20


カイネの秘密がわかったニーア達は海岸の街に無事入ることが出来た。
とはいっても、カイネとエミールはいつも通り街に入ることはせず、
外で待っている。
ニーアは夢子との久々のデート気分で心が躍っていた。







【20】






街に入ると街の人々が挙ってニーアに話しかける。
それはもう揉みくちゃにされるほど。




夢子と白の書は少し離れて見守る。




夢子「ニーアさんって人気者なんですね?」
白の書「まあ、あちらこちら立ち寄る場所で人助けしているからな。」
夢子「なんだか少し見直したかも。」
白の書「ああ見えて正義感だけは強いからな。」
夢子「ヨナちゃん、こんなお兄さんいて幸せですね。」
白の書「人は無いものを欲する。そんなものだろう。」
夢子「シロさん…私に兄弟居ないってなんでわかったんですか?」
白の書「…勘だな。」
夢子「凄い!超能力ですね!」
白の書「伊達に長く生きてるわけじゃないからな。」
夢子「ふふ。だからニーアさんはシロさんを信頼して頼るんですね!」
白の書「…そんなに褒めるでない。照れるであろう…。」









ニーア「ふう、やっと皆散ってくれた…。」


人混みから解放されたニーアがボロボロになって帰ってきた。


白の書「ご苦労。」
夢子「ニーアさんって凄い人気者ですね!それに、皆嬉しそうだった!」
ニーア「クエストやってるうちに自然にな…ちょっと疲れるけど…。」
夢子「私もいつか、人に頼られる人間になりたいな。」
ニーア「俺たちは夢子の事頼りにしてるよ?」
夢子「え、ほんとですか?」
ニーア「後方からの魔法攻撃、助かってるよ。
    ここ数日でよくあんなに使いこなせるもんだよ。素質、あるのかもな!」
夢子「エヘヘ…。」
ニーア(ああ、照れてる夢子かわいい。マジ天使。)
白の書「ニーア、鼻の下伸びてるぞ。何考えてるか大体察しがつく。」
ニーア「ばっ…!からかうなよ!」
夢子「フフフ!」
白の書「フフフ。」
ニーア「二人して笑うなよー!恥ずかしくなる!」



夢子はニーアの手元を指さして言う。
夢子「ニーアさん、その手に抱えてる沢山の物はなんですか?」
ニーア「ん?…ああ、街の皆からの差し入れっていうか。貰ってくれってさ。」
夢子「こんなに沢山‥しかも色々…。」
ニーア「ほとんどアイテムとお金だけどな。」
夢子「これだけ貰えるとなると今後助かりますね?」
白の書「人脈が厚いとこの様な事が多々有って助かるな。」
ニーア「俺はいらないって言ってるんだけどな…皆うるさくて。」
夢子「何にせよ人に好かれるのは良い事ですよ。」
白の書「そうだぞ。」
ニーア「まあ、俺も嫌われてるよりかは大分マシだが…。」
夢子「あ、あそこにお店がある!」




夢子は海辺の方角にある店を指さす。
そこには「アイスクリーム」と看板がかかった店がある。
ニーア「アイスクリームってなんだ?」
白の書「氷菓子であろう。夢子…気になるのか?」
夢子「なんか、とても美味しそうですよ!ちょっと寄って見ませんか?」
ニーア「夢子が言うなら…」
夢子「やったー♪」




夢子はアイスクリーム屋に走っていく。
その姿はまるで幼いころ見たヨナの姿で。
ニーアは胸を締め付けられた。
白の書がそんなニーアに声をかける。



白の書「…ニーア、大丈夫か?」
ニーア「ああ、いや…なんか急に胸が苦しくなってさ。」
白の書「本当に、あの娘はヨナにそっくりだ。我が見ていてもそう思う。
    兄であるお前にとってはそれが倍の心境なのだろうな。」
ニーア「いつもヨナと夢子を重ねて見てしまって…
    二人には悪いことしてるのかな、俺。」
白の書「この状況だ。仕方がない事だと思うがな。」
ニーア「いつかヨナともここに来たいな。…アイツ海見たことないから。」
白の書「来れるさ、願えばきっと叶う。」


夢子「ニーアさん!シロさん!ふたりもこっちに来てくださいよー!早く早く!」
白の書「ほら、呼んでるぞ。」
ニーア「ああ、今この瞬間を楽しもう。…これから先辛い旅になるかもしれないしな。」







ニーアと白の書は歩を進める。
その言葉が現実となる日が近くなるその時まで。



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