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第17章【すれ違うふたり】






夢子誘拐事件から半月が過ぎた。
あの日深傷を負ったリンクもいつも通り動けるほど回復した。
そんなリンクだが心の余裕はまだ取り戻せてはいなかった。
夢子を危険にさらせた上、ダークとの戦いにも負けてしまった…
悔しい思いが消えない毎日。
一方夢子も自分のせいでリンクを危険な目に合わせたことを悔やんでいた。
そんな二人はお互いの顔を合わすのを避けるようになっていた。




夢子「・・・。」
自室のテラスで夢子は夜空を見ていた。
夜空には星が輝き、月明かりが辺りを照らす。
風は冷たく吐息が白く濁る。
???「夢子ちゃん…。」
夢子は誰かに呼ばれた。
振り向くとそこにはピーチが立っていた。
ピーチ「ごめんなさい、ドアをノックしても返事がないから勝手に入っちゃったわ。夢子ちゃん、大丈夫?」」
夢子「大丈夫…って言ったら嘘なのかな…。」
ピーチ「最近いろんなことが立続けに起こってるし、ストレス溜まってるんじゃないかしら。」
夢子「ストレス…ですか…。」
ピーチ「あんまり気にしないで。全部アイツ等が悪いんだもの。貴女のせいじゃないわ。」
夢子「アイツ等って…ピーチさん、知ってるんですか?」
ピーチ「あんまり詳しいことはまだ解らないけ…どマスターハンドからみんなに話があったの。忠告…っていうのかしら。亜空軍の動きが活発になり始めてるって。」
夢子「そうですか…。」
ピーチ「話を聞いて夢子ちゃんが背負ってる何かがとても重たいことはわかってる。
    でもひとりで背負い込まないで。私たちもついてるから!」
夢子「ありがとうございますピーチさん。」
ピーチ「じゃあ私はこれで。おやすみなさい。」



一方リンクはトレーニング場で深夜のトレーニングをしていた。
すべてはあの忌まわしいダークに打ち勝つため…。
握るマスターソードに力が入る。
そんなリンクの元に人影が近づく。
ゼルダだ。。
ゼルダ「こんな夜遅くまでトレーニングしてましたの?」
リンク「ああ…ゼルダ姫でしたか。」
ゼルダ「貴方がそんなに集中してるのは久しぶりに見ましたわ。」
リンク「いつも通りにやってるだけですよ。」
ゼルダ「…最近夢子ちゃんに冷たくしてるでしょ?」
ゼルダに夢子のことを言われて黙るリンク。
ゼルダ「あの子だって自分自身と戦ってるのよ。きっと今は自分のことを無力だと思ってる。リンク、貴方を救えなかったから。」
リンク「俺が…俺が無力だったんですよ。夢子さんのことを守れませんでした…。夢子さんに合わせる顔がありません。」
落ち込むリンクをゼルダは怒鳴り飛ばした。
ゼルダ「なんでいつまでメソメソしてるの!?貴方男の子でしょ!?」
リンク「!?」
ゼルダ「貴方が思うほどあの子は弱くない。」
リンク「ゼルダ姫…。」
ゼルダ「貴方ももう少し、自分に自身を持ちなさいよ。」
リンク「…。」










翌朝…。
食堂ではいつもどおり参戦者が朝食をとっていた。
リンクと夢子の間には相変わらず距離があった。
そんな雰囲気をみながら小声で話す3人がいた。
ピット「ねね、リンクと夢子、最近仲悪くない?」
マルス「なんか嫌な空気だよね〜。」
アイク「この間の事件以来だな…。」
マルス「でもコレってチャンスだと思わない?」
ピット「うわっマルス汚っ!」
マルス「我ながらにも少し汚い手だとおもうけど、リンクが夢子のコト悲しませるなんて僕は許せないよ!」
アイク「こういう場合は無闇に近づかない方がいいと思うがな…。」
マルス「じゃあどうしろっていうのさ!?」
ピット「シッー!声デカイって!」
そんな3人の会話を聞き、持ってる箸を置くリンク。
リンク「…全部聞こえてますよ。」
ピット「あ…その…」
マルス「あのさリンク。」
リンク「…なんですか?」
マルス「最近おかしいよ?なんでそういう態度するの?」
リンク「…あなたには関係ないですよ。」
マルス「いいや、関係あるね。」
ピット「ちょっとマルス…」
明らかに場の雰囲気が悪いと察したピットは止めに入るが軽くあしらわれる。
マルス「ピット君は黙ってて。いいかい?君の今の態度正直どうかなと思う。」
リンク「…何の話ですか。」
マルス「夢子のコトだよ。」
少し離れた席で食事をとっていた夢子の耳にも会話が聞こえた。
そして同じように食事をとっていた参戦者全員も何事かとマルス達を見る。
マルス「君の態度で夢子がどれだけ傷ついてるのかわからないの?」
リンク「…貴方に兎や角言われる筋合いはないです。」
マルス「あるよ。だって僕は…」
マルスは大きく息を吸い込むと食堂全体に聞こえるほどの大声で言った。













マルス「僕は夢子の事が好きだから。」




【いいね!!】

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