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第12章【仲間との絆】


夢子は晴れて参戦者になった。
しかしまだ技や身を守る術など全くと言っていいほどつけてない。
そんな時に言われたのがこの言葉だ。
ピカチュウ「夢子お姉ちゃん、参戦者になるってことはやっぱり挑戦者として戦うんでしょピカ?」
夢子「挑戦者って??」
マリオ「新たに参戦者になる人はその前に挑戦者として前からいる参戦者に戦いを挑むんだよ。
    これも正式ルールの内でね…夢子さんも戦わないといけないよ。」
夢子「たっ…戦わないといけないんですか!?…しかも前からいる参戦者さん達と…。」
ピカチュウ「一人だけで指名ができるピカよ!」
夢子「良かった…一人ですか…。でも私、戦えないんですけど…。」
ゼルダ「じゃあこうしましょ。1日だけ夢子さんは特別に時間を貰って私とトレーニングして戦い方を習いましょう!」
夢子「一日でですか!?…私にできるでしょうか…。」
ピカチュウ「大丈夫ピカ!夢子ならきっとできるピカ!」
夢子「ありがとうございます…私、頑張ります!」
しばらくしてゼルダと夢子はトレーニングをするため戦場のステージにいた。
最初は不安でいっぱいだった夢子もトレーニングを重ねてるうちに段々楽しくなってきた。
ゼルダ「魔法を使うときは集中力が欠けてると上手くいかないわ。だから常に集中力を欠けさせないことが重要なの。」
夢子「はい…!」
ゼルダ「まずは…そうね、あの箱を破壊することに集中して。手の先に力を溜めるように…。」
夢子「…こうですか?」
ゼルダ「そう、その調子よ。次はその力を思いっきりあの箱へ飛ばすの。力みすぎちゃだめよ?」
夢子「…えいっ!」
夢子が力を発揮すると手のひらから光が輝き始めた。
そして箱に光が届くと箱は一気に破裂した。
ドカンッ!
夢子「や…やった!やりましたゼルダ姫!!」
ゼルダ「夢子さん凄いわ!元々魔法力が高いみたいね…この調子だと良い線いけるわよ!」
夢子「ゼルダ姫のおかげです!本当にありがとうございます!!」
ゼルダ「ほとんど貴女の力よ。明日のバトル、頑張ってくださいね!」
夢子「…はい!!」



その日の夜、夢子は城庭で一人トレーニングをしていた。
しばらく練習している内に魔法のコントロールは驚くほどに上達していた。
夢子「次はあの箱を3つ連続に…」
リンク「夢子さん!」
夢子「あ…リンクさん!!」
リンク「ぁ…すいません、邪魔しちゃいましたか?」
夢子「いいえ!これで最後にしようと思ってたので…。リンクさん、見ていてください!」
リンク「わかりました、夢子さんがどれだけ上達したのか楽しみです。」
夢子「じゃあいきますね…!えいっ!」
ドカンドカンドカン!!!!
夢子の目の前にあった3つの箱は連続で破裂した。
リンク「凄いじゃないですか!!まさかこんなに上達してるなんて!関心しました!」
夢子「えへへ…ありがとうございます!」
リンク「明日のバトル、楽しみですね!」
リンクの言葉を横に夢子は少し俯きかげんで言った。
夢子「…でも、正直不安な気持ちでいっぱいなんです…。明日の事を考えると手が震えちゃって…。」
リンク「夢子さんなら大丈夫ですよ。それに勝ち負けは関係ありませんから。どのくらいの実力があるか試されるだけですよ。」
夢子「けれど、皆さんに認めてもらえなかったらって考えると怖くて…。」
震える夢子の手をそっと優しく握るリンク。
リンク「こんなに冷たくなって…ここまで頑張ってる夢子さんの事を認めない人なんていませんよ!
    …ほら!星もあんなに綺麗に輝いて…夢子さんのこと、応援してくれてるんですよ。」
夢子「あ…本当だ…お星さま綺麗…。」
リンク「それに俺だって…。」
夢子「?」
リンク「いえ、なんでもありません。明日に向けて、今日はもう休みましょう!」
夢子「そうですね…。…冷え込んできたけどリンクさんの手、とってもあったかいです。」
ふと笑顔になる夢子を見て赤面するリンク。
リンク「あっ…ずっと握ってましたね…すいませんっ」
夢子「…こうしてると2人ともあったかいです!」
ほがらかに笑う夢子の顔を見て、リンクも安心したのか笑顔になる。
リンク「…そうですね…とても…温かいです。」
夢子「リンクさんは…故郷に帰りたいですか…?」
リンク「どうしたんですか?急に。」
夢子「私には故郷と呼べる場所がないから…やっぱり恋しいですよね。」
リンク「そうですね…懐かしくなるときは時々あります。
    でも、応援してくれている皆のために、自分のためにもここで頑張っていこうって思ってます。
    …それに…」
夢子「それに?」
リンク「此処は俺の第二の故郷です。…夢子さんも此処を故郷だと思えばいいですよ…寧ろ、そう思ってください。」
夢子「…リンクさんって優しい人ですよね。最初に会ったときからずっと…。」
リンク「俺だって怒るときは怒りますよ?」
夢子「例えばどんな時ですか??」
リンク「そうですね…たとえば…」
すると近くの茂みを指さすリンク。
リンク「そこで盗み聞きしている彼等とか…ね?いつまで隠れてるつもりですか??」
夢子「えっ?」

