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第36章【勇者参戦】





プリム「緊急事態…緊急事態…!」
相変わらずプリムの奇声は城中を響き渡っていた。
夢子はプリム達に拘束され母屋へと連れて行かれていた。
夢子「リンクさん…!」
ダーク「勇者様が待ち遠しいか?」
当然見張り役のダークも夢子の傍にいる。
夢子「私はずっと信じてた…リンクさんなら必ず来てくれると…。」
夢子の顔には今まで失っていた笑が浮かんでいる。
ダーク「…なぜそこまで人を信用できる?」
夢子「相手が信じてくれたら、お互いを信じ合える。」
ダーク「人の信用など簡単に打ち砕けるだろ?」
夢子「信用出来る人を選ぶのよ。…それがお互いを信じ合える仲になればそう簡単には打ち砕かれない。」
ダーク「…俺には理解出来ない。」
夢子「理解出来る相手をこれから見つければ良いじゃない。」
ダーク「…フン、くだらねぇ…。」
プリム「緊急事態…緊急事態…城門ヲ何者カニ突破サレマシタ…!ソノ数ハ4名…緊急事態…緊急事態…!」
夢子「リンクさん以外にもいるんだ…!」
希望に満ちあふれた表情の夢子を横目にダークは殺意に満ちた目をして言い放つ。
ダーク「…ちょっくら殺しに行くとするか。」
夢子「!!」
ダーク「おっと、お前は大人しくここにいろよ。出ないとお前も…」


バンッ!

ダークが夢子に言いかけたその時、
母屋の扉が勢いよく開いた。
そこには見慣れた姿の4人が立ちはだかっていた。


夢子「リンクさん!それにピットさん、マルスさん、アイクさん!!!」

ピット「やったー!ここにいそうっていうアイクの考え当たってたねー!」
アイク「団長やってた身だ。このくらい予想はつく。」
マルス「愛しの夢子!会いたかったよー!!!」
マルスが夢子に抱きつこうとするとダークが透かさず剣を向ける。
ダーク「おいおい、俺様がいるってこと忘れんなよ?」
リンク「ダーク…!」
リンクがダークを睨みつける。
ダークはいつもどおりニヤニヤ笑いながら剣を振る。
ダーク「よう、時の勇者。あれれ?相当ご立腹の様だな?」
リンク「当たり前だ。夢子さんを返してもらう!」
ダーク「それはいけない話だな。こいつは俺ら亜空軍にとっては重要な役割があるんだ。…見ろ。」
ダークは夢子に剣を突きつけると無理やり腕を掴んだ。
ダーク「この腕と足を見ろ。こいつの覚醒はもう中盤まできてるんだよ。てめぇらには邪魔させねえ!」
ピット「…夢子のあの腕と足の青いアザは…何…!?」
リンク「説明は後でします。」
マルス「リンク、知ってたの?僕に隠しとくなんてずるいなー。」
アイク「…今は戦いに集中しろ。」
ダーク「新世界は俺たち亜空軍の手で築き上げられる。…邪魔する奴は全員…殺す!!!」
ダークが叫んだと途端、母屋にある凡ゆるモノの影が動き出す。
リンク「気をつけてください!影に捕らわれないように動くんです!」
ピット「了解っと!」
マルス「おっとっと…厄介だねこれ…」
アイク「気をつけろ!ダークも素早い!」
ダークはアイクの言ったとおり素早く動き回る。
その身体は影と同体する。
マルス「リンク!後ろ!」
リンクが後ろを振り向くとダークが剣を下ろしてきた。

ガキンッ!!

リンク「クッ…!」
剣と剣がぶつかる。
ダーク「くくく…こうやって戦うのは2回目だな…!」
リンク「今は絶対に負けない!守るべきものがいるから!」
夢子「リンクさん…!」
ダーク「フン、くだらん!!!」

キイイン!

剣が剣を弾いた。
衝動でリンクが後ろへと蹌踉めく。
ピット「リンク!!!」
リンクを心配した一瞬の隙をつかれ残りの3人は影に捕まってしまった。
マルス「動けない…!」
ダーク「仲間の心配をしてる場合じゃないだろ?間抜けな奴らだな。」
アイク「クソッ…!」
リンク「皆さん…!」
ダーク「まずはお前からだリンク。お前を殺せばやっと俺は自由になれる…!」
夢子「リンクさんっっっ!!!」
ダーク「死ねっ!!!!」
ダークがリンクに剣を振りかざした、その時だった。







「ゴ苦労ダッタ、ダーク。」


あの忌々しい声が再び母屋に響き渡った。




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