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第25章【目覚める恐怖】


「・・・。」
そこは暗闇に閉ざされた空間だった。
夢子「あれ…?ココは何処?」
夢子は辺りを見回した。
しかし何も無い。
上を見上げると紅い光が差し込んできた。
それは暖かく懐かしい。
???「夢子…」
夢子「今…誰かが私を呼んだ…?」
???「夢子…夢子…」
夢子「やっぱり誰かが呼んでる…一体誰なの?」
???「何れわかる時が来ます。それまでどうか耐えて…きっと貴方を救う光が届くから…。」
夢子「ヒカリ…?」
???「…!危ない!闇の手が貴女を狙っている!」
暖かい光はすぐに消えてしまった。
その時あの邪悪な声が聞こえてきた。
ダーク「お前を救う光など…全部消してやる!」
夢子「…!?」
ダーク「さあ…滅亡へのカウンドダウンは始まった!!」
夢子「どうして…」
ダーク「光の者のうめき声が聞こえてくるだろう?」
夢子「嫌…」
ダーク「お前の大切なモノをすべて闇へと葬り去ってやる!そしてタブー様と共に新たな世界を…!さあ、来い!」
    




「いやああああああああああああああああああああああああ!」



夢子「ハッ・・・・!?」
夢子は目を覚ました。
窓辺からは小鳥のさえずりがチュンチュンと聞こえる。
夢子「…今のは…夢?」
額からは冷や汗が伝って落ちる。
心臓の鼓動がドクンドクンと脈を打つのがわかる。
夢子「最初に聞こえたあの声は一体…それになんでダークまで…」
何か不吉な予感がするのを夢子は感じた。
夢子「…兎に角、顔を洗って目を覚まそう…。」
ふと自分の手を見た夢子は一瞬で青ざめた。
夢子「何…コレ…!?」
夢子の視線の先にあったのは…
手のいたるところに青いアザが広がっていたのだ。
もちろん怪我などはしていないし、触っても痛みもない。
夢子「なんでこんなのが…」
夢子を底知れぬ恐怖が襲う。
先ほど見ていた夢と何か関係があるのだろうか。
嫌な予感しかしない。
不気味なアザを見ていた夢子の部屋のドアをノックする音が響いた。
コンコン
ピーチ「夢子ちゃん!起きてる?一緒に朝食食べに行きましょ!」
夢子「いけない…!兎に角…隠さなきゃ…。」
夢子はタンスの引き出しから絹の手袋を取り出し、早速身につけた。
ピーチ「夢子ちゃーん?」
夢子「あ…ハーイ!今いきます!(これでバレないよね…?)」






食堂にて。
いつものように朝食を取りながら会話をする女性陣。
ピーチ「夢子ちゃん、いつもより元気ないけど大丈夫?」
夢子「へ…?あ…ああ…大丈夫ですよ。」
ピーチ「そう?私から見たら全然大丈夫には見えないけど。」
ゼルダ「あら。その手袋可愛いわね!とても似合ってるわ!」
夢子「ありがとうございます…」
サムス「やっぱり元気ないわね。何処か具合でも悪いのかしら?」
夢子「…ちょっとお腹痛くて…。」
勿論腹痛など嘘だ。
そんな事を知らないピーチ達は親切に接してくれる。
夢子は何処か申し訳なく思っていた。
しかしアザの事を言うと皆に心配をかけてしまう。
これ以上負担をかけたくないのだ。
そんな夢子は持っていた箸を静かに置いた。
夢子「…ご馳走様でした。」
ピーチ「あら?もう食べないの?」
夢子「はい…。」
サムス「お腹が痛いなら仕方ないわ。夢子ちゃん、医務室で休んできたら?」
夢子「あ…。」
ゼルダ「食器は私が片付けておくわ。夢子ちゃんはゆっくり休んできて。」
夢子「…すいません。ありがとうございます。」






食事後ー・・・
ピーチ達に急かされて夢子は医務室に足を運んでいた。
恐る恐るマリオの診察を受ける夢子。
マリオ「ふむ…何処も異常は無いようだが…。」
夢子(仮病だってことバレちゃうかな…)
マリオ「連日のトラブルが身体に負担をかけてるんだろう。用はストレスだ。」
夢子「ストレス…ですか…。」
マリオ「兎に角今日はゆっくり休むことだ。決して対戦をしてはいけないぞ?いいな?」
夢子「はい…。」
マリオ「じゃあ俺はトレーニングがあるから席を外すな。ちゃんと休んどくんだぞ!」
夢子「ありがとうございました。」
夢子の様子を見て大丈夫そうだと察したマリオはトレーニングをやるため医務室から出て行った。
マリオが完全に医務室の外へと出て行ったのを確認すると
夢子は自分の手袋を外した。
朝見たときと同じく青いアザが点々と手を覆っていた。
夢子「本当に何なんだろうこれ…。もしかしたら水で洗えば落ちるかも…。」
夢子はお手洗い場へと行き手を洗ってみた。
しかし青いアザは消えない。
夢子「…やっぱり消えない…。」
リンク「夢子さん!?」
夢子「え…?」
夢子がびっくりして振り向くとそこにはこわばった表情のリンクが立っていた。
夢子「り…リンクさん!?いつからそこに…!?」
リンク「夢子さんが具合が悪いって医務室へ行ったと聞いて…。」
手袋を外した夢子の手を見て言葉を無くすリンク。
リンク「そのアザは…?!」
夢子「リンクさんにバレちゃうなんて…心配かけたくなかったのに…。」
両手を後ろに持っていき俯く夢子。
夢子「この事…ほかの皆には黙っててくれませんか?」
リンク「…いいですけど…。」
夢子「ありがとうございます。」
リンク「でも何でこんな…。」
夢子「私も解らないんです…朝起きたらいきなり…。」
リンク「そうなんですか…。」
夢子「…そういえば…。」
リンク「なんですか?」
夢子「いや…なんでもないです…。」
何処か気まずい雰囲気が二人を囲んでいた。







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