56

次の日。
目覚まし時計が鳴る前に夢子は目を覚ました。
隣の部屋で寝ている彼らを起こさない様にこっそり準備して家を出た。
今日は沙羅と一緒に登校する約束をしている。
何でも黒は今日は忙しくて沙羅を送る時間が無いらしい。

夢子「今日は天気がいいなぁ。最近雨あんまり降らない気がする…。」

夢子は沙羅との待ち合わせ場所に向かう。





【56=マフラーの下に鮮やかな色】




暫く歩いて待ち合わせ場所に到着した夢子。
沙羅はもう着いていてスマホを弄っている。


夢子「沙羅!お待たせ!」

夢子が声を掛けるとすぐに反応する沙羅。

沙羅「あ、夢子!おはよ!」
夢子「それじゃあ学校に行こうか!」


二人は歩き始めた。
歩道はデコボコしてい時々靴に石が当たる。

夢子「あれ…?この道って前からこんなんだった?」
沙羅「ぁぁ…今整備中らしいの。お陰で朝早くから夜遅くまで工事音凄いのよ。」
夢子「ふーん。宿題とか集中出来なくない?」
沙羅「イヤホンで音楽聞きながらやってるからどうにか、ね。」
夢子「何なら宿題しに私の家くる?」
沙羅「絶対嫌だ!」
夢子「なんで?」
沙羅「あの馬鹿男達に囲まれて宿題とか、それこそ集中出来ないわよ。」
夢子「私は平気だけどなぁ。」
沙羅「まあ、アンタはあの環境が長期間続いてるからね…。
   ねえ、それより気になる事があるんだけど。」
夢子「どうしたの???」
沙羅「それ…」


沙羅は立ち止まって夢子を見て首を指さす。

沙羅「何でマフラー何かしてるの?まだこんなに日差しが強くてどちらかと言えば暑いのに。」
夢子「‥わ、私は寒いの!!」
沙羅「ふーん。変なコね。」
夢子「昨日夜風に当たってたら寒気感じて…今朝も少し風邪っぽかったから。」
沙羅「そう…身体は大事にしなさいよ?」
夢子「うん、ありがと!」


夢子は笑顔で誤魔化しながら思う。

夢子(今日一日…大丈夫かな。)





不安を他所に二人は学校に到着した。
教室に入ると家でまだ寝てるはずの剣士男子組が居座ってる。



夢子(あれ…!?私が先に家出たのに何で居るの!?!?)

ちょっとした恐怖を感じる夢子。
ピットが教室に入ってきた夢子に一番に気づいて声を掛ける。

ピット「夢子!おーはよっ!」
夢子「おはようピット君!」

彼らと話すとすぐに恐怖感は消えた。

夢子(まあいつもの事だからね…)

沙羅「ちょっと、私には挨拶無し?アンタ達いつも夢子の事しか眼中に無いのね?」
ピット「あー沙羅もおーはよー?」
沙羅「…まあ私は黒さんからのおはようラインだけで充分だけど。」
ピット「酷い!沙羅超怖いから頑張って挨拶したのにー」
沙羅「潰すよ?テンシ君。」
ピット「わわ、マルス助けてー!へるぷへるぷ!!!」
マルス「沙羅、君の美人な顔が勿体ない事になってるよ?僕の顔で怒りを鎮めて…ふっ(前髪かき上げ)」
沙羅「は?(真顔)」
マルス「怖い!アイクへるぷっぷ!!」
アイク「今日はリンクが弁当作ったらしいな?いつも旨い飯、感謝する。」
リンク「だって俺とルフレ以外料理出来ない連中しかいないでしょう?夢子に作るついで、ですから。」
シュルク「やっぱり料理は上手い人に任せるのが一番です。」
マルス「うわー!シカト!?夢子ーこの人たち酷くない?!…って、あれ…?」


沙羅の殺気から逃げながらマルスは夢子を見て首元のマフラーに気が付く。

マルス「…夢子、寒いの?」
夢子「ああ…マフラーね。うん、ちょっと。(やっぱりそう来たかー…)」
アイク「そうは言っても今日の天気は晴れだし、最高気温28度らしいぞ?寒いとは思えんが。」
夢子「あはは…」
ピット「風邪引いた?何か夢子昨日から首元温めてるよね?」
夢子(うわー、めっちゃ視線が首元に集中してる気がする!!)
リンク「まあ今はそろそろ季節の変わり目でもありますから。」
夢子(リンクないすー!)
シュルク「健康管理は自分自身が一番わかりますからね。」
夢子(シュルクもないすないすー!)


剣士男子たちは気温の話をしているが、一人だけ黙って満足げに微笑んでる人がいる。

…ルフレだ。

何時バレるか分からないこの緊張感の中、この男はニコニコしている。
そして言い放つ。

ルフレ「…まあ、暑くなったら外せばいい話だし。ね、夢子???」


夢子は思う。


夢子(この人…鬼だよ!鬼神リンクより鬼してる!!!)


夢子「ごめん…ちょっとトイレ行ってくる。」

空気に耐えきれず思わず逃げ道を作る夢子。

沙羅「もうすぐ朝礼始まるわよ?早く行ったほうがいいわよ。」
夢子「うん、ごめんね…。」

夢子は急いで教室を出る。
そんな彼女の後姿を見たルフレは少しだけ、反省する。

ルフレ「あはは、ちょっと虐め過ぎたかな?」
ピット「んー?イジメがなんだって?」
ルフレ「内緒★」



【いいね!!】



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