14



ニーア達はロボット山から自分たちの村に戻ってきた。
先ほどまでオレンジ色だった景色は段々薄暗くなる。
村の入口につく頃にはもう陽は沈んでいた。








【14】※少々性的(同性)な内容があります。













ニーア達は村の入口で話す。
カイネ「今は女同士夢子の側に私が居てやりたいんだが…
    村に入るのはな…私のせいで混乱が起きたら困る。」
エミール「じゃあどうします?」
ニーア「俺の家にヨナの部屋あるから、今日はそこで休ませよう。
    …辛かったもんな…今でも思い出すだけで腹が立つよ。」
夢子「・・・。」
ニーア「夢子、家まで歩けるか?支えてやりたいが…俺が触れたら怖いんだろ?」
夢子「・・・。」
カイネ「ってお前…夢子が怖がってるのにどさくさに紛れて何度も触れてるだろう。」
白の書「確かに今更の様な気もするな…。」
ニーア「崖の村の事かは…あの時は必死だったんだよ!察してくれ!」
エミール「エー僕置いてかれて少しショックでしたよー?」
カイネ「では…ニーア、夢子を頼む。
    …くれぐれも変な事するなよ?したら本当にタマ潰すからな。」
ニーア「うっ…わかったよ…。」








〜ニーアとヨナの家〜



ニーアと夢子は家の中に入った。
夢子は弟に襲われたショックが大きいのか一言も言葉を出さない。
ニーアはそんな夢子の事を心の底から心配していた。
夢子の過去に何があったか、夢子がどんな人生を送ってきたか
何も知らない自分自身をニーアは嘆いた。
黙り続ける夢子にニーアが話しかける。


ニーア「ここが俺とヨナの暮していた家だよ。
    …帰ってくるのは俺も久々なんだよな。
    掃除してないから少しホコリが溜まってるが…気にしないでくれ。」
夢子「・・・。」
ニーア「…まだ怖いか?」
夢子「・・・。」
ニーア「ごめん。」
夢子「・・・?」
ニーア「俺のせいだ…あの時もっと気を付けていればこんな酷い目に合わずに済んだはず…。
    最初からアイツの目つきはおかしかった。…気づけてたはずなのに…。」
夢子「…貴方のせいじゃないですよ。」

夢子はやっと言葉を発した。
だけどその表情は相変わらず暗い。
夢子「前にもあった、こんな事。」
     
ニーア「…?!」
夢子「…私って弱いですね。」





ふたりの間に沈黙が訪れる。
そして再びニーアが話す。



ニーア「前にさ、俺が髪の毛触られるのが苦痛って言ったの覚えてるか?」
夢子「はい…。」
ニーア「君には理由、話すよ。」
白の書「ニーア…その話は…。」
ニーア「彼女には教えなきゃ。権利はあるよ。ヨナと繋がってる唯一の存在だから。」
白の書「・・・。」

ニーアは深呼吸をする。
そして話し始めた。

ニーア「まだヨナが側に居た時。5年以上前の話だけど…
    ヨナは元々身体が弱くて…
    それなのに黒文病にまでかかって…治す方法が分からなくて…
    少しだけ発作の治まる薬があったけど、その薬は高価なもので。
    …高い金が必要だった。
    当時の俺にはお金を稼ぐ方法があまり理解出来てなくて。
    ある日簡単にお金を稼ぐ方法が耳に入ったんだ。





    



    
     『自身の身売り』−・・・。

     俺はとある男と一夜を過ごすことで高収入を得て
     ヨナに薬を買って与えてたんだ。」







夢子「…!!」






ニーア「この世界ではどういうわけか男女関係なくそういう行為が一般的で
    俺はとあるおっさんに目を付けられ買われたんだが…
    毎晩最悪だった。ヨナの為とは言え臭いおっさんに抱かれて…
    隠れて嘔吐したことだってある。…それでも薬代が欲しかった。
    それで…そのおっさんが俺の髪を触るのが好きだったらしくて
    その時の生々しい感覚が触れられると蘇ってくるんだ。
    だから身売りをやめた後は髪が肩に触れないよう結んで過ごしてたんだ。
    皆から散々変な髪型って言われたよ。
    今は大分落ち着いたから髪も下ろしているがな。
    …これが俺の秘密。カイネにもエミールにも話していないよ。
    勿論ヨナだってこの話は知らない。
    シロは知ってるけどね‥他の人は誰一人知らない事実。
    ヨナはきっと未だに真っ当に稼いできた薬代だったと思ってるだろう。」


夢子「…ニーアさんにそんな辛い過去があっただなんて…。」
ニーア「今すぐにとは言わないけど、俺の事少しは信用してくれないか?」
夢子「…ごめんなさい…私自分の恐怖ばかりに負けてしまって…
      ニーアさんの優しさに気付けてなかった…。」
ニーア「君は弱くなんかないよ。生きてるだけで充分強い。
    もし自分の事を弱いと思うのなら…俺たちと一緒に強くなろう。」
夢子「ニーアさん…!」




夢子はニーアの胸に飛び込んだ。
涙が止まらない。

ニーア「…!俺に触れられるのが怖いんじゃなかったのか?」
夢子「…ニーアさん何回も私に触れてるでしょ?
      それに貴方なら信じても良いと思えた。」
ニーア「…そっか。」





夢子はしばらくの間ニーアにそっと抱きしめられて涙を流した。
辛かった日々から解放された事、
やっと人を信じれそうな気がした事、
仲間がいるという事・・・。




夢子「…ありがとう。」












・ちょっぴりあとがき・
ニーアの過去の話ですが…
これは公式の裏設定です。
少年の時のあの髪型に違和感持つ人沢山いらっしゃると思います。
こういう理由があったそうですよ。


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