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第22章〜番外編【降りしきる夜雨と君の涙。1】











眩しい日差しが辺りを照らす朝ー・・・
夢子は早起きをして中庭で魔法の朝練をしていた。
ゼルダから教えてもらった魔法は少しづつ、でも確実に上達していた。
夢子「ふう…結構できたかな。そろそろ終わりにしよ…。」
魔法の練習を終え、城内へと戻ろうとしたその時だった。
???「クーン…」
夢子「あれ?今何か聞こえたような…。」
???「クーン…クーン…」
夢子「やっぱり声が聞こえる!あっちからだ…。」
声の聞こえた方へと夢子は向かった。
中庭の隅にある草陰から鳴き声が聞こえてくる。
夢子は草陰へと手を伸ばした。
夢子「…!」
その草陰にいたのは一匹の子犬だった。
黒い瞳に白い毛並みのその犬は夢子を見つめ何度も小さく鳴いた。
子犬「クーン…クーン…」
夢子「どうしたの?親とはぐれちゃったのかな?」
子犬「クーン…クーン。」
温かい、小さな命を夢子は抱いた。
夢子「ヨシヨシ、もう大丈夫だよ。」
子犬「クーン…。」
子犬は安心したのか夢子の腕のなかで眠りについた。
夢子「…よし、決めた!」
夢子はひとつ覚悟をして城内へと戻っていった。






夢子は子犬を手にマスターハンドの元へと居た。
夢子「お願いします、マスターハンドさん。この子をこの城においてくれませんか?」
マスターハンド「なぜだ?」
夢子「この子、親とはぐれて一人ぼっちで寒い外にいてずっと寂しい思いをしてきてんだとおもいます…。
     お腹もすいてると思うし…。だから私がこの子の親代わりになりたいんです。」
マスターハンド「ふむ…。」
夢子「私がちゃんと世話もするんで…お願いします!」
マスターハンド「…わかった。」
夢子「ありがとうございます!マスターハンドさん!」



お昼すぎー…
夢子は子犬を連れ食堂へ。
ピット「うわー!可愛い犬!」
マルス「どこで見つけたの?こんなに可愛らしい子犬!」
アイク「…お手…。」
リンク「夢子さんが飼うんですか?」
夢子「はい!マスターさんに許可もらったんで!」
ピット「ねね、名前は?もう付けたの?」
夢子「あ…まだです…どうしようかな?」
マルス「『シロ』は?」
ピット「なんか普通すぎない?もっと派手な名前にしようよー。」
マルス「それじゃあピットくんはなんて名前がいいんだい?」
ピット「うーん、そうだな〜…『パルテナ護衛部隊第1号』は?」
マルス「犬の名前じゃないでしょそれ。」
アイク「…『チキン』。」
マルス「犬なのに鳥って…。」
リンク「白くてふわふわしてるから『わたあめ』なんてどうでしょうか?」
夢子「それいいですね!…よし、決めた!このコの名前は『わたあめ』にします!」
マルス(またリンクに良いとこ取られた…)




それから夢子が子犬を拾ってから2ヶ月が経った。
わたあめは食欲旺盛ですくすくと元気に育った。




【いいね!!】

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