16



朝。
目が覚めたニーア達は家から出る準備をしていた。
ニーアはせっせと荷造りをしている。




【16】






その様子を後ろからじっとみる夢子。
あまりこういう光景を見たことが無かった夢子は不思議そうに見ている。
夢子の視線がニーアの背中に突き刺さる。
ニーアは…また少し興奮していた。




ニーア(あぁ…夢子が俺の事見つめてくれてる…嬉しい…。)
白の書「ニーア、何を考えているのだ?表情が緩んでいるが。」
ニーア「俺って幸せだなって。つくづく実感して。」
白の書「ほう…。」
ニーア「これでヨナもいたらもう完璧なんだけどなぁ。」
白の書「ではさっさと魔王とやらを倒せばいい話だ。」
ニーア「アイツは…一体何を考えているだろな。」
白の書「さぁな…マモノの考えなど聞きたくもないがな。」
ニーア「ハハ、シロの言う通りだな。…アイツ等なんて人を不幸にすることしか…」

夢子「準備、出来ましたか?」

ニーア「ああ。これだけアイテム持っていけば十分だろう。
    夢子、昨晩は家のベットで寝れたが…これから野宿が増えるだろう。
    寒かったり雨が降ったり…。
    ああ、寒かったら俺が抱きしめてやるから!安心してくれ!」
夢子「いや…なんかさり気なくセクハラしてませんか…?
     寒かったらカイネさんにくっつきますから大丈夫です。」
ニーア「…カイネ…。(ガックリ)」
白の書「…羨ましそうだな?」
ニーア「当り前だ!!夢子には俺を抱き枕代わりにしてほしいのに!
    夢子、俺の懐はいつでも開いてるから!」
夢子「結構です。(きっぱり)」
ニーア「でも…ちょっと突き放されるのもまた良いんだよなぁ…堪らん。」
白の書「嗚呼‥ついにM体質になってしまったか…」
夢子「あ、それ聞いて思いだしたんですけど
      ロボット山であの…弟の事件があった時…
      ニーアさん爆発するロボット沢山抱えて助けに来てくれましたが…
      あれ…大丈夫だったんですか?!…普通の人なら死んでる気がするんですけど。
      その割には寧ろ元気イイというか。」
ニーア「ああ、愛の力があれば無敵さ!!!」
白の書「冗談は置いておいて……ニーアはこう見えても実力や体力はある。
    あの程度のザコの爆風など羽虫のようなものだ。」
ニーア「これからも身を挺して夢子のことサポートするからな!」
夢子「ああ!私がサポートするんですってば!ヨナちゃんとの約束守らないと…。」
ニーア「俺は…ヨナとの約束が無かったとしても夢子と一緒に居たいと思うけどな…。」
白の書「さあ、そろそろ時間だぞ。下着女とエミールと合流せねば。」
ニーア「そうだな。井戸の桶も無事直ったしクエストはもう無いから当分は戻ってくることがないだろう。
    …もう少しだけ居たかったけどな…。俺の帰ってくる場所はここだからー・・・」
夢子「今度来る時はヨナちゃんと一緒に帰ってきましょう。
      人は皆笑顔になる為に生きてるんですからね!」
ニーア「夢子‥‥。」
夢子「だから、悲しい顔しないでください。」
ニーア「…ありがとう。」


ニーアは夢子に微笑んだ。
その表情はマモノやロボットと戦ってた時とは違う。優しい微笑み。
夢子もニーアを見上げる。
夢子(…やっぱりニーアさんってイケメンではあるんですよね…
     突然変な事言ったり変な行動しなければ完璧なんですけどね。うーん…残念。)




すると突然ニーアが夢子の手を取る。




ニーア「なぁ、夢子。俺たちお似合いだよな?シロだってそう思うだろ?」
夢子「はいぃ?!急になんですか!?」
白の書「何を言い出すかと思えば…寝言は寝てる時だけにしておけ…。」
ニーア「結婚しよう。」
夢子「そういう所が残念なんですよ!!っていうか…出会って何日だと思ってるんですか!」
白の書「夢子の言う通りだな。」
ニーア「…??俺は結構真剣なんだが…。」
夢子「さあ、カイネさん達の所に行きましょう!待ってますよ?」
ニーア「ああ…上手い事話逸らされたな…。でも俺は諦めないから。」
白の書「単純だな。」
ニーア「男って諦めが悪い生き物なんだよ。」
白の書「ふむ…。」







支度が終わったニーアと白の書と夢子は家を出た。
今日も天気が良い。






ニーア「この天気だと今日もマモノは出そうにないな。曇りが多いはずのこの世界…珍しいもんだな。」
夢子「でも移動するのに好都合ですね!」
白の書「まあ、出現したとしても今のニーアにはかすり傷一つも負わぬだろな。」
夢子「ニーアさんってほんとに強いんですね?一応只ならぬ風貌は感じますが…」
ニーア「鍛えてるからな…今まで色んなクエストしてきたから。マモノも沢山倒したし。」
夢子「私も強くなりたいなぁ。何かコツとかあるんですか?」
ニーア「そうだなーやっぱ実戦が一番だな。」
夢子「ニーアさんは…マモノを殺した時に彼らから何故血が出るか、知ってますか?」
ニーア「…?考えたこともなかったな。」
夢子「…そうですか。」
ニーア「夢子ってたまに不思議な事言うよな。」
夢子「そうですか?」
ニーア「不思議っこ、俺は嫌いじゃないよ!(キラン★)」
夢子「ぅぇ…。」
白の書「あらゆる耐性が付き始めたぞこの男…先が思いやられる。」
夢子「シロさんみたいな真面目な人がニーアさんの隣にいてくれてほっとしますよ。」
ニーア「俺だって真面目だよ?!なぁシロ!」
夢子「…怪しいです。」
白の書「右に賛成だな。」
ニーア「えぇ…その言い方は…」


【いいね!!】

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