45

日曜日の早朝。
夢子達は早速新居に移動していた。
大量にあった荷物は全部、家の中。
ダンボールの山が引っ越しの風景を物語っている。


【45=初日の大騒ぎ】





夢子「これで最後かな?黒にぃと沙羅も手伝ってくれてありがとう!」

今日は黒と沙羅の二人も引っ越しの手伝いをしてくれていた。
黒と沙羅は満更でもない顔をしていた。

黒「気にするな。俺もあの家はセキュリティー面に色々不安があったから‥‥丁度良かったと思ってる。」
沙羅「何か困ったことがあったらいつでも呼びなさい?」
夢子「えへへ、ありがとー!」
沙羅「っていうか…」

沙羅はシラケた顔で夢子を隣から頬ずりするベレスを見る。


ベレス「あああああああっ!!夢子ちゃんカワイイ!!!スリスリスリ!!!///」


沙羅「…この女誰?さっきからウザいんだけど。」
夢子「ああ…ベレス先生ね…私の目の治療して義眼までくれたんだ!
        あと明日から私たちの高校の保健室の先生になるよ!!」
沙羅「ふーん。じゃあ良い人なんだ。って言うか、アンタ本当に目の方はもう平気なの??かなりヤバそうな話聞いたんだけど。」
夢子「うん、痛みはもうとっくに無いしこの義眼も大分馴染んできたみたい。視野はどうしても狭まるけど…」
沙羅「すぐ無茶するんだから…もしも片目じゃなくて命が奪われてたと思うと私…」
夢子「そんな怖い顔しないで?ほら、私はここにいるでしょ?
        これからもずーっと親友でいようね?」
沙羅「夢子…!!」
ベレス「ああっ夢子ちゃん笑顔が本当にキュート!!///」
沙羅「ベレス…先生…だっけ?…なんかこの人…誰かに似てる気がするんだけど。…気のせい?」
夢子「気のせいじゃないと思う…。」
ベレス(スリスリスリスリ…///)

夢子にしがみ付いて離れないベレスをこれまた引っ越しの手伝いをしていたベレトが忠告する。

ベレト「はぁ…姉さん、いい加減手伝ってくれ。いつまで夢子にくっ付いているつもりだ?
    まるでセンダングサ並みの粘着力だな。」
ベレス「いいじゃない!?重い荷物は男が運ぶべきよ。弟なら姉に日頃の感謝示しなさいな?ねー?夢子ちゃん!!」

沙羅「ベレト先生…何でここに居るのか不思議だったけど、なるほど…今度は姉弟ときたか…」

大体の状況は把握する沙羅。
もう此処まで来ると不思議と驚きはしない。

ルフレ「大分荷物も片付いてきたね!それにしてもほんと広い部屋で…
    前の畳と襖の和室も良かったけど、やっぱ個室があるっていいね!」
夢子「そうだね!前はプライベートがあまり守られてなかったからね…
        私も自分の部屋でのんびりできる!!」
ルフレ「早速だけど夢子、僕の部屋に…」
ピット「させないからねー!?ルフレの助平!!」
ルフレ「うわー、お邪魔虫がきた…別にいいでしょ?折角片付いた僕の部屋に夢子呼んでも!」
リンク「貴方からは下心しか見えません。」
ルフレ「煩いな〜!君たちだって大概だろ?!」
マルス「そんな事より夢子、僕の宮殿的サムシングルーム見てよ!凄いよ!?」
アイク「何かって何だよ…自分でも把握できてないじゃないか。」
シュルク「しかし凄い量のダンボールですね。折角だしこれはリサイクルに出した方が良さそう…。」
黒「いいかお前ら、自分の部屋が出来たからって夢子呼び込んで変な事したら…●すからな?」
沙羅「そうよ、夢子はちょっと天然だから騙しやすいかもしれないけど
   変な事したら私たちが許さないから。いい?」
ルフレ「もーわかってるよ。僕だってムード大切にするから。(この鬼ヤンデレカップル帰ったら速攻夢子を部屋に呼ぼう)」
アルフレ「だからさー前にも言ったじゃん。男にムード何て守れる野郎は居ないんだよ?」
ルフレ「ってアルフレ…君いつの間に勝手に家に上がってるの?君が上がるのは全く許可してないんだけど。さっさと帰ってくれない?」
アルフレ「いいじゃん。部屋なんて住むだけどこも一緒だろ。」

