12
夢子は突如開いた鉄の扉の中に引きずり込まれた。
【12】
扉の中の部屋は薄暗い。
壊れた蛍光灯の様なものがバチバチと火花を放っている。
扉を叩く夢子。
大きな声でニーア達を呼ぶ。
夢子「ニーアさん!シロさん!カイネさん!エミール君!」鉄の扉は思っている以上に硬くで分厚い。
どんなに叩いても声をかけても返事が聞こえない。
夢子「どうしよう…みんなの所に帰らなきゃ…」
「帰らなくて…いいよ。」
夢子の背後に声が聞こえた。
男性の声だ。
そして、聞き覚えがある。
いや、さっき聞いたばかりの声。
夢子「貴方は…弟さん‥‥?」
夢子の視線の先には薄暗い光に照らされ不気味に笑うロボット山付近の小屋の主、【弟】だった。
弟は不気味な笑みを浮かべている。
夢子は戸惑う。
夢子「なんで…?」
弟は興奮気味に答える。
弟「君は…僕の天使だから…フヒヒ。」
夢子「天使…?」
弟「だってこんなにカワイイ女の子初めてみたから‥‥
手に入れたくて…どうしても…僕のモノにしたくて…
失ってばかりの僕への神様からのプレゼントだよねぇ?フヒ。」
夢子「何を言ってるの…?」
弟が夢子に覆いかぶさる。
反射的に杖を構えたが遠くへ投げられてしまった。
弟「だって、そんな恰好してさぁ…誘ってるんでしょ?
スケベだなぁ‥‥そういうコ好きだよ…フフ、フヒ。」
夢子は危機を感じる。
命の危機ではない別の危機を。
そして思いだす。
過去にも似たような事があったと。夢子は抵抗する。
しかし男の力というものは予想以上に強いものだ。
涙を浮かべる夢子。
頭の中はパニックを起こしていた。
声がでない。
コワイ。
夢子「や…やめ…!コワ‥‥イ…!た…たす…け‥‥」
その時だった。
ドカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!部屋に爆発音が響く。
そこには
大量の自爆ロボットを抱えて燃えているニーアの姿だった。
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