19


ニーア「でもさっきの虎型のマモノ、なんで夢子を攫おうとしたんだ?」





【19】










再び歩きながらニーアは疑問を抱く。
白の書「そうだな、少々気になる。」
ニーア「少々じゃない!大問題だ!」
エミール「ニーアさんまた怒ってます?」
ニーア「当り前だ!マモノの癖に夢子を攫おうだなんて…
    100年…いや、1億光年早い。」
白の書「また飛んでもない年数だな…。」
エミール「カイネさんと夢子さん、二人ともさっきからずっと黙ってますね?
     何かあったんですか?」
カイネ「ん…?ああ、個人的な話だ。時期解決する。心配するな。」
夢子「・・・。」
エミール「うーん、よくわかんないかも。」
ニーア「お、潮の香りが近づいてきた。ん〜久しぶりだなぁこの街。
    なんかこの街での思い出って言ったら釣り釣り釣り釣り釣り釣りツリツリツリ‥‥(ブツブツ)」
白の書「…思いだすのやめんか。我まで頭がおかしくなる。」
ニーア「まぁ…今となっては良い思い出かな?おかげで釣りの腕馬鹿みたいに上がったしな!」
エミール「ニーアさんの捕る魚、大きくて脂がのってて美味しいんですよね!」
ニーア「エミール、お前は食べなくても生きられるだろ?」
エミール「味覚って大事ですよ?!」
白の書「え、その姿で味覚とかあるのか‥‥?!」
エミール「失礼な!ちゃんとありますよ!!(激おこ)」




カイネ「では…街に入る前に夢子と二人きりで話してくる。」
ニーア「俺も夢子と二人きりでデートしたいんだが。」
エミール「じゃあニーアさん、代わりに僕と…。」
白の書「なんという一方通行な会話だ‥こちらまで思考回路が狂う。」














カイネと夢子は街に入る前の少し丘になってる場所で話を始める。





カイネ「・・・聞こえるんだろ?」
夢子「・・・。」
カイネはため息をつく。
そして包帯で巻かれた腕を触る。
そして何処からともなく声が聞こえる。
???「まさか俺様の声が聞こえてるとはな…こりゃ参ったぜ。」
夢子「やっぱり…マモノの声…。」
カイネ「ああ、そうだ。コイツが…【テュラン】が私に憑いてるマモノだ。
    …という事は…他のマモノの声も…夢子にも聞こえるんだろ?」
夢子「はい…少しだけ…。」
テュラン「夢子とやら…マモノの叫びが聞こえる気分はどうだ?はは、最悪だろ?
     これが聞こえる奴と聞こえない奴の差だ。
     お前もカイネ同様、今後この苦しみを味わうんだな!」
夢子「ってことは‥‥ニーアさんやシロさん、エミール君には聞こえないんですね?」
カイネ「…アイツ等はこの苦しみが無い分幸せな奴等だよ‥‥ほんと。」
夢子「さっきの虎…悲しんでた。一人ぼっちで、友達が欲しかったって。」
カイネ「…だから意思疎通のできる夢子を攫おうとしたんだな。」
テュラン「カイネは問答無用で斬り殺そうとしてたからな…見向きもされなかったなぁ?!ククク。」
カイネ「うるさいぞ。少し黙ってろ。」
夢子「声が聞こえるって…こんなにも悲しい事なんですね。」
カイネ「…ニーア達には黙っておけ。これ以上辛い思いする人間は出したくない。」
夢子「ハイ…。」
カイネ「今後私の中にいるバカがうるさいと思うが…気にしないでくれ。」
テュラン「バカにバカって言われたくねーよ!」
夢子「カイネさんは…マモノと戦う度ずっと声聞いてたんですね。」
カイネ「まぁな。…たまに気が狂いそうになるけど…もう慣れたよ。」
夢子「じゃあ、もう孤独じゃないですね!」
カイネ「・・・!」




夢子が包帯に巻かれたカイネの手を取る。

夢子「もう、ひとりじゃないですからね。私もこの現実受け入れます。
      カイネさん、寂しくないですよ。頼りないけど、私という仲間が増えたから!」

夢子の言葉を聞いたカイネは心を揺すられる。
思わず夢子の事を抱きしめる。
少し涙腺を緩めながら言葉をかける。

カイネ「夢子は優しいな。人間もマモノも…皆夢子みたいだったらいいのにな。」
夢子「平和な世界が訪れると良いですよね。」
カイネ「…そうだな。」









二人は手を繋いで戻る。
門の前で3人が待つ・
カイネと夢子の姿を見たニーアが早速嫉妬する。



ニーア「…二人でヒソヒソと何話してたんだ?」
カイネ「ああ、恋バナだ。私と夢子との、ヒミツの、な。」
夢子「カイネさん!?///」
エミール「僕たちも恋バナしてましたよね!ね、ニーアさん!」
白の書「途中から釣りの話になってた気がするが。」
カイネ「ニーアには悪いが…夢子は渡さないぞ。」
ニーア「な!何言ってるんだ!大体同性だぞ!?そんな事が…」
カイネ「この世界の法則、知ってるだろ?」
ニーア「ぐう…。」
カイネ「それに…




    私は両性〇有者だからな。」





夢子「りょう…せ?」

ニーア「その話夢子に堂々と聞かせるなー!!!聞いてる俺が恥ずかしい!!///」





カイネが続けてドヤ顔ではっきり答える。



カイネ「所謂フタ〇リだ。ぶっちゃけ男でも女でもいけるからな。本気出せば。」
エミール「カイネさんその話堂々と言えるほど強くなったんですね!
     尊敬しますよ!僕も頑張ろう〜。この身体でも出来る事沢山あるだろうし!
     僕だって生身の人にはまだまだ負けませんよー!」
白の書「いや、これは尊敬するに値しないとおもう内容だと思うのだが。単なるシモネタだろう。
    下着女、少しは自重しろ。」





夢子「んー…よくわからないけど、カイネさんは凄いんですね!」
カイネ「フフ、まあな。」
ニーア「事実を知ったからとは言え夢子は譲らないからな!
    大体平原で1番最初に夢子を見つけたの俺だからな!?」
カイネ「ふふ。どうとでも言え。」
ニーア「ああ、強敵がライバルになってしまった…。」
白の書「お主も苦労者だな。情けを感じる。」





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