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第32章【一輪の花】



夢子は幽閉された城のなかで
今までと変わらない生活をしていた。
ただ違うのは明るいあの人たちの声が聞こえない事。
優しい温もりは遠くへと消えてしまった。
そんな夢子からは次第に笑が失われていった。
身体に広がる青いアザは足にまで広がっていった。
そして前から度々起こった頭痛が最近また酷くなり始めた。
酷い時は一日中その頭痛に悩まされた。
召使いプリムが用意した鎮痛剤を飲んでも痛みは収まらない。
それどころか日に日に酷くなってくる。
夢子は自分の無力さにただ嘆くしかなかった。
そんなある日。
夢子は城庭へ足を運んでいた。
スマブラ城の城庭には噴水や木々が生い茂っていたが
ここには異世界の空間しか広がっていない。
ただひとつ夢子が気に入ってること。
それは城庭の隅の土だまりで偶然見つけた黄色いタンポポの花だった。
夢子「綺麗…。」
そのタンポポは水も降らないこの地に根強く咲き誇っていた。
そんなタンポポの花を見て夢子は失いかけていた希望を取り戻した。
夢子「このタンポポだって頑張って咲こうと生きてるんだ…
      私にだってこんな困難乗り越えられるわ…!」
ダーク「そんなところに生えるなんて根性があるよな。」
夢子「!」
振り返ると退屈そうな顔をしたダークが立っていた。
ダーク「まあそのうち枯れるだろ。」
夢子「…貴方この花を見てなんとも思わないの?」
ダーク「花はただの花だからな。」
夢子「…。」
ダーク「俺だってお前の監視頼まれたのはいいが…つまらないんだよ。
    想像ではもっと抵抗して暴れると思ってたんだがな。」
夢子「暴れても取り押さえられるのが目に見えてるわ。体力使うのも無駄でしょ?」
ダーク「ククク、ここへ来た時よりも口が強くなったな。」
夢子「おかげさまで。」
ダーク「そうそう。良いこと思いついたんだが…」
夢子「…なによ?」
ダーク「お前観念して生生堂堂と俺ら亜空軍の仲間になっちまえよ?」
ダークの突然の発言に夢子は驚く。
夢子「…何を…言ってるの…?」
ダーク「だってそうだろ?元々お前は俺ら側の人間なんだ。」
夢子「そんなことできるわけが…」
ダーク「それじゃあこれ以上光の者を傷つけてもいいのか?」
夢子「ー!?」
ダーク「タブー様もそのほうがお喜びになられる。
    本当はお前もそのほうが気が楽になるんじゃないのか?」
夢子「そんな…私は…」
ダーク「まあよく考えることだな。あーねみぃ…」
ダークはそういい残すとあくびをしながら城の中へと消えてしまった。












ー森の手前ー


マリオ「よし…!完成だ!」
マリオは完成した橋を見て誇らしげに笑った。
橋を作り始めてから約1週間
ようやく森へと続く架け橋へとなる橋が完成した。
目的地の森を目の前にして焦るリンク。
リンク「早くしないと夢子さんが…!」
ピット「リンク焦りすぎだよ!気持ちわからなくもないけどさ!」
マルス「そうだよ!アイツ等は夢子には手ださないって…。」
リンク「これが焦らずにいられますか?!」
アイク「落ち着けって…。」
マリオ「橋も完成したことだしまずは戦力を備えよう。
    城も守らねばいかん。森へ向かう攻めの陣と城を守る陣を決めよう。」
ピット「団長!出番出番!」
戦に経験豊富なアイクをピットが煽りアイクもしぶしぶそれに答える。
アイク「うるさいな…わかってる。
    攻めの陣にはダークや亜空軍と戦ったことのあるメンバーが入ったほうがいいだろう。
    戦い方や相手の動きがわかるからな。
    それ以外は城にいたほうがいいだろう。万が一に備えて戦力は取っておきたい。」
ピット「…だってさ!どうするマリオ?」
マリオ「うむ、その案に賛成だ。戦に慣れてるアイクにまかせよう。」
リンク「俺は絶対行きますよ。何がなんと言われようと。」
アイク「リンクは攻めの陣決定だな。」
マルス「僕らも行くよね?ダークには何度か接触してるし。」
ピット「うんうん!」
アイク「そうだな。」
ポポ「僕たちもダークに会ったことあるよ!」
アナ「私も行きたい!夢子お姉ちゃん助けるの!」
アイク「連れて行きたいが今回は城に残っててくれ。」
ポポ「なんで!?」
マルス「まあ…強くても子供だからね。怪我させたくないし。」
ポポ・ナナ「「うえええええええええええええん!おまるのばかああああ!」」
ピット「あーあ、マルスが泣かした〜!」
マルス「え…僕なんか悪いこと言った?!」
アイク「ポポ、ナナ、すまない。」
マリオ「じゃあ森へ行くメンバーは決まったな!準備が出来たらすぐ向かってくれ!」
リンク・ピット・マルス・アイク「「「「はいっ!!!」」」」







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