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第21章【思いの交差】




朝日が昇り太陽が辺りを照らす頃
森へ向かった夢子と夢子を探しにいったリンクがスマブラ城へと帰ってきた。
城の中では二人を心配する参戦者が大勢いる中、
ロビーに入るとすぐにマルスがやってきた。
マルス「夢子!それにリンク…二人共どこに行ってたの!?」
リンク「それは…」
リンクが答えるよりも先に夢子はマルスに頭を下げ謝った。
夢子「マルスさん、ごめんなさい!」
マルス「…どうしたの?何かあった?」
夢子「私…やっぱりマルスさんとは付き合えません…。」
マルス「…なんで急にそんなことを…」
夢子「マルスさんの事が嫌いなわけじゃない…嫌いなんじゃないんです。
     でも私がマルスさんの気持ちを踏みにじったっていう気持ちが苦しくて辛いんです…。
     自分勝手なことばかり言って…すいません。」
マルス「…そっか…。わかった。」
夢子「え…?」
想像していたより案外簡単に断りを受けるマルスに夢子は驚く。
夢子「マルスさん…怒らないんですか…?」
マルス「僕はレディーファーストだから君の言う事を優先にするよ。
    それに…そう言ってくるんじゃないかなって思ってた。
アイクからも事情ちょっとだけ聞いたし。」」
夢子「そう…なんですか…?」
マルス「君の心には違う誰かがいるってこと…それは僕も薄々感じてたから…。
    ショックじゃないって言ったら嘘になるけど…また頑張ればいいかなって。
    だから夢子は今まで通りに居て!…僕の事は気にしなくていいから」
夢子は少し涙を浮かべて言った。
夢子「マルスさん…ありがとうございます…。」
夢子と話をして落ち着いたのかマルスは小さい声でリンクに謝る。
マルス「リンク、この間は…ごめん。気を取り乱してた…。」
リンク「いや…俺の方こそ…イライラしてすいません。」
謝り終わるとマルスは得意げな顔で言った。
マルス「でも…夢子のこと、僕はまだ諦めてないからね!君とは永遠のライバルだから!」
そんなマルスを見て苦笑するリンク。
リンク「…いつもどおりで安心しました…。」
マルス「じゃあ僕はこれで!ピット君と対戦でもしてこよっかな♪」
そう言うとマルスは城の中へと消えていった。
夢子「リンクさん…私、リンクさんと話さなければいけない事があります…。」
リンク「…?なんですか?」
夢子「大事な話になると思います。特に私自身が…。マスターハンドさんの元に一緒に来てくれませんか?」
リンク「…わかりました。丁度俺も大事な話があるんで…。」







ステージ終点ー…
リンクと夢子はマスターハンドのいるこのステージへと足を運んでいた。
到着するとすぐにマスターハンドの姿があった。
マスターハンド「そろそろ来る頃かと思っていたよ。」
夢子「お久しぶりですマスターさん。」
リンク「久しぶりです。」
マスターハンド「亜空軍の動き、更に活発になり始めてる事は知ってるかね?」
夢子「はい…。」
リンク「この間ポポとナナが誘拐された時、再びダークと会いました。」
マスターハンド「そうか…。」
夢子「そういえば前から気になっていたんですけど…リンクさん、ダークの事どのくらい知ってるんですか?」
夢子からダークの事を問われて少し戸惑ったリンクだったが覚悟を決め静かに話し始めた。
リンク「あいつ…ダークは夢子さんも知ってる通り俺の『影』で
    その影に邪悪な魂が宿り、俺と対になって存在している…。
    いつから亜空軍の味方についてるのかは分かりませんが
    今は明らかに参戦者を敵とみなし、そして夢子さんの事を狙っている…。」
夢子「ダークは私の事を『欠片の破片』…と言ってました。」
マスターハンド「以前聞いた欠片の破片…のことか…。」
夢子「そのことに関して何か思い出しそうなんですが、考えるといつも頭痛がするんです。」
リンク「マスターにだけ話そうと思いましたが…夢子さん、これから話すことは夢子さんを
    傷つけるかもしれません…それでも聞きますか?」
リンクの問いかけに夢子は一瞬戸惑ったがすぐに返事を返した。
夢子「…大丈夫です。話してください。」
リンク「…ダークは夢子さんはこちら側の人間だ、と言ってました。どういう意味なのかはまだわかりません…。」
夢子「え…!?」
マスターハンド「それは本当かね?」
リンク「…はい…。」
マスターハンド「…ふむ、もしや…。すまない二人共、しばらく考える時間を与えて欲しい。」
リンク「…わかりました。」
夢子「…。」






終点から戻る途中ー…
リンクは夢子と一緒に城へと続くワープ地点まで歩いてた。
先ほどの会話以来夢子の表情はずっと曇っている。
そんな夢子を見て心配するリンク。
リンク「すいません…やっぱり話さない方が良かったですね…。」
夢子「…大丈夫です。…さっきの話、いつ聞いたんですか?」
リンク「ポポとナナが誘拐された日にダークから聞きました。
夢子さんは…何か心当たりありますか?」
夢子「『欠片の破片』という言葉、何処か引っかかるような感じがするんです。」
リンク「もしかして夢子さんの過去に何か関わってるんじゃないですかね?」
夢子「私もそのことが気になって…この頭痛さえなければ…。」
リンク「マスターは何か心当たりがあるような素振りでしたね。」
夢子「ダークはどういう意味であんな事を言ったのでしょうか…。」
リンク「あんな奴の言う事を気にする必要なんてないですよ!」
夢子「はい…。」
心に何かがひっかかったままの夢子とリンクは城へと戻っていった。




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