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大切なあの人を守るためー…
私は自分の気持ちに背を向ける。






第19章【苦渋の日々】



夢子がマルスの告白を受け入れた翌日。
噂はあっという間に城中を駆け巡った。
休憩室でいつもの3人が話し合っていた。
ピット「ま…マルス…それって本当なの…!?」
震え声のピットにマルスは鼻高く答える。
マルス「もちろん!夢子は今日から正真正銘僕の彼女さ!」
ピット「うああああああああああああああ!!!」
マルスの後ろで泣き叫ぶピット。
そして青ざめた表情のアイクがマルスに問う。
アイク「…お前…何したんだ?」
マルス「僕は何もしてないよ。正直に気持ちを伝えただけ!いや〜今日も天気がいいね〜!」
アイク「信じられん…。」
マルス「そういえばリンクは?」
アイク「今日はまだ見かけてないな。」
マルス「まさかあのリンクに勝てるとは…ふふふ…僕もまだまだいけるな♪」
アイク「…あまり調子に乗らないほうがいいぞ。」
マルス「負け惜しみは聞きたくないよ。」
アイク「そう言う意味じゃ…」
マルス「あ!夢子!」
丁度トレーニングを終えた夢子が3人のいる休憩室に入ってきた。
夢子「あ…皆さんいたんですか。」
マルス「聞いてよ夢子。コイツ等僕の言う事信じてくれないんだ〜。」
夢子「そうなんですか?」
ピット「夢子…嘘だよね?嘘と…」
夢子「ごめんなさい、本当です。」
夢子の率直な返事を聞き更に叫び泣くピット。
ピット「うわああああああパルテナ様あああああああああ僕はこれからどうしたらいいんですかああああ!」
マルス「…というわけさ。ゴメンネピット君。」
夢子「あの…ピーチさんに呼ばれて急いでるのでこれで…。」
マルス「うん!わかった!またあとでね!」
ピット「うわあああ…。」
マルス「うるさいよピット君!そんなに泣かなくてもいいじゃないか!」
マルスがピットに気を取られているうちにアイクがこっそりと夢子に話しかける。」
アイク「…あとで話がある。夜に城門の前で。」
突然の言葉に少し驚きながら頷く夢子。
夢子「…?…はい…わかりました。」








ーピーチの部屋ー



夢子が扉を開けるとピーチの部屋ではピーチとゼルダとサムスがテーブルの席に座っていた。
3人とも驚きの表情を隠せずにいる状態だった。
夢子「…皆さんどうしたんですか?」
ピーチ「どうしたんですか?って…こっちが聞きたいわよ…!」
サムス「噂は聞いたわ。なんで急にマルスなんかと…」
ゼルダ「夢子ちゃん……。」
夢子「もう子供じゃないしそろそろ落ち着いたほうがいいのかなって……。」
ピーチ「だからって告白受けるなんて…。」
夢子「私なりの決断です。皆さん心配かけてすいませんでした。
ゼルダ「この間の話はもう過去のことで貴女が気にかけるような事は…」
夢子「ゼルダ姫のせいじゃないですよ。全部…私の意思です。」
サムス「…そう…。何かあったらすぐ私たちに相談してね?」
夢子「はい…ありがとうございます。」
話を終えると夢子は風のように去っていった。
そんな夢子の姿をみたピーチとゼルダとサムスは言葉を詰まらせていた。








辺りが真っ暗になった夜ー…
夢子はアイクに言われた通り城門へと向かっていた。
外にでるとそこにはアイクが立っていた。
夢子「…すいません遅くなりました。」
アイク「…来たか。」
夢子「あの…話ってなんですか?」
アイク「聞かなくても自分で気づいてるはずだ。」
夢子「…アハハ…噂って広がるの早いですよね。」
アイク「自分に偽って笑ってるだろ?」
夢子「えっ…?」
アイク「…泣いてるぞ。」
アイクに言われ目元を拭うと言われた通り夢子は泣いていた。
夢子「あれ…?なんで…?」
アイク「…無理、してるんじゃないか?」
夢子「私は…そんなつもりじゃ…」
涙は無意識にどんどん溢れて止まらない。
夢子「私は…私は…。」
夢子は抑えきれなくなった感情を出した。
夢子「ううっ……」
アイクは泣き止まない夢子をそっと自分の胸へ寄せた。
アイク「強がらなくていい。もう自分の本当の気持ちに嘘をつくな。」
夢子「ごめんなさい…。」
アイク「リンク…あいつ朝からずっと部屋に篭って出てこない。」
夢子「え…?」
アイク「食事もしてないだろう。…このままだと衰弱してしまう。
夢子「そんな…!」
アイク「…行ってやれ、夢子。…マルスには俺から伝える。」
一瞬戸惑った夢子だったが、すぐに決心した。
夢子「ありがとう、アイクさん。私…行ってみます。」
そう夢子に告げると夢子はリンクの部屋へ行くため、城中へと走っていった。



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