49

ルフレとアイクとアルフレに連行され再びふれあい広場に戻ってきた4人。
マルスがずっとべそをかいている。


【49=人参オジ】(キモ男注意)


アイク「おい、お前…大人げないぞ…幾ら何でもあれは…」
マルス「うっ…だって…僕…馬酔い治したくて…っ!!」
ルフレ「だからって順番は守らないと駄目だよ。人としてのモラルが欠けてるよ?」
マルス「ポニーなら…ポニーなら…」
アルフレ「結論から言うとまず重量オーバーだからどっちみち最初から無理だよ。」
マルス「ちょ!?君が馬に乗れって急かしたんだろ!!君にも責任はある!!」
アルフレ「そんな顔真っ赤にしてツバ飛ばさないでよ。ご自慢のイケメンフェイスが台無しだよ?
     …ああ、もうとっくに、か。フフフ。」
マルス「今…僕がファルシオンを携えてたら君の首一瞬で刎ね飛ばしてたよ…?(マジギレ寸前)」
アルフレ「ふーんじゃあ僕は青銅の剣で迎え撃つよ。今の君にならその程度でも倒せそうだし…?フフフ。」
アイク「マスターの権限があるから今はどっちも無理だぞ。っていうか動物園にまで来て喧嘩すんなよ。恥ずかしい。」
ルフレ「はぁ、何でこんな神経使う羽目に…夢子ー、ごめんね、戻ったよー?

    ってあれ???



    ‥‥夢子は???」


4人は戻ってきたふれあい広場を見渡す。
夢子が見当たらない。

ルフレ「…トイレにでも行ったのかな?」
アルフレ「じゃあ僕が見てくるよ。」
ルフレ「は…?君は男子でしょ。何馬鹿言ってるんだい?」
アルフレ「…?僕いつも女子トイレ入ってるよ。夢子居る時限定だけど。」
マルス「…ねえ、この人さらっと犯罪気味たこと言ってるけど!?!?いつもって何さ!?」
アルフレ「言葉の通りだよ。いつも、女子トイレには出入りするよ。
     トイレ何て何所も一緒だろ。立ってするか、座ってするかの二択しかないし。」
アイク「そういう問題じゃないと思うんだが。お前…頭大丈夫か?」
ルフレ「こんな頭のおかしいのは放って置こう。うーん夢子何所行ったんだろ…もうちょっと周り探そうか。」



ルフレ達はふれあい広場周辺を30分ほど探し回った。
しかし、夢子の姿が見当たらない。

ルフレ「…可笑しいなーどこ行ったんだろう?全然姿が見えない…。」
アルフレ「女子トイレ行ってみたけど夢子居ないし悲鳴だけ貰ったんだけど。」
アイク「…っていうか女子トイレに入ったのかよ?!悲鳴は当たり前だ。…いつか通報されるぞ?」
アルフレ「大丈夫、僕が爽やかなスマイルで微笑んで見つめたら相手の女ども堕ちたから。」
マルス「ぼ…僕のせいで‥‥夢子が‥‥。」
ルフレ「…マルス?」
マルス「僕が馬鹿な真似しなければ、今頃普通に夢子と一緒に過ごせたのに…!!!」
ルフレ「…まあ、それは…」
アイク「全くその通りだな。」
アルフレ「フフフ、ぜーんぶ君のせい☆英雄王の名が泣くね?フフフ。」
マルス「ウッ(言葉の刃がマルスの心を抉る)」
ルフレ「マルスを苛めてる場合じゃないよ。
    兎に角夢子を見つけないと…ここで言い争いしてる暇があるならもっと探して…」


