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【10】


一行は平原を北東に進む。
この日は天気が良く太陽の日差しが射してるおかげで
道中マモノと遭遇する事はなかった。

ニーア「今日は天気が良くてラッキーだったな!
    夢子を危ない目に合わせることもない!」
白の書「やけにご機嫌だなニーア。」
カイネ「安全に進めるのは良い事ではあるがな。
    そうだ、エミール、夢子の杖の準備出来たか?」
エミール「はい!バッチリ準備しましたよー!
     軽くて振りやすくて耐久力のある凝ったデザインの杖準備しました!」
夢子「ほんとですか!?」
ニーア「危なくはないだろな‥‥?」
エミール「大丈夫ですよニーアさん!僕を信じてください!」


エミールは何処からか杖を取り出した。
そして夢子に手渡す。
エミール「これで魔法が使えますよ!魔力さえあれば頭でイメージすると魔法がでるので!」
夢子「ほむ…」
エミール「試しにその辺で草食べてる羊なんかに魔法弾当てて見ては?」
白の書「サラリと怖い事言ってるぞこの小僧。」
カイネ「さっきまで私と羊の絵を描いてたとは思えんな…。」
ニーア「夢子、大丈夫!俺も冒険駆け出しの頃羊を大量虐殺した過去あるから!大丈夫大丈夫!」
夢子「‥‥それ励ましになるんですか?ええい、一応やってみよう…可哀想だけど…仕方ないよね。」
白の書「狩った後はジン●スカンにでもするがいい。」
カイネ「ジンギス●ン…?なんだそれ。」





夢子は羊たちに魔法を放った。
何度も何度も…
杖は使ってるうちに手に馴染んでくる。
イメージもハッキリ浮かぶ。
コツを掴んだ夢子は魔法を放ちまくり…





繰り返し繰り返して‥‥1時間。



カイネ「‥‥相当殺ったな。」


平原は羊の死体だらけになってしまった。
白の書「これは‥‥なんという地獄絵図。」
エミール「これは当分ごはんに困りませんね!」
カイネ「そういう問題か?」
ニーア「夢子、よくやった!昔の自分を思い出したよ!
    これで一緒に合体技とかできるな!」
白の書「そんな技この世に存在しないぞ…。」
ニーア「気持ちの問題だよ!やろうと思えばできるさ!俺と夢子なら!」
エミール「あー!僕とニーアさんだって出来ますよ!目からビームだって出せます!(?)」
カイネ「なんかこいつ等といるとこっちまで頭の中にたんぽぽが咲きそうだ…。」
ニーア「でも魔法を使えるようになったからって前線に行くなよ?
    絶対俺の後ろにいてくれ。…そして俺の事見つめてくれれば俺はそれだけでもう…」
再びニーアは身悶える。
白の書「そろそろ先に進まんと陽が落ちる前に村に戻るのだろう?」
ニーア「そうだった…夢子の華麗な技を見つめて興奮するのは後にしよう。」
夢子「…なんかさらっと変な事言ってますよこの人。」





暫く草原を駆け抜けると植物の生えてないエリアに辿り着いた。
・・・ここがロボット山付近だ。
正面に見える機械で作られた建物がロボット山。
錆びた鉄とガスのニオイが辺りに立ち込める。
入ってすぐ左側に小屋がある。
ニーアここに用事があるようだ。
カイネとエミールは相変わらず入口で待機している。
何かあったらすぐ来れるようにしているらしい。
ニーアと夢子は小屋に入る。
そこには古びた台があって人が一人立っていた。
ニーアが言っていた今現在のこの店の主の【弟】らしい。
名前は…知らないとニーアがいってたが…
弟は入ってきたニーアを見て声をかける。

弟「ああ、あんたか。ポポルさんの注文の品だろ?…あ…」
弟の視線はニーアの後ろに立つ夢子に目が良く。
弟は声を失う。
ニーアはそんな事も気にせず会話を続ける。
ニーア「ああ。もう準備できてるか?」
弟「あ…あ、ああ。もうとっくに完成してるよ。
  武器じゃないからね…ヒヒヒ。」
ニーア「お代だ。わざわざありがとう。」
弟「フフ・・・フフ。」
弟は夢子を見てニヤニヤしている。
夢子は気味悪がる。
何かこの人から通常の人ではない感情が溢れ出ていると察した。
ニーアもあまり彼と深入りしないようにしてるようにみえた。
商品を受け取り店からでた2人と1冊。
ニーアはため息をつく。
そして真面目な顔で呟く。




ニーア「あの弟は…母親が浮気相手と駆け落ちした後にロボットに殺されて死んだ時点から
    少々おかしいんだよな。不安定というかなんというか。」
白の書「いや、寧ろ人格は完全に狂っとる。」
夢子「そうなんですか?確かにちょっと変な感じはしましたが…。」
ニーア「その5年後に頼りにしてた兄も死んだからな…しかも目の前で。
    事故とは言え精神は絶対病んでるな。鍛冶屋としての腕はいいんだが。
    …腕と言えば、弟の左腕、みたか?」
夢子「あ、はい…なんか義手っぽいなって思いました。」
ニーア「…あれ、自分の腕に自身で傷をつけて…自傷ってやつか。
    それが酷すぎて片腕を失ったらしい。」
夢子「うわぁ‥‥それは‥‥。」
ニーア「今日は俺が一緒だからいいが、夢子、君はひとりであいつに会うなよ。」
夢子「う…うん。」
ニーア「べ、別にあいつの夢子を見る目が気に喰わないからっていう猛烈な嫉妬心だけじゃないからなっ!!」
白の書(これは完全に嫉妬だな‥‥)
夢子「で…用事済みましたし少しだけロボット山で実戦交えるんですよね?」
ニーア「ああ、そうだったな。カイネとエミールも呼んで中に入るか。」




【いいね!!】

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