ニーアはデボルとポポルと会話をしていた。
夢子はその様子を黙って少し離れたところから見つめていた。


【9】


白の書が夢子の様子がおかしい事に気づき声をかける。
白の書「夢子、何かあったか?」
夢子「あの双子のふたりと…会ったことある気がして。」
白の書「そうか…世界は広いようで狭かったりするからな。
    過去に遭遇しててもおかしくない。」
夢子「そうだけど‥‥なんだか…胸騒ぎがして…。」
白の書「あまり考え詰めるでない。」
夢子「そう…ですね。」


ニーアがこちらに向かって手を振る。
白の書「来いと言ってるぞ。」
夢子「うん…。」


ニーアは夢子を隣に呼んだ。
デボルとポポルが微笑む。

デボル「不思議だな…本当にヨナにそっくりだ。」
ポポル「こんなにヨナちゃんに似るだなんて…」
ニーアは二人に夢子の事を少し説明したらしい。
デボル「何もない村だが、ゆっくりしていってくれ。」
ポポル「そうだ、ニーア、頼まれごといいかしら?」
ニーア「いつも通りなんでも言ってくれ!」
ポポル「井戸の鉄でできた桶に穴が開いてしまったの。
    これが結構特注品で…
    ロボット山で受け取って貰えないかしら?」
ニーア「わかった。取りに行くよ。」
夢子(デボルさんとポポルさんは私の事わからないのかな…?)








村を出るニーアと白の書と夢子。
入口ではカイネとエミールが地面に絵を描いていた。

ニーア「…これなんだ?」
カイネ「どう見ても月の涙だろう!お前の目は節穴か?!」
ニーア「どう考えてもその辺の海辺で釣れるヒトデ…」
カイネ「ぁ゙あ゙!?(ドス声)」
エミール「僕のは何を描いたかわかりますかー?」
夢子「羊、ですか?」
エミール「流石夢子さん正解です♪このモコモコを描くのが楽しいんですよね!」
白の書「この絵の才能の有無は…元は同じ人であろう。何故ここまで差が…」
カイネ「どういう意味だ。燃やすぞ古本。」
エミール「僕、屋敷に居る時なるべく人に会わないようにしてたので
     自室で絵を描くことも多かったんです。
     …だから絵を描くの結構好きですよ!」
カイネ「‥‥私だって絵を描くのは嫌いではないぞ。」
白の書「この歴然の差は…ある意味問題だ。」
夢子「私も絵を描くの大好きです!」
ニーア「なんだって!?じゃあ今度俺の絵描いてくれ!」
夢子「えー・・・。」
ニーア「なんだ?問題あるのか?」
夢子はニーアの顔をまじまじと見上げる。
夢子(そりゃあ顔は整っている。イケメンだ。しかし中身が問題あってー・・・)
ニーア「…夢子…。」
夢子(大体人物絵はあまり描かないしー・・・)
ニーア「・・・。」
夢子(この際人を描くのもチャレンジしてみようか?)
ニーア「///。」


夢子がずっと見つめ続けたせいでニーアに異変が起きる。
また顔が赤い。肩が震えている。
そしてニーアが口を開く。

ニーア「やばい、そんなに見つめられたら俺の理性が…」

夢子「はいいい?!」
ニーア「大丈夫、わかってる。夢子も俺の事が大好きなんだよな!
    見とれるくらい俺が好きなんだよな!わかってる、わかってるさ!」
白の書「…寧ろ一方的に見とれてるのはお主だと思うが…。」
夢子「ニーアさんって元からこんな変な人なんですか!?」
カイネ「いや、夢子に会う前は割と真面目だったがな。シスコンだが。
エミール「そうですね、それまでは至って普通の男性でしたよ。シスコンですけど。
白の書「そうだな、…やはり…シスコンは確定だな。



夢子「うぇええ…皆声をそろえて…」


ニーア「訂正する!ヨナとは甘美な兄弟愛だろどうみても!!


カイネ「は?」

ニーアのヨナへの愛を熱弁し始める。

ニーア「ヨナはカワイイ。その辺の女と比べてもヨナが一番カワイイ。
    性格も良いし素直で純粋で‥‥あの声でおにいちゃん♪って呼ばれるたびに俺は…。
    それが今はヨナはいないが…夢子がいる!正しくこれは運命だ。そう思うだろ!?」
白の書「うぬ…完全に暴走しとる…。」
ニーア「ヨナとは兄弟だったが、夢子とは血の繋がりも何もない!
    俺がどう行動するか自由だ!そう、愛の表現は自由!フリーダムってやつだ!そうだろ!?」
エミール「んーそんなもんなんですかね…?」
ニーア「エミール、お前にもきっとわかる日が来るよ。」
エミール「僕がニーアさんに抱く感情と一緒かなぁ?」
カイネ「どうだかな…」
ニーア「だから俺は夢子を愛す。ヨナを取り戻して夢子と3人で暮らすのが今の目標。」
白の書「いやはや…まさかそこまで考えたとは‥‥恐ろしいな。」
カイネ「異常だな。頭がおかしい。大体出会ってからまだ1週間だぞ…。」
夢子「カイネさん、ハッキリ言って1日目で既に言動おかしかったですよこの人。」
エミール「僕も一緒に暮したい!」
ニーア「さあ、ロボット山に行こう!そこで夢子も戦う練習できるだろ?
    ロボット相手なら血も出ないし部品も拾えるし一石二鳥だ。」
夢子「話が色々勘違いされたままの気がしますが…行きましょうか…。」




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