18


南平原。
ニーア達は海岸の街へ向かうためそのエリアを歩いていた。
最初は良かった天気だったが…










【18】















次第に太陽が雲で隠れ始める。
平原一体に雲の影が現れる。
風も湿っている。



ニーア「…曇ってきたな。」
白の書「ああ、注意して進むのだな。」
ニーア「まあ、今の俺たちならこのエリアに出てくるマモノなんか一撃で…」




カイネ「何かが…来るぞ!」







地面にある影たちが動き出す。
その一点を中心にして影が少しづつ大きくなる。
大きさは…5メートルほどの…マモノになった。
形は虎のような形をしている。
4足歩行でこちらをじっと睨み唸り声をあげる。



虎型マモノ「グオオオオオオ!!!」



ニーア「なんだ…コイツ。今まで見たことないぞ…?」
白の書「世の中広いからな…未知は多い。」
カイネ「フン…私たちに遭遇したのが運の尽きだな。」
エミール「夢子さん、これがマモノとの初戦闘ですね!頑張りましょう!」
夢子「はい…!」






マモノとの距離を覗う一行。
先陣はニーアとカイネで後方支援をエミールと夢子でる。
ニーア「行くぞ!」
ニーアが駆けだした。
白の書が慌ただしくページを開く。
するとそこから黒い弾丸が飛び出てマモノに連射される。
カイネは双剣でマモノを滅多切りにする。
夢子「皆凄い…!」
エミール「まだまだ、ですよ。ニーアさんたちが本気だしたらもう凄い事になりますから!」
夢子「そうなんですか?」
エミール「多分、この辺だと今一番強いのは僕たちですから。」
夢子「凄いなぁ…」






マモノは息を荒らす。
大分傷を負ったようだ。
ニーアが技を決めようと集中する。




その時だった。


マモノは目を光らせ高く飛んだ。
そして…
夢子の元へ飛ぶ。


ニーア「夢子!!」
白の書「いかん!ニーア、早く奴を仕留めるのだ!」

マモノは夢子を背に乗せる。
そしてその場から立ち去ろうとした。


その姿を見たニーアの表情が一変する。
…ロボット山の弟の時と同じ顔になった。




ニーア「夢子に…触るな!!!」



ニーアの移動速度が目まぐるしく上がった。
今までの攻撃とは遥かに違う。
…本気モードだ。
白の書は弾丸を放ちニーアは武器を槍に替えた。
そして・・

槍を思い切り投げる。
投げ放たれた槍はマモノに貫通する。


虎型のマモノ「グオオオオオ…」

マモノは倒れる。血を吹き出し苦しそうに。


夢子はそっとマモノと距離を取る。
ニーアがすかさず夢子に駆け寄る。




ニーア「夢子!大丈夫か!?怪我、してないか!?」
夢子「あ…はい。」
ニーア「危ない所だったな…コイツ、なんで急に夢子を攫ったんだ?!」
カイネ「…?コイツ…。」
エミール「カイネさん、どうかしました?」
カイネ「いや、何でもない。」
夢子「‥‥今の声は…。」
カイネ「夢子…まさか…聞こえてるのか?」
ニーア「ん?一体何の話してるんだ?」
カイネ「…夢子、あとで二人きりで話そう。」
夢子「‥はい。」

カイネと夢子の表情が曇る。
ニーアと白の書とエミールには何も理解できない会話だった。
そんな中空の曇りは次第に消えて再び太陽が日差しを出す。

虎型のマモノの死骸は陽の光で消滅してしまった。


消える瞬間、夢子はマモノに手を差し伸べる。

ニーア「夢子!危ないぞ!離れたほうが…」
夢子「大丈夫。この子はもう…安らかになるから。」
ニーア「…?」




疑問を抱きながら一行は再び前へと進む。



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