54

ルフレ「はあ、最悪な一日になってしまったね…これからどうする?もう動物園閉まりそうだけど?そのまま帰ろうか?」
夢子「あのね、最後に見ておきたい動物がいるんだ。」
ルフレ「…見ておきたい動物?」


【54=ママーあれ何してるのー?】






散々な目にあった夢子とFE男子達は閉園する1時間前の動物園にいた。
人参オジは無事警察に連行されて、夢子達も軽く事情聴取をされたが解放された。

夢子はどうしても見ておきたい動物が居た。
それは、パンダだった。


夢子はパンダの居る柵の前に立つ。

パンダは広場の真ん中で笹を食べていた。
そのフォルムは全世界から愛されているのが良く解る。

夢子「わー!カワイイ!!どの動物も可愛かったけどやっぱり私は一番パンダが好き!!
        白黒で大きくてもふもふで…ほんと、最高!!」
ルフレ「ああ、そうだね。(夢子が可愛い…)」
アイク「日本のパンダは全部中国からのレンタルらしいな。」
マルス「そうなの?何処かに野生で居るのかと思った…」
アイク「レンタル期間が過ぎれば中国に返さなければいけないらしい。」
アルフレ「そーそ。それに、日本で繁殖に成功してもその赤ちゃんパンダは中国のものらしいよ。
     残酷だよねェ。一生懸命産ませたのに取られちゃうだなんてさ。」
マルス「大人の事情ってやつだね‥‥あまり首を突っ込まないでおこ。」
夢子「あ、パンダがこっち見たよ!凄い、こっちに向かって歩いてくる!!キャアアアー!」
ルフレ「今の夢子でご飯3升いけるよ。」
アイク「俺は5升…いや、それ以上いけるぞ。」
マルス「《杯》じゃなくて《升》ってエグイと思うけど、でもまあ気持ちはわかる。」


アルフレ「あれ…?向こうで人だかりが出来てるよ。
     パンダはもう沢山見たし、あっち行ってみない?」
夢子「…じゃあ行ってみようか。バイバイ、パンダさん!!」

最後にパンダがこちらに向かって手を振ってくれた…気がした。





人だかりのある柵の前に立ち寄る一行。
アルフレの言う事を聞いた夢子達は直ぐに後悔することになった。
その人だかりはサイのいる柵の前で起きていた。
大人は騒めき子供は親にこう言ってる。

子供「ママー?あれ何してるのー?」


夢子達は一瞬何事かと驚くが、檻の中のサイを見て直ぐに察してしまう。

檻の中の2匹のサイはオスとメスで、この日はちょうど発情期だったらしい。
そうー・・・



サイは丁度交尾をしていたのだ。

動物にとっては人間が見ていようが見ていまいが関係ない。
シたければする。それが野生の本能。彼らに恥などはない。
この光景を見てしまった夢子達は思わず固まる。
見ている人間は皆顔を赤くしている。
子供は意味が分からず、大人はただ赤面する一方で。

周りの様々な声が聞こえる。



子供「ママー?あれ何してるのー?」
ママ「見ちゃいけません!!///」
男性客A「チ〇コでけェ…あれはやばいだろ…www」
子供「あの黒くて長いのナニー?ねえママーねえママー」
男性客B「くっそ負けたww俺の50倍あるwwww」
女性客A「うわー…あんなの入るの!?サイってヤバ過ぎでしょww」
子供「ママーあの黒い長いのナニー?」




夢子「・・・。」
ルフレ「・・・。」
マルス「・・・。」
アイク「・・・。」




アルフレ「ねぇもう一人の僕。アレ、何してるのー?ww」




ルフレ「…君さ、分ってて聞いてるでしょ?(半ギレ)」
アルフレ「ねぇねぇwwルフレwww教えてよwww僕わかんなーいww」

これ見よがしにおちょくってくるアルフレに殺意を飛ばすルフレ。
しかし何となくその光景から目が離せない。
オスの性。
夢子は顔を赤くしてる。



夢子「まさか…動物園での〆の動物がこれとか…今日はほんと最悪だわ…負の連鎖ってこういう事ね…」
マルス「ぼ、僕だってサイになんかより!!(?)」
アイク「とんだ災難の一日だったな。夢子には同情する…。」
ルフレ「サイなんかより僕らの方がずーっと激しいよ。ね?」
夢子「は?!///」
アルフレ「最後に良い物見れて良かったねぇ?
     皆盛りが付いたんじゃない??フフフ。結局はオスだし。」
ルフレ「ねぇ、君さぁ…確信犯でしょ。もしやこの光景見せたいがためにわざとここに誘導した?」
アルフレ「んー?ただの偶然、だよ。
     幾ら僕が天才だからってサイの発情期のタイミング知ってるわけないじゃないか。
     ある意味運がいいと思わない?奇跡だよ。フフフ。」


