【1】








夢。
それは暗くて何も見えない夢。
いや・・・現実かもしれない。
声を出しても手を伸ばして藻掻いても
そこには漆黒の闇しかない。
私は、今まで何してたっけー・・・?
そんな中声が聞こえる。
その声は最初は小さかったが
段々はっきりしてきて・・・
そしてー・・・・







夢子「ハッ!」





夢子は瞳を開けた。
真っ暗だった世界に光が差し込む。

…眩しい。

眩しい白い世界…。


そして身体に温もりを感じる。
・・・・同時に激しい痛みも。



???「大丈夫か?!しっかりしろ!」



顔をあげるとそこには白髪の青年がいた。

そして夢子は自分の手のひらを見る。


ー・・・血だ。

夢子の脇腹から血が出てる。
生暖かい。痛い。温かい。イタイ。


夢子は色んな感情が込み上げてきた。
でも、わからない。
思い出せない。
なんだろうこの怒りと悲しみは。

そんな朦朧とした意識の中
耳に入って来る複数の声。
一人は女の人。乱暴だけど優しさがある。
もう一人は少年だろうか。こちらも優しい言葉で話している。


???「っち、キリがないな。この数のマモノ…一体…。」
???「きっと天気が悪いからですよ…時間を掛ければ倒せなくもなさそうですが…」
???「それは止めよう。兎に角この人を安全な場所に運ぼう。」
???「そうじゃな。」



夢子の意識は段々無くなる。

薄っすらとした最後の意識が呟く。












夢子「私、死ぬのかな?やっと、死ねるのかな。
もうこの世界を観続けるの疲れたもんね。
     何も…考えたくない…。
     こんなの辛すぎるよ…。」










再び意識は無くなる。




【いいね!!】

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