ガサッ


ピット「あーあ、バレチャッタ。だから向こうの茂みが良いって言ったじゃないか!」
マルス「此処の方がよく見えるだろう!君だって最終的に納得してるじゃないか!」
アイク「…よう。」
茂みから出てきた3人の姿を見てため息をつくリンク。
リンク「全く…貴方達はなんでそうやってコソコソとついてくるんですか。」
ピット「堂々とついてきてもリンク怒るだろー?」
マルス「そうそう。…大体君達いつまで手繋いでるんだい?」
手を握っているリンクと夢子を見て眉間にしわをよせるマルス。
すると慌ててリンクが手を離す。
リンク「…盗み聞きしてる貴方に言われたくありません…。」
ガサガサ・・・・フサッ
突然、アイクが自分のマントを取り、夢子にかぶせた。
アイク「温かいか?」
夢子「有難うございますアイクさん…でも、アイクさんが寒くないですか?」
アイク「俺は平気だ。」
マルス「…どさくさに紛れて君は何をしてるんだい?」
アイク「夢子が風邪ひいたら困る…。」
マルス「君最近良いとこ取りばっかしてない!?僕ホンキで怒るよ!?」
アイク「…血圧上がるぞ。」
ピット「マルス落ち着いて!アイクの言うとおり血圧上がるよ!」
マルス「僕はジジイじゃない!!」
夢子「あの…」
ピット「この中で一番年上なのマルスじゃないか!」
マルス「君なんてまだがきんちょじゃないか!」
夢子「あの!!!」
夢子が再び大きな声で叫ぶと喧嘩をしていた3人が大人しくなった。
夢子「…仲良くしてください!じゃないと私が怒ります!」
シーン・・・
しばらく辺りを静けさがとりまく。
最初に口を開いたのはリンクだった。
リンク「…だからコソコソついてくるのはやめてくださいといったんです。皆さん悪気があるなら夢子さんに謝ってください。」
ピット「…ごめんなさい…。」
マルス「…ごめん。」
アイク「…すまない。」
夢子「はい!仲直り!!」
3人の手を無理やり繋がせる夢子。
リンク「皆さん夢子さんには敵いませんね。」
小さい声でつぶやく3人。
ピット「こうしてるのも今だけだもんね!うぇ、手汗がつく…。」
マルス「それはこっちのセリフだよ…ああ…。」
アイク「…なんか凄い違和感があるな…。」
夢子「あっ!」
突然空を見上げた夢子に尋ねるリンク。
リンク「どうしたんですか?」
夢子「流れ星です!ほら!」
夢子の指さす方向にはキラキラと流れ星が光って落ちて行った。
ピット「あ!本当だ!」
マルス「綺麗だねー!」
アイク「願い事…。」
夢子「そうだ、皆で願い事しましょ!」
夢子の提案に全員頷く。
そして手を合わせて皆で星空を見た。
夢子が瞳をあけるとすでに願い事を終えてる3人とぶつぶつと呟いてるピットがいた。
マルス「なんかアイクやたら早かったね。」
アイク「俺の願い事は1つだけだからな。」
マルス「ふーん。僕は3つあったけどね。リンクは?」
リンク「俺は2つです。」
ピット「えっと…それから…ごにょごにょ…。」
マルス「ピットくん…君いつまで願ってるんだい?もう流れ星消えてるよ?」
ピット「・・・ええ!?まだいっぱいあったのにーーーー!!」
夢子「クスクス…!」
リンク「あはは…!」
ピット「えへへ…!」
マルス「まったく…。」
アイク「…フッ…。」
皆は自然と笑っていた。
何を思い、何を願ったのか・・・。
それは自分自身の心の内に潜める5名だった。

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