微妙な空気の中、夢子達はサイの檻から離れる。
去り際、子供の健気で、しかし残酷な言葉がずっと聞こえていた。


動物園は閉園の時間を迎えた。
出口のゲートを潜る5人。
ゲートから出て背伸びをする夢子。

夢子「はぁ…色々あり過ぎた‥‥ハプニングがこんなにあるだなんて。」
ルフレ「今日は夢子にとって…楽しくは…なかったよね…?」
夢子「あの変態オジの事は最悪だったけど…まあ無事警察に逮捕されたし。
        みんなと動物園に来れてよかったよ?
        100%楽しかったかって聞かれると嘘になるけど…
        少なくとも皆と一緒に居れた時間は最高った!!
        お目当てのパンダも見れたし、満足だよ!!」
ルフレ「夢子…」
夢子「何?」

ルフレは夢子を抱きしめた。

夢子「ななな!!///」
ルフレ「君の笑顔は本当に人を幸せにするね。僕にとってはどんな動物より可愛いよ。」
マルス「軍師…まだ公共の場なんだけど?(イラッ)」
アイク「夕飯時だな…この辺で飯でも食うか。」
アルフレ「そんなに見せびらかして何が楽しいの?」
ルフレ「ふーん、嫉妬してる?(ニヤリ)」
アルフレ「まさか。僕は君より表現力高いから。君はいちいち空気読まないと夢子を抱けないだろ?
     僕はいつでもどこでも夢子の事抱けるから。」
夢子「変なマウント取るの止めてよね!?」
アルフレ「フフフ、恥ずかしがってる君もカワイイよね。」
ルフレ「今夢子にカワイイって言って良いのは僕だけだよ?君らはあっちいってて?」
マルス「また夢子の事独占しようとしてる!!僕だって夢子をモフモフしたい!」
アイク「猫感覚かよ…まぁ分からなくもないが。」

今日一日のお礼を当たらめて言う夢子。

夢子「皆、今日はありがとう!」
ルフレ「また、来よう?‥‥今度は僕とふたりきりで。」
夢子「ん?」
マルス「抜け駆けは許さないよ…!?今度は僕が夢子と二人きりで乗馬デートするんだから!」
アイク「ポニーだけはもう止めとけよ。馬も順番待ちの子供も可哀想だ。」
アルフレ「僕ならデート無しに夢子とイチャ付くけどね?あのサイ見たいに。」
夢子「ーー!!///」
ルフレ「そんなことしたら君は僕の最後の切り札の餌食になるからね…?くれぐれも楚々の無いようにね?」
アルフレ「人間だって動物だよ?本能ってのがあるんだから。ね、夢子。」
夢子「貴方の意見には全く賛成できない。」



こうして夢子達のドタバタ動物園の1日は幕を下ろした。
流石に濃すぎる1日だった。
夢子は家に帰ってすぐにシャワーを浴びて自分の部屋に入った。


夢子「はあ…疲れた…。」


スマホを開く夢子。
そして、今日動物園に着いたばかりの時にゲートの前で撮った写真の画像を開いた。

まだ事件も起こる前。

笑顔で映る自分とFE男子達。

夢子はその画像を見て微笑んだ。


夢子「…今度は、純粋に楽しみたいな。‥‥おやすみなさい。」



夢子は部屋の電気の電源を落とした。
そして布団に潜る。
夢を見た。長くて短い夢。
内容は思い出せないが、安心する夢だった。
そして明日がやってくる。
明日は平日の月曜日。学校だ。









翌朝。



夢子は目覚まし時計が鳴る前に目を覚ました。
ゆっくり瞳を開ける。

するとそこにはルフレの顔があった。


夢子「な゙!!///」


ルフレが夢子の部屋に勝手に入って添い寝してた。
部屋の鍵はかけて寝たはずなのだが…??
夢子は叫び声をあげた。


ー・・・波乱な一日がまた始まる。






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