44

今の家から引っ越しする案が浮上してから1週間が経った。
夢子の不安を他所に話は大分進んでいった。
マスターが今まで剣士男子達の活躍と
夢子が右目を失う羽目になり
その責任を負い謝罪するのと同時に
セキュリティー面をより高めようと資金提供の話が決まった。
今日はこの家の去る為の引っ越しの準備をしている。

そこには手伝いに来てくれたクロムやロイ、ルキナとカムイの姿もあった。

久々の面々だ。


【44=引っ越し準備】




夢子の部屋の荷物の移動を手伝う女子組。
ルキナとカムイとは何だかずっと会っていなかった気がする夢子。
そんな事も気にせず、黙々と作業を熟す女子組。

夢子「…それにしても、この家に長く住んでたから…なんか愛着湧いちゃって。」
ルキナ「仕方がないですよ。私たちが来るずっと前から夢子さんは住んでいたんだもの。」
夢子「そういえば私たちが居なくなったらルキナさんとカムイさんはどうするの?」
カムイ「私達も引っ越そうかなって思ってますよ。何処に行くかはまだ決めてないですけど。」
夢子「そうなの?」
ルキナ「ええ。それにお父様とロイさんも。ここに執着する理由もないですからね。」
夢子「…何だかごめんね、私のせいで皆巻き込んじゃって。」
ルキナ「気にしないで?私たちが勝手に決めたことだし。」
夢子「二人とも、部屋のDIY頑張ってたのに‥‥同じ部屋とは思えないような出来だったし。」
カムイ「まあ、所詮賃貸ですからやること限られますしね。
    新しいおうちはもっと改造出来るところにしましょう?ね。ルキナ!」
ルキナ「そうね、そしたら夢子さんも遊びに来やすいですものね。」
カムイ「恋バナ、またしたいですし!!」
夢子「あはは…恋のお話好きだね二人とも。」
カムイ「私、自分の恋愛より人の恋愛を見て妄想するのが何よりの好物ですの!」
ルキナ「…そういえば、夢子さんは軍師とはどうなりました!?」
夢子「どうって…どうなのかな…」
ルキナ「ああ…もう行きつく所まで行きついたのでしょうか?」
カムイ「今度詳しい話聞かせてくださいな?」
夢子「あはは…w」




一方男子達も作業をこなしていた。
荷物の入ったダンボールが山の様に積み上げられる。

ルフレ「お…重い…。」
クロム「お前こっちの世界に来てから筋力衰えたんじゃないか?ほら、貸してみろ。」
ルフレ「流石クロム…力持ちだね…。」
クロム「お前も男ならもっとたくましくなれよ?
    そうじゃないと夢子を守れないぞ?」
ルフレ「僕は僕でいいの。この賢い知性で守るから。」
クロム「お前なぁ…」

マルス「フッ☆」
ピット「おまるす何してるの?皆こんなに忙しいのに…って、あああああ!!」
リンク「どうしたんです?ピット。変な声だして…ウンコでも漏らしました?」

ピット「んなわけないでしょ!このアホマルスが夢子のスマホの電源入れてる!!」

ルフレ「ちょ、君!?何考えて…!?」
マルス「もー煩いなぁ、今僕は自撮りの練習してるの!
    このスマホ、解約したしどうせ最後は破壊して庭に埋めるんでしょ??最後くらい僕の画像でいっぱいに‥‥」
アイク「だからってお前…意味が分からないんだが。ってか夢子に許可貰ったのか?」
マルス「きっと大丈夫!それにどの角度が盛れるか僕は研究中なのだよ。君たちはさっさと荷物運びどうぞ〜」
シュルク「ちょっと、遊んでないで手伝ってくださいよ…。まだ荷物あるんですから。」
ロイ「マルスは昔から変わらないなぁ…」
ピット「んー?それってDX時代の事?」
ロイ「まあとある界隈ではナルシストって有名だったから。」
ピット「今もだけどね?…思えばこの中で参戦歴一番長いのってリンクなのかー。」
リンク「悪いですか?」
マルス「そうだよーだから初代から居るリンクが一番オジサn…」
リンク「。(無言の圧力)」
マルス「ヒイ!ごめんってば!!顔が怖い!!」




引っ越し作業は1日かかった。
手数が多い事もあって日が暮れる前にはトラックに荷物を積むことが出来た。
因みに経費を少しでも浮かせるために夢子の兄の黒がトラックを借りてきてくれたのだ。
明日にはまた皆で新居に荷物を移せる。
クロムとロイとルキナとカムイは手伝いを終えそれぞれの部屋に帰って行った。
夢子は階段に座り一息つく。

