61

1日が過ぎるのはとても速い。
夢子は周りのサポートもあって何とか午後の授業を受け終えた。
帰りも沙羅と二人で帰ることになった。
剣士男子たちも一緒に下校したがっていたが、夢子が丁寧に断った。

沙羅と親友同士の恋バナしたかったからー・・・・


【61=証拠何か要らない】



夢子は全部心友の沙羅に話した。
昨日の帰り道、ルフレにキスマークをつけられ
今日の朝女子トイレでアルフレに首を絞められて
体育の授業の事故の後保健室でベレト先生に迫られた事。
全部話した。

沙羅はポカーンと口を開けていた。
そして暫くして笑い出す。

沙羅「あははは!!アンタさ、男たらしだとは思ってたけど流石に変人に好かれ過ぎよね?」
夢子「やっぱり私の周りって変わってる人ばかり?」
沙羅「愛の形は人それぞれって言う気けど、これは流石に…」
夢子「私どうしたらいいかな?」
沙羅「どうしたらって…一番はルフレなんでしょ?」
夢子「そう…だと思うけど…。」
沙羅「あれ?なんか自信なさげね?」
夢子「だって、心が揺さぶられる出来事が…多すぎる…参戦者って皆変なんだもん。」
沙羅「まああり得ないくらい全員イケメンだしね。私はアンタが黒さんに色仕掛けさえしなければ誰でも貰ってくださいって思うわ。
   あ、でもアルフレは‥‥ちょっと勘弁かな。あいつサイコパスっぽいし、アンタの身が割と本気で心配。」
夢子「うーん。」
沙羅「てかアイツに関してはそろそろ警察沙汰でも良い気がするんだけど?やってる事エグすぎ。
   やってる事一歩間違えれば殺人未遂じゃない。」
夢子「殺人・・未遂?」
沙羅「そう、そこままじゃアンタいつかは‥‥」
アルフレ「流石に僕でも殺人まではしないよ?今は捕まるなんてゴメンだし。」
沙羅「そんなわけないじゃない。ああいうのはいつか殺るときがくる・・・って・・・は?!」


アルフレ「はぁーいvおふたりさん。楽しそうな話、僕も混ぜてよ?」


沙羅・夢子「「ヒイ!?!?」」」




迂闊だった。いつの間にか背後にアルフレが居たのだ。
今回も気配が全くしなかった。
アルフレはニコニコしている。


沙羅「あ…アンタ…またそんな風に!!」
夢子「…!!!」
夢子は恐怖で震える。
今朝の事を思い出して足がすくむ。
この男が怖い。無意識に顔が引きつる。

すると、アルフレの後ろから男性の声がする。

「アルフレ、夢子に言う事があるだろう。」


そこに居たのはベレトだった。
スーツを着て大きなカバンを持っている。
二人とも学校から移動してきたばかりの様に見える。

アルフレは相変わらずニヤニヤしているがー・・・

沙羅は警戒して夢子を背に庇いながらアルフレを睨む。

沙羅「二人とも夢子に何か用?また変な事したら私許さないよ…
   親友が酷い目に遭ってるの黙って見ていられないから!!!」
アルフレ「待ってよ、喧嘩しにきたわけじゃないんだ。僕は…そう、謝りに来たんだ。」
沙羅「はあ?!どの口でそんな事を…!!」
アルフレ「夢子、ごめんね。君が苦しむの見てたら楽しくて愉快で興奮するからやめられないんだ。
     正直これからも止められないと思うけど‥‥」
ベレト「…アルフレ。伝えるべきセリフが大いに間違っているぞ。(怒)」
アルフレ「…まあ、この通りベレト先生の逆鱗に触れちゃったから暫くはお預けってこと。」
沙羅「暫くって‥一生謹慎しておきなさいよ…」
アルフレ「だから、ごめんね、夢子。」
夢子「・・・。」
アルフレ「お詫びに僕とデートしない?ああ、酷い事しないからさ、多分。」
沙羅「アンタさ、信用できないのよ。今の状況で夢子と二人きりなんてさせられない。」
アルフレ「君は黒…だっけ?あの男が居るでしょ?僕には夢子が居るの。一緒だよ。」
夢子「…私は貴方を必要としてないわ…」
アルフレ「んー?酷いこと言うね?」
夢子「酷いのは貴方よ、アルフレ。私今までの事忘れられないから。」
アルフレ「そんなに思ってくれてたの!?それじゃあ相思相愛って事だね!」
夢子「違う(即答)」


アルフレは、ああ言えばこう言う、空気の読めないポジティブサイコパスだった。
夢子と沙羅は呆れているが横に居たベレトも呆れていている。


ベレト「アルフレ、もういい。お前は車に戻っておけ。話にならん。」
アルフレ「夢子ともっとお話ししていたいんだけど?」
ベレト「いいから戻れ。担任&保護者命令だ。」
アルフレ「…はぁーい。じゃあね、夢子。デートの事考えててね?フフフ。」



アルフレは来た方向へと戻って行った。
ベレトは夢子と沙羅と会話をする。

ベレト「今日は本当にすまなかった。俺の目が行き届いてないばかりに…」
夢子「先生のせいじゃないよ。」
沙羅「先生、アイツ転校させるとかできないの?!ほんとムカツクんだから!!」
ベレト「俺の監視下に居ることが命令だからな。無暗に移動させることは出来ないんだ。
    もう少しだけ我慢してくれ。今まで以上に厳しく監視するようにする。」
夢子「…。」
沙羅「…。」
ベレト「不満だろうが…ここは耐えてくれ。マスターにも連絡は入れてるから。」
夢子「そっか、先生はあっちの世界と連絡できるんだったね…。」
ベレト「それと…。」
夢子「?」

ベレト「昼の事、俺は本気だから。覚悟しておけ。」

夢子「…!!!///」
沙羅「ちょっと先生…?そーいうのセクハラ基、犯罪ですよー?‥‥ほら、夢子も文句言ってやんなって。」
ベレト「俺は夢子の為なら何時だって教師を辞任する覚悟は出来てる。」
沙羅「そういう問題?!」
夢子「私は…ルフレもいるし…」
ベレト「だったら、奪うまでだ。それじゃあな。気をつけて帰ってくれ。」

言い残すとベレトはアルフレの行った方向へと去って行った。
残された夢子と沙羅。

夢子は呟く。


夢子「沙羅…私どうすればいいの…。」
沙羅「まあ、こうなったらなるようになればいいんじゃない?
   アンタ元々モテるタイプだし。
   私の次に美人でしょ?男が放っておかないんだよね。顔だけじゃなくて性格も割と良いし?」
夢子「もう、沙羅ってば…」
沙羅「あ、ねえ、見て!空!」


沙羅が突然空を指さす。
見上げてみるとそこには虹がかかっていた。


夢子「ええ、何で虹!?雨上がりでもないのに?」
沙羅「さあね。空も祝福してるんじゃない?今は青春しなさいってね。」
夢子「そうかな?」
沙羅「そうよ。だから気楽にのんびり、長い人生楽しみましょ。」
夢子「そうだね…ちょっと肩の荷が下りた気がする。
       ありがと、沙羅!」

夢子が微笑むと沙羅はニカっとはにかんだ。





《好き》に証拠なんか要らない。心がそこにあれば。




夢子「まあ、あったらあったらそれはそれえで最高なんだけど…ね。」




見えないものは形に出来ないから。





夢子「私、もっと人を信じようと思う。」
沙羅「ん?」
夢子「なんでもなーい!」



今日も夕日が沈む。




【いいね!!】

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