
ニーア「だって、あいす…あれやばいだろ…俺悶え死ぬ所だった‥‥。」
白の書「まあ、あれはな…恋愛初心者にはある意味耐えがたいな。」
ニーア「それでまた一緒に食べましょうって…俺2度死ぬ!!死体蹴り!(歓喜)」
白の書「落ち着かんか。もう寝る時間だぞ。」
ニーア「こんなの落ち着いて寝れるわけが‥‥」




コンコン。



ニーアと白の書の泊ってる部屋の扉にノックが鳴る。

興奮気味のニーアが扉を開けると…







そこには昼間の姿よりも更に派手なネグリジェ姿の夢子が立っていた。






ニーア「っ…!?夢子!?///」




夢子「ニーアさん、ちょっとの間話し相手、良いですか?
     …なんか眠れなくて。」

ニーア「…あ、ああ。」



顔を再び真っ赤にするニーア。
白の書はやれやれとため息をつく。
白の書(さて、この男…どれだけ耐えれるのか…興味深い。)



静かになった部屋の中でニーアと夢子は会話を始める。
最も話所ではない心境のニーアだったりするが。

善と悪が再びニーアの心の中で闘い始める。




【いいね!!】

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