飼育員さん「あの…すいません。」
ルフレ「はい?」

狼狽えてる一行をみて心配になったのかふれあい広場のスタッフが声を掛けてきた。
それは夢子に関する内容だった。

飼育員さん「もしかして、さっきまでそこで沢山の動物に囲まれてたお嬢さんの事探してます?」
ルフレ「あ…!?そうです!!何か知ってるんですか!?」
飼育員さん「ええ、ずっと一人で動物に囲まれて独占されてたのですごく印象にあって。」
ルフレ「彼女が何処に行ったか知りませんか?」
飼育員さん「何所に行ったかはわからないんですけど、丁度動物のエサの調達をしてる係の者が居まして
      その人物とあの子が会話してふたりでこの場から去りましたよ。」
ルフレ「その係の人は今どこに!?」
飼育員さん「多分この動物園の裏にある畑に戻ったんじゃないですかね。
      彼はそこでここの動物たちにあげるニンジンを育ててるんです。」
アイク「…あのニンジンまあまあうまかったぞ。」
ルフレ「と、兎に角そこに向かおう。情報ありがとうございました…。」
飼育員さん「…あ、最後に一つだけ。そのニンジンの係の人…何と言うか、ちょっと気を付けた方が良いですよ。
      無事見つかると良いですね!!それでは。」

飼育員さんは忙しそうに仕事に戻って行った。
最後の言葉を聞いたルフレとマルスとアイクが青ざめる。

ルフレ「どうしよう…《彼》って言ってたから男の人だよね?ニンジンの人。」
マルス「今日の夢子、超可愛いし…まさか、誘拐されたとか…?!」
アイク「あり得なくはないだろうな…でもそうと決まった訳じゃないだろうし…」
アルフレ「フフフ。面白くなってきたね??君たちと一緒に居るとほんと退屈しないよ。
     トラブルがアホみたいに次から次へと起こってさ。フフフ。」
ルフレ「…夢子を連れ戻そう。」


4人はふれあい広場から離れた。
もう動物どころではない。






遡る事1時間10分前ー・・・
夢子は動物たちに群がられていた。
このモフモフ状態、アニマル好きなら堪らない。
そんな夢子はマルスが楚々を起こして大パニックになってるFE男子たちの事を知らないでいた。
すると、夢子に声がかかる。

???「あの、お…お嬢サン。」
夢子「…はい?」
???「此処は公共の場で…皆が楽しむ場所だから…その、動物たちを独占するのはヤメテほしいナ。」

声を掛けてきたのは長身で細見で濁った黒ぶち眼鏡を掛けていて髪も顔も手入れしてない…
言うならば最近で言うと明らかに【チー牛的な人】だった。
それでも夢子は人を差別などしない。

夢子「あ、ご、ごめんなさい…夢中になって気が付かなかったです…。」

以下これからはこのチー牛の事は人参オジと呼ぶことにする。

人参オジはたどたどしく夢子に注意しに来た。
他の客からの苦情も聞いたのだろう。
そこで説教が始まった。

人参オジ「君がいると他のお客さんが動物と触れ合えないんだヨ…
     ここは有料エリアだし、お客さんだってそれぞれ都合があるんだヨ?」
夢子「あっ…ご、ごめんなさい…。」
人参オジ「全く、最近の若い子はなってないンダナ!折角仕入れた人参も君が独占しちゃったみたいだし?」
夢子「ああ…いつの間にか沢山買っちゃった…本当にごめんなさい。でもお金はちゃんと払ったし…」
人参オジ「こうなったら、人参の収穫手伝って貰うヨ!!」
夢子「え…収穫!?」
人参オジ「うん、君には営業妨害されたからね、お仕置k…じゃなくて、
     動物たちの人参の収穫手伝って貰うからネ!!」
夢子「で、でも私他にも一緒に来てる友達が居て‥‥」
人参オジ「君ひとりじゃなきゃダメだヨ!!仲間は呼んだらダメ!!
     そうしないと色々出来…いや、無駄な労力がかかるからネ!!」
夢子「そういわれても…」
人参オジ「大丈夫、人参畑は動物園のすぐ傍に隣接してるから!!」
夢子「いや、あの…私は‥‥」
人参オジ「はい、決定!今すぐ向かうヨー!しゅっぱーつ!!」


夢子は人参オジに半ば無理やり腕を引かれてふれあい広場から離れて行った。
不安気に辺りを見回し遠目でマルスがポニーに乗ろうとしてるのが見えた。
それでも彼らに声を掛けることが出来ないまま、夢子は人参オジに連れていかれた。


人参オジは不気味な笑みを浮かべてる。
夢子はそんな事も知らずに

夢子(人参掘ったら折角お洒落した洋服が泥だらけにならないかな?)

純粋にそんな事を考えていた。




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