夢子「はー、疲れた!!」

そこに缶コーヒーを携えたルフレが夢子の横に座る。
そして何となく二人きりの会話が進んでいく。

ルフレ「夢子、お疲れ様!これ飲んで元気出して!」
夢子「あ、ありがと!しかし…荷物結構あったね…私一人の時の倍あったなぁ。」
ルフレ「まあ、6人も居候が居るからね。僕らも色々物を買っちゃったし。」
夢子「新しいおうち、まさかあのタワマンに住めるだなんて…信じられない。空想でしか住めないと思ってた…!!」
ルフレ「本当なら最上階が良かっただろうけど、色々大人の事情あったみたい。
    それに・・・」
夢子「それに?」
ルフレ「アルフレ…アイツと同じ階は避けたかったから僕個人的には今回の50階で丁度良かったと思ってる。」
夢子「それでも大分高い階層だけどね!!ベランダ出て毎回びっくりしそう。」

ルフレ「僕は高すぎて高山病にならないか心配だよ…。そういえばペット可で良かったね?」
夢子「うん!わたあめともずーっと一緒に居られる!!!」
ルフレ「この間ベレスが来た時わたあめ滅茶苦茶モフってたね…。」
夢子「ベレス先生は良い人なんだけどね…ちょっと愛が重たいかな?って思うときがあるかな。」
ルフレ「君への愛は僕が一番だから、ね?誰にも負けないよ?」

夢子「そういえばこの間のテストの点数の事で個人レッスンしようってベレト先生がー・・・」
ルフレ「ああああっ!!ダメダメダメ!!絶対ダメ!!」
夢子「‥?家も一緒だから教えるのも楽だろうって言ってたんだけど。」
ルフレ(あの男…早々に夢子に手出そうとして…何としてでも阻止しなければ…)
夢子「ルフレ?」
ルフレ「これは…セキュリティー以前の問題かもしれない。(ボソッ)」
夢子「…???」

ルフレ「と、兎に角、僕が居ない時にひとりでベレトとかについて行ったらダメだよ!?」
夢子「…先生、親切だよ?」
ルフレ「君が兎なら相手は大蛇だからね!?」
夢子「うさぎ‥‥へび?」
ルフレ(襲おうと思えばいつでも襲える体制は取ってるよあの人)
夢子「なんかルフレ今日は元気良いね?疲れてないの?」
ルフレ「いや、僕はへばって何て居られないよ。君を守るためだもん。」
夢子「ふふ、変なルフレ!!」

ルフレ「此処から見る景色も最後か…。」
夢子「寂しい?」
ルフレ「ちょっとね。夢子も思う所あるんじゃない?」
夢子「一人で住んでた初期の頃は寂しかったけど…皆に出会えていっぱい思い出作れて…
        正直最初は引っ越しって複雑な気持ちだったけど‥でも…
        私を孤独から救ってくれたから、今度は私が皆を守りたい。」
ルフレ「そっか。君も成長したんだね。」
夢子「でも、結局は自分を守りたいだけなのかもね。」
ルフレ「君はたまに自分を大事にしない事があるから、たまには自己中になって良いんだよ?」
夢子「そう、かな?」
ルフレ「自分を第一に考えて?」
夢子「でも、ルフレだって私がピンチなら私を助けるでしょ?その身を呈して…
        あのクレイジーとかルミレにもそうしてきたでしょ?
        私だって一緒だよ?」
ルフレ「じゃあ相思相愛!!今までも、これからも、僕らは太く鋼の様な頑丈な赤い糸で結ばれてるんだ!」
夢子「ルフレ…それもう糸じゃなくない?っていうかすぐ茶化してくるんだから。」
ルフレ「本気だよ?僕は何時でも真正面向いてるからね。君以外視界に入らない。」

ルフレは夢子を見つめる。
そして彼女の耳元でルフレは囁いた。

ルフレ「…出来るなら、他の奴らと一緒じゃなくて君とふたりきりで新居に住みたかったんだけど。」
夢子「‥‥!!!///」
ルフレ「そしたら、毎日毎日イチャイチャ出来るだろ??」
夢子「何言ってるのよ…///」
ルフレ「ふふ、夢子顔真っ赤。もしかして僕とのイチャイチャを想像してた?あはは、カワイイ!!」
夢子「うー…///」
ルフレ「まあ、部屋は各自あるらしいし…その気になれば君を僕の部屋に呼んで何時でも××××‥‥」
夢子「ちょ!!変な事言わないで!!一応ここ外だからね!?!?///」
ルフレ「君の恥ずかしがってる顔ほんと好きだよ。…じゃあ煩い馬鹿どもの居る部屋に戻ろうか。
    っていってももう家の中何もないけどね。プライド的に悔しいけど
    流石に今日はカップ麺かな。調理器具も冷蔵庫も無いし。」
夢子(ルフレってば突然恥ずかしい事さらりと言うから困る‥‥)


そして夢子とルフレは部屋に戻って行った。
何もない空間で思い出を振り返り、部屋にお礼を言う。

夢子「今まで、ありがとう。」


今夜で参戦者と出会ったこの部屋とお別れ。

明日から新居での生活が始まる。





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