55

時々、不安になるのー・・・



【55=印をつけさせて?】


とある学校のある平日。


午後6時半。
夕日が落ちつつあるオレンジ色の空の下
ルフレと夢子はふたりで歩いていた。

遡る数時間前、学校が終わり家に帰るため教室から出ようとした夢子を
1対1での補習という名の怪しげな理由をつけベレトが教室に引き留めようとしたが
話を偶然聞いたルフレが色んな危機を察知して夢子の身を守るために一緒に教室に残った。
ベレトは思わぬおまけが付いてきた来たことを不満そうにしてルフレにワザと非常に難問な問を仕掛けた。
ルフレは頭を抱えて悩んで漸く問題を解け、
ベレトの企み(?)を無事阻止して夢子とふたり、解放された。

そして日も落ちる中ふたりはこうして家路を歩いている。

ルフレ「はあーホント、ベレトのやつ…頭が割れるかと思ったよ…あんな難しい問題吹っ掛けるだなんて。」
夢子「先生、今日はなんだかルフレに熱心だったね?」
ルフレ「熱心だって!?あれの何処が…!!しかも!僕が難問で悩んでる間ずっと机に腕ついて。しかもしかも!!!夢子の事ずーっと見てたし…」
夢子「…?私の顔に何かついてたかな?」
ルフレ「マジであの教師は信用ならない…隙あらば夢子を狙うんだもん。
    教育委員会に訴えようかな…でも匿名で言っても直ぐ特定されそうだし‥‥復讐が怖いなあ…」
夢子「私ベレト先生になにもされたこと無いよ?」
ルフレ「いや、あの人絶対犯罪者予備軍だよ。表はクールなイケメン教師だけど裏で何考えてるか…」
夢子「女子生徒に大人気だもんね!」
ルフレ「はあ…夢子…君ってほんと危機感無いよね…。」
夢子「そうかな?」
ルフレ「まあ、実際君のそこが小動物みたいでかわいいんだけどね。」
夢子「??」


二人が何気ない会話をしながら暫く歩いていると
目の前から同じ学校の女子たちが歩いてきた。
そして、ルフレが視界に入るとすぐに沸き立つ。


女子1「あ!ルフレ君だー!」
女子2「わー!ほんとだ!ルフレ君ー!」

一瞬にして6人ほどの女子に囲まれるルフレ。

女子3「ルフレ君!よかったら今からカラオケいかない!?」
女子4「歌声聴いてみたいなぁ?きっと美声なんだろなー?」

ルフレは困った表情で笑ってる。
夢子はいつのまにかルフレから引き離されて輪の外へと放り出されていた。
蚊帳の外というやつだ。

女子5「ねえねえルフレ君!一緒に遊ぼうよー?」
女子6「ああ…ほんとカッコイイ!でもやっぱり何処かで見た事ある感じするんだよね…
    ねえ、ルフレ君って有名人に似てるって言われない??」

ルフレ「…ごめん…早く帰らなきゃだからまた今度ね。」

ルフレは女子たちの輪からやっと抜け出した。
そして道路の脇に棒立ちしていた夢子の手を引くと足早にそこから離れた。



暫く歩いて近所の公園まできた。
ここで夢子はルフレの手を強く振り払う。

ルフレ「夢子?」
夢子「…私…一人で帰る。」
ルフレ「どうしたんだい急に。」
夢子「だって…」


ルフレは夢子を顔をじっと見つめる。
夢子は明らかに膨れていた。
漫画の絵に描いたようにプンプンしている。

ルフレ「…もしかして…妬いてるの?」

夢子「…ッ!!!///」

図星で余計真っ赤になる夢子。
ルフレはくすくすと笑う。

夢子「な‥‥何で笑うのよ!」
ルフレ「アハハ…ごめんごめん。」
夢子「何でこんな気持ちになるんだろ…。」
ルフレ「それは僕たちが恋人だからでしょ?」
夢子「こ…恋び…?!」
ルフレ「まあ、君とはこれから先長い付き合いになると思うし。
    ゆっくり実感して行けばいいと思うけど。
    もしかして…僕の方が過度に意識しすぎてる?」
夢子「そんなんじゃ…」
ルフレ「でも君が妬いてくれて嬉しいよ。それだけ僕の事気にかけてるんでしょ?」
夢子「…ま、まぁ…。」
ルフレ「うーん、やっぱ君ってカワイイ!世界イチ可愛い!あー抱きしめて良い?」
夢子「ダメ!!またそうやって囃し立てる…。」
ルフレ「本音だよ?きっと今までも、今も、これからも、ずっと君しか見えないと思う。」

夢子は後ろに手を組み、ルフレに背を向ける。
そして3歩歩いて、再びルフレの方を向く。

夢子「…じゃあ…あなたが私を好きだという確かな証拠が欲しい。」

突然の夢子の言葉に驚くルフレ。

ルフレ「証拠?」
夢子「うん。常に確かめられるような…正直不安なの。貴方は周りが放っておかないでしょ?」
ルフレ「うーん…実感は無いわけじゃないけどね。日本人って顔に弱いもんね。」

夢子は想像を膨らませていた。
とても、可愛くて愛らしい想像を。

夢子(ルフレが私を好きだという証拠…!
        そうだな、例えばお揃いのペンとかキーホルダーとか…!
        コップとか?ああ…それだと家にいる他の剣士男子に破壊されそう…
        やっぱり今は学生だし文房具が無難…今から文房具屋さん行っても開いてるかなぁ?急がなきゃ。)

そんな事を考えてた夢子。
ルフレは夢子をじっと見てから突然彼女の手を引いて自分へと引き寄せた。
不意の行動に夢子はパニくる。

夢子「ちょ!?ルフレ!?!?」

ルフレは夢子に爽やかな笑顔を見せた後
夢子の項に顔を埋める。

夢子「−−−−−!?!?ちょっ!!///」


完全にやられた。
夢子は不意を突かれた。
そして思い返す。

夢子(そういえば剣士男子たちって全員変態だったわ…)


5分くらいその状態で公園で立っていた二人。
夢子が逃げようとしても腕を掴まれて動けない。


チュウウウウウーーーーーーーーー

異様に長い5分間。
項に思い切りキスし終わったルフレはルンルン気分。
そこにはキスマークがくっきりと浮かびあがる。

ルフレ「…っふう。これが証拠だよ。」
夢子「…ルフレ…貴方なんてことを‥!!明日も学校なのに…!!??」
ルフレ「じゃー学校休んでデートする?」
夢子「そんなことしません!!!それにキスマークだなんて時間経てば消えちゃうじゃない…
        私もっと可愛い小物とか道具とか…想像してたのに!?」
ルフレは顔を真っ赤にして項を抑える夢子を見てニッコリ笑う。

ルフレ「じゃあ消えたらまた付けてあげるよ?それでいいでしょ?もーまんたい。」

夢子「そういう問題じゃない!!!!///」


なんだか今日は半日中顔が赤い夢子だった。



そして1日が終わり次の日がまたやってくる。
家に帰宅した夢子は制服の襟でどうにか誤魔化した。

夢子(明日どうしよ…)

心配する夢子を他所に
ルフレはとても機嫌が良さそうにしている。
隠した項のキスマークは赤く色づいている。
そしてそれを鏡の前で見る夢子の顔も真っ赤だ。


どうか、誰にもバレませんように。
バレたら揉め事になるのが確定だ。





【いいね!!】


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