43
ルフレ「この際、引っ越ししようよ!!」
ルフレはその場にいる全員に向かって言った。
ポカーンとする一行。
夢子が1番に口を開いた。
夢子「引っ越しって…この家から離れるって事?」
【43=ヤドカリの如く】
夢子は戸惑いの表情を隠せない。
それはそうだ。
彼女は参戦者たちと出会う前から一人でずっとここで暮らしてきたのだから。
でもルフレは真剣な顔をして夢子を見る。
ルフレ「夢子、君をもう危ない目に遭わせたくないんだ。
もっとセキュリティーの強い物件、探そう?
それにこんだけ人数があったら部屋もいい加減わけたいし。」
ピット「それって念願の一人部屋って事!?」
目を輝かすピット。
ルフレは答える。
ルフレ「それも有かもね。」
ピット「やったー!!これで寝相悪いマルスとイビキ煩いアイクに開放される!!」
マルス「君も大概いだよ?!」
アイク「俺って煩いのか…。」
話が進んでいく中、夢子は一人不安そうな顔をしていた。
夢子「…でも、お金…無いよ?それにこんな大勢が住める家、住めるかな?」
ルフレ「充てはあるよ!!少し嫌だけど…。」
夢子「???」
そして15分後。
夢子宅アパートにある人物が訪れる。
インターホンが鳴り、ルフレが警戒しながら出る。
ドアを開けるとそこには
先ほど別れたばかりのベレト達が居た。
ベレト「はあ、お前ら…今さっき別れたばかりだぞ?人を何だと思ってる?扱い荒すぎるぞ?」
ルフレ「ごめん、待ってたよ、ベレト。っていうか、後ろに居るのは…」
アルフレ「フフフ。」
ルフレ「‥‥なんでコイツもいるの?呼んでないんだけど。(不機嫌)」
ベレス「はぁーい、私もいるわよ?」
ルフレ「ベレスまで…まあいいや、話があるんだ。…話って言うか、相談的な?とりあえず家の中入って?」
アルフレ「ああ、君…やっと僕に夢子を譲る気になったの?」
ルフレ「お前は黙ってて?先生たち、マスターに資金提供受けてるんでしょ?」
ベレト「まあな。」
ベレス「っていうか、夢子ちゃんたちこんな狭いおうちに住んでるの!?噂では聞いてたけど、流石に信じられない…」
夢子「あはは…意外と住み心地いいですよ。」
ベレス「そんな事言って…こんなむさ苦しい男子たちと一緒に昼夜過ごすだなんて…私が許せない!!!
ねえ、いっその事私と一緒に住まない?」
夢子「ええっと…その…」
ルフレ「そう、それなんだよ!!」
夢子「え?」
ルフレは得意げに言い放つ。
ルフレ「僕たちもあのタワマンに住もうよ!!」
全員「「「…ええええ??」」」
ルフレ「だーかーら!タワマンに住むの!」
夢子「急にどうして?!」
想像外の話を持ち掛けられて夢子は戸惑う。
ルフレは自信有り気に言う。
ルフレ「だってセキュリティ凄いだろ?!あれだけ守られてたらこの間のキチガイ隣人みたいな奴も早々居ないだろうし
幾ら893好きなクレイジー達だって簡単に手が出せない!!」
夢子「でも‥‥お金が…。」
ルフレ「そこでだよ。そのことでベレト達を呼んだんだ。」
ルフレはベレトに頭を下げた。
ルフレ「だから、この通り!!マスターに交渉するの手を貸してくれない?!僕たちにも資金提供してくれって!!」
ベレト「・・・。」
リンク「俺からも頼みます。」
マルス「先生、実は僕が夢子のスマホ拾ったせいで大変な事になってるんだ。」
ベレト「スマホ?」
マルスとシュルクは夢子のスマホを山の中で拾った経緯を話した。
そして難しい顔をしていたベレトの顔が余計険しくなる。
ベレト「…で、その危なさそうなスマホは?」
シュルク「大丈夫です、電源は切ってます。」
ベレト「そうか‥‥。」
アルフレ「ふーん。やっぱそれでGPS動いてたんだね。変だと思ったんだよね。意外と考えるね、逆探知だなんてさ。」
アイク「一応、お前には感謝してる。いち早く教えてくれたおかげだ。ありがとう。」
アルフレ「ゲ、野郎に感謝されても嬉しくないよ?」
ピット「素直じゃないなーアルフレ。ありがとう、って言われたらどういたしまして、だよ?」
アルフレ「は?誰に向かって言ってるの?この羽無しが(ゲス顔)」
ピット「わーんひどいー!」
夢子はずっと曇った表情でいた。
まさかこんな大事になるとは思ってなかったから。
でも、こればかりは仕方が無いのかもしれない。
自分一人の問題ではない。
皆の命もかかってるから。
ベレト「…大体の事情はわかった。とりあえずマスターには連絡を入れておく。
こればかりは俺が決断する話じゃないからな。」
ベレス「夢子ちゃん一人なら大歓迎よ?!貴女の為ならグッズ捨てて空き部屋作っちゃうんだから!!」
アルフレ「僕は反対だよ?騒がしいのは嫌なんだ。同じタワマンでも住むなら別の部屋にして?」
ルフレ「わかってるよ、最上階の料金が凄いのは僕でもわかるし。
君と同じ空気吸うの、今だって堪えるんだから。」
話し合いをして、一旦ベレトとベレスとアルフレは自分たちの家に帰って行った。
3人出入りしただけで嵐が去ったかの様。
まあ空気を乱すのは大概アルフレで
ベレスも少々暴走気味だったが…
夢子「何だか凄い事になってきたかも…。」
夢子は一人現実を呑み込めないでいた。
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