51

ルフレ「人参畑‥‥確かこの辺だって聞いたけど。」

ルフレ・マルス・アイク・アルフレの4人はふれあい広場の親切なスタッフから聞いた通りの畑へと来ていた。
そこには確かに人参が沢山植えられている。

アイク「…夢子の姿は見えないな。」

4人は辺りを見回す。

するとアルフレが何かを拾ってルフレに見せびらかした。


アルフレ「‥‥これ、なーんだ??」


【51=好き嫌いはいけません】(キモ男注意)



それは夢子のいつも愛用しているハンカチだった。
緑色のクローバーの刺繍が施されている。
そのハンカチは泥まみれになっていて。
ルフレは青ざめる。


ルフレ「…夢子はここにいたのは確定だね。」
アルフレ「人参、掘ってたみたいだね?土が掘り返されてるし。」
ルフレ「でもこんなところに大事なハンカチ落とさないよね?」
マルス「…夢子の姿は何処にもないね…」
アイク「見ろ、泥の足跡がある。辿ってみよう。」
アルフレ「フフフ。」
ルフレ「…何が可笑しい?」
アルフレ「いや、面白い事になって来たなって。ほんと君たちって退屈させないね。
     …僕、クレイジーを裏切って良かったと心の底から思うよ。」
ルフレ「…どうとでも言ってな。夢子…まだ近くにいるはず…」

暫くしてー・・・
4人は足跡をたどり山道へと辿り着いた。
そこからは泥と水の混じった足跡と大きな足跡があった。

ルフレ「これ…夢子のものかな?あと一つは‥‥人参の係の人の物?」
アルフレ「…これは…夢子、誰かに水でも掛けられたかな。足跡の泥に大量の水分が混じってる。辺りにも水滴の跡あるし。」
マルス「…やたら解析得意だね。」
アルフレ「まあ僕がいつも夢子にしてることだし。」
ルフレ「(怒)」
アイク「ルフレ…悔しいだろうが今怒るべき時じゃないだろ。夢子を探すのに集中しよう。」
ルフレ「…はぁ。ほんと今日は最悪だ。こんなのもうデートでも遊びでも何でもないよ…」
アルフレ「僕はとっても楽しいよ?」
ルフレ「君の感想なんてどうでもいいよ…」
マルス「夢子…大丈夫かな。その人参の人…夢子に何しようとしてるんだろ?」
アルフレ「はぁ?英雄王は疎いね?…そんなの決まってるじゃないか。
     最高に恥ずかしくて汚くてイヤらしくて…最低な事に決まってるよ。」
マルス「(怒)」
アルフレ「…まあ、夢子なら大丈夫だと思うよ。」
アイク「何故そう言い切れる?」
アルフレ「彼女は悪運が強いから。今までもこれからも…ね?」
アイク「それはフォローになってるのか…?」
アルフレ「ほら、早くいかないと。せめて日が暮れる前に見つけないとね。
     夜の山は危ないからね。あと夢子の身自体も。フフフ。」
ルフレ「…まだ、余裕はある。」




動物園に隣接しているとはいえ薄暗い山道。
人気も無くやけに静かだった。
夢子を探すため4人の姿は山道の中へと消えていった。








15分前ー・・・・

夢子は走っていた。
底の高いサンダルで補装されていない不安定な山道を走る。
ある程度走って息が切れてしまう。
夢子の脚が止まる。

夢子「はあ…はあ…あ、あの男は…?!」

夢子は後ろを振り向く。
怖かったが確認しなければいけない。
後ろを振り向く夢子の視界に人参オジの姿はなかった。

夢子「…はあ、上手く撒けたのかな…?」

とりあえず一安心する夢子。
呼吸と心臓の脈も大分落ち着いてきた。

夢子「もう…何で動物園でこんな目に…
        皆と楽しく遊ぶ予定だったのに…ほんと最悪…」

夢子は涙ぐんだ。
大怪我を負って以来の遠出の外出。
ずっと行きたかった動物園。
アルフレが付いてきたのは大誤算だったが…
ルフレとマルスとアイクと…楽しく思い出を作れるはずだったのに。

夢子「…それにしても…」

辺りを見回し焦りの色が出る夢子。

夢子「大分山の中に来ちゃった…?」

そう、夢子は山中のど真ん中に居たのだ。
必死になって逃げていたせいで来た道が分からなくなっていた。
道とは行っても最初から獣道の様な道を逃げてきたので
危ないというのは分かっていたはずだが
あの人参オジが気持ち悪すぎてそれどころではなかった。

夢子「…どうしよう…そうだ、スマホのアプリに位置情報が…」

クレイジーにスマホを没収され、逆探知をされて以来夢子は新しいスマホを契約していた。
もうGPSで見つかることは無いのだが‥‥

夢子「嘘…此処が山の中だから!?!?Wi-Fiが届かない…」

そう、ここは深い山の中。
当たり前にWi-Fi環境などもあるはずもなく。

夢子「電波も無いしこれじゃルフレ達に連絡出来ない…はぁ…一体どうしたら‥‥」

辺りは木々が生い茂り、結構薄暗い。
それに何の生き物の鳴き声か分からない様な変な声が聞こえる。

夢子「うう、怖い…ここ…熊とか出ないよね…?」

するとその時だった。

夢子の近くの草むらがガサガサと音を立てた。
身構える夢子。
一応護身術は以前学んだのでその構えだ。
冷や汗が額を伝う。

夢子「な、何…!?そこに誰か…いるの…!?」

ガサガサガサガサ…


音は段々大きくなる。
夢子の落ち着き始めたはずの鼓動がまた不安定になり始めた。

夢子「居るなら…出てきなさいよ!?こ、怖くないんだから!!」

嘘だ。
本当は怖い。
ルフレ達が居たのならすぐに背中に隠れたい。
でも彼らは今いない。




ガサガサガサガサッ!!!!


バッ!!!!


遂に茂みから何かが現れた。


それはー・・・・




夢子「…鹿??」


そう、ただの鹿だった。
鹿は夢子をチラリと見て辺りをキョロキョロしている。
人に慣れているのだろうか。逃げ出したり突進してきたりはしない。


夢子「ああ、びっくりした…あのオジサンかと思った…」

ほっと胸をを降ろしたその直後だった。
背後からネットリした声が夢子の耳に入ってきた。





人参オジ「あれェ?お嬢ちゃんこんな所にいたんだネ?探したヨー??」



夢子「ひっ…?!」



目の前の鹿が逃げ去った。
その後その場にいるのは夢子と…


その背後に人参オジがいた。

人参オジ「みィつけたァアアア!!」


夢子「!!!(青ざめ)」


再び恐怖が彼女を襲う。





【いいね!!】


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