アルフレはリビングの大きいソファーに脚を組んで座ってスマホで音楽を聴き始めた。
そんなアルフレにドン引きするルフレとベレスに抱きしめられて固まってる夢子。

黒「じゃあ夢子、俺たちは帰るから。」
夢子「うん、ありがとう二人とも!!気を付けてね!!」
沙羅「アンタこそ今夜は気を付けなさい?」
夢子「???」

黒と沙羅は色々不安を残しながらも大丈夫だろうと帰って行った。

夢子「でも、まさか家具まで提供されるとは思わなかったなぁ。」

夢子がどすっとソファーに座った。

アルフレ「あー、このソファー300万くらいするよ。」

夢子「…さ、さん!?!?」

びっくりして飛び上がる夢子。そして、もう一度今度は優しく座る。

アルフレ「マスターって優しいよね。双子の弟のクレイジーとは大違い。優しすぎて逆に不安になるっていうか。」
ルフレ「クレイジーも不憫だね、裏切り者(アルフレ)に今頃こんな事言われてるだなんて。」
アルフレ「まあ、僕は元々用事が済んだらアイツの事見切る予定だったから。」
夢子「そうなの…?」
アルフレ「だってめんどくさいんだもん。アイツ秩序なんて糞くらえでしょ?
     僕だってちゃんとした自由が欲しいんだ。
     わかる?世の中利用できるものは利用しなきゃ、でしょ。
     それに君と言う欲しい物、出来たし。フフフ。」
ルフレ「君ってホント救いようの無いクズだよね。ある意味同情するよ。」

アルフレ「褒めてるの?気持ちが悪い。」
ルフレ「褒めてないし。気持ち悪い。」

夢子(なんか、最近このふたり少しだけ仲良くなった気がする…?)


引っ越し当日の夜になった。
何だかんだで皆騒いで浮かれていた。
そりゃそうだ、家賃5万円の小さなボロアパートから数億するタワマンに来たのだから。
ここにきて夢子にずっとベッタリだったベレスが夕飯を作ってくれた。
ルフレとリンクが青ざめるほど、凄い料理だった。
ご馳走が大きなテーブルを埋めつくす。

ルフレ「えええ…何これ。ベレスが作ったって…ほんと?」
リンク「すごい…俺の見たこと無い料理ばかり…」
ベレス「フフ、私料理の腕は自信あるのよ?医療術ばかり得意ではないの。」
ルフレ「いや、素材が高価なだけだよ。同じ素材なら僕の方が…」
リンク「そうですよ、素材の暴力です。」
ベレト「はぁ、今日一日で漸くまともに働いてくれたな…」
ベレス「私は一生懸命夢子ちゃんを愛でてたわよ?!あとわたあめちゃんも!」
わたあめ「ワンッ!!!ハッハッ!!」
ベレト「…それをサボってると世間では言うのだが。」
ベレス「夢子ちゃん、これ食べ終わったら私と一緒にお風呂に入りましょ??」


剣士男子達《ガタッ!!!》

ベレスは真っ青になる男子共を黒い笑顔で、尚且つ上から目線で見下していた。

夢子「…ん?別にいいですけど…」

バッ・・・!!!

剣士男子たちは一斉にベレスを睨んだ。

剣士男子達《このクソアマ…!!!》
ベレス《自然に一緒に入浴…男には到底真似できないでしょう?ウフフフフ!!》

視線に火花が散った。無言でも威圧感のある空気。
夢子は何も気にしないでご馳走を食べていた。
一口一口、味わいながら思った。
片目を失う羽目になっても彼等と一緒に居れるこの奇跡。
感謝しても感謝しきれない。
こんなに素晴らしい毎日が送れるなんて
夢子は幸せを感じていた。

夢子(私はもう孤独じゃないんだよね。)

足元でわたあめが黒い目をくりくり輝かせ口を開けて夢子を見上げている。
夢子はわたあめを持ち上げて抱きしめた。
夢子(んー幸せだなぁ。)
わたあめ「ワンワン